レースハイライト タイトル
dirt
2013年4月3日(水) 船橋競馬場 1600m

楽な手応えのまま直線抜け出す
ダート女王の座へ一歩リード

 マリーンカップJpnⅢ当日の悪天候には驚いた。前線を伴った低気圧と上空の寒気の影響で東日本の広い範囲で大気の状態が不安定になり、船橋競馬場も強風と大雨に見舞われた。話しによるとレース前半は台風並みの状況だったという。メインレース前にはすでに穏やかな天気に変わっていたのは幸いだったが、水がビチャビチャに浮いた馬場コンディションの中で行われた。
 それでも濱中俊騎手がエスコートしたメーデイア(1番人気)の強さに変わりはなかった。強い馬はどんな状況下に置かれてもきちんと力を発揮できることを改めて示したように思う。
 レースは、エミーズパラダイスとセンゲンコスモが激しい先行争いを展開する中で、メーデイアは楽な手応えで3番手外目を追走。2コーナーではセンゲンコスモが先頭に立ち、エミーズパラダイスが2番手、その後ろにメーデイアが続いた。3~4コーナーではメーデイアがスーッと先団に押し上げていき、直線に入って単独先頭に立つと、濱中騎手のステッキに応えて後続との差を広げていった。最後までしっかり気合をつけながらゴールを目指したのは、馬が遊んでいた面もあったそうで、それだけに完勝と言っていいだろう。2着にはレッドクラウディア(3番人気)、3着はスティールパス(2番人気)が入り、中央の人気馬が上位を独占する結果となった。
 メーデイアは前走のTCK女王盃JpnⅢに続きダートグレード連勝。「骨が固まりきらなくて弱い面もありましたが、だんだん固まって筋肉も締まってきて、調教がハードにやれるようになってきました。秋の大きなところに向けても楽しみです」と、管理する笹田和秀調教師は語っていた。最大目標には今年からJpnⅠに格付けされたJBCレディスクラシックを掲げている。砂の女王ミラクルレジェンドが引退し繁殖入りした今、そのポジションにどの馬がつくのか注目を集めているが、メーデイアが一歩リードしたと言っていいだろう。次走については未定とのことだったが、JBCに向けたローテーションを組んでいくと思われる。
 南関東の女王クラーベセクレタもマリーンカップには登録があったものの、いい状態で出走させたいということからここは自重して、5月1日に浦和競馬場で行われるしらさぎ賞から始動予定だ。今年の大目標は、もちろん同様にJBCレディスクラシックとなる。
 昨今のダートグレード戦線は中央勢と地方勢の力差が歴然で、地方競馬ファンにとっては何とも寂しい限りだ。この状況から早く脱却して欲しいと願わずにはいられないのだが……。
濱中俊騎手
自信はありましたが本当に強かったですね。馬の行きたいように走らせてあげて手応え通りの内容でした。直線ではずっと先頭に立っていたので(馬が)気を抜いていましたが、それだけ余裕がありました。これからメーデイアともっと大きなタイトルを獲って(牝馬ダート戦線の)主役となっていきたいです。
笹田和秀調教師
スタートも決まって楽にあの位置で競馬ができたので、4コーナーで先頭に立ったときには大丈夫だなと見ていました。芝もこなせる馬ですがダートのほうが安心で、馬のためにもいいですね。レースでキョロキョロしていたところがあって、精神的にドッシリ落ち着いてくればさらに伸びしろはあるでしょう。


取材・文:高橋華代子
写真:森澤志津雄(いちかんぽ)、NAR