レースハイライト タイトル
dirt
2014年3月26日(水) 名古屋競馬場 1900m

8歳にして初の重賞タイトル
今後の選択肢が広がる勝利

 名古屋大賞典JpnⅢは、名古屋競馬場で行われるビッグレースのひとつ。今年はその前後に『東西対抗ジョッキー名人戦』が実施されることになり、豪華さがさらに増す1日となった。しかし当日の愛知県地方は朝から雨。天気予報の降水確率も100%と、文字通り水を差す空模様になってしまった。
 それでも午前10時30分の開門と同時に指定席券を求めるファンが長い列を作ったのは、ダートグレードレースの日だからこそ。名古屋大賞典JpnⅢはJRA勢の上位独占が続く結果になっているが、今年は地元のサイモンロード、兵庫のオオエライジンと、最近のダートグレードで5着以内に入ったことがある2頭の地方所属馬にも、期待と注目が集まっていた。単勝オッズこそJRAの4頭が上位人気を独占したが、オオエライジンは約15倍で、サイモンロードが20倍強。それは、JRA勢の壁に風穴を開けてくれるのではと願うファンの多さを物語る数字だったと言ってもいいだろう。
 なかでも地元の期待は、昨年のこのレースで4着だったサイモンロード。ただ、不良の馬場コンディションと、エーシンモアオバーという同じ逃げ脚質の存在が気になるところではあった。
 しかしサイモンロードは、鋭いスタートで先手を取った。エーシンモアオバーはその直後をマークしたが、鞍上の岩田康誠騎手は競りかけることはせず、両馬はつかず離れずの位置関係を保ちながら1周目のゴール板を通過していった。
 全体のペースを作る2頭の直後には、ダノンカモンとオオエライジン、さらにはソリタリーキングの有力各馬。ランフォルセはその後ろから先頭を狙う態勢をとった。サイモンロードは、それらのプレッシャーを受けながらも2周目の4コーナーまで先頭をキープ。しかし最後の直線に入ると急激に失速してしまった。替わって先頭にはエーシンモアオバーが浮上したが、すぐさまその直後にいたダノンカモンが一気の伸び脚をみせて1着でゴール。2着にはダノンカモンを追いかけるように脚を伸ばしたソリタリーキングが入り、エーシンモアオバーは3着となった。
 一方のサイモンロードは9着。その結果に丸野勝虎騎手と角田輝也調教師は、レース後の検量室でパトロールビデオを無言で見続けていた。もう1頭の有力馬、オオエライジンは5着。寺嶋正勝調教師は「全体的にペースが緩まなかったですね。バテない馬だから5着に残れましたけど……。また兵庫大賞典から出直しますわ」と残念そうに言葉を発した。こちらも実力は十分にあるだけに、改めて今後に期待したい。
 その地方馬2頭は6歳馬だが、4着までを独占したJRA勢は7歳以上。ダノンカモンは初の重賞勝利を飾ったものの、年齢的には8歳だ。JRAのダート中長距離戦線はトップクラスが強力だが、ベテラン勢の層もまた、かなり厚いという状況になっている。

川田将雅騎手
無事にタイトルを取ることができてホッとしました。パドックで乗ったときの雰囲気も良かったですね。スタートはいまひとつでしたが好位を取れて、その後はスムーズに進められました。気合は入れ通しでしたが、2周目の4コーナーでやっと動く気になってくれたので、そこでこれなら大丈夫だなと思いました。
池江泰寿調教師
中央だと1400から1600メートルが適距離でも、小回りコースだと1400メートルでは忙しい感じがあるので、このレースを選びました。54キロで出られたというのも大きな要因ですね。気難しい面がある馬ですが、8歳にしてそれが徐々に解消されてきましたし、今後の選択肢が増える勝利になったと思います。