第1戦 マイスターチャレンジ |
第2戦 ヴィクトリーチャレンジ |
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第1戦を制して優勝の手応え
繁田騎手が2度目となる栄冠
佐々木竹見カップジョッキーズグランプリは、川崎競馬のファンにとって年に一度のビッグイベント。火曜日の昼開催にも関わらず、スタンドにはまるで重賞開催日のような大勢のファンが集まり、出場騎手たちに熱い視線を送った。佐々木竹見元騎手に今年の注目騎手を聞くと、初出場の桑村真明騎手(北海道)と御神本訓史騎手(大井)の名前を挙げた。特に最年少の桑村騎手は、デビューを4月に控えた2005年、北海道代表として出場した五十嵐冬樹騎手に、騎手候補生として花束を渡したという。「まさか自分が花束を渡される側になるなんて…。不思議な気持ちです」と桑村騎手。今年も未来のリーディングジョッキーを夢見る騎手候補生たちが「トップの騎手達ならではのレースを見たい」と目を輝かせていた。
第1戦のマイスターチャレンジ(1500メートル)は、その桑村騎手のアキノアッパーが8枠(13番)から先手を主張しペースを握った。同じく8枠(14番)の繁田健一騎手(浦和)のトウカイフェスタも大外からダッシュをきかせ2番手につけた。後続の隊列もすんなり決まり後半の動きに注目となったが、この日の川崎競馬は前半から前残りのレースが多く、結局このレースも先行した2頭による決着となった。直線で繁田騎手が前に出ると、桑村騎手も懸命に追いすがったものの3/4馬身及ばず、まずは繁田騎手が1着の50ポイントを手に入れた。
「直線で遊んでいたし、馬体を併せられていたら負けていたかもしれません。ラッキーでした」とレース後の繁田騎手。運も味方につけた勝利だったようだが、すでにこの段階で繁田騎手には“優勝”の文字が見えていたそうだ。
第2戦のヴィクトリーチャレンジ(2100メートル)は、騎手の勘や経験がモノを言うコースで、毎年激戦が繰り広げられる。今年も動きの激しい見応えたっぷりのレースとなった。山口勲騎手(佐賀)のビーユアエンジェルを先頭に、スタンド前では各馬がギュッと固まってのスローペース。そして向正面に入り御神本騎手のダンスピースが後方から一気に進出を開始すると、それをきっかけにその他の騎手の手もさかんに動き始めた。しかしこのレースを制したのは、この時中団でじっと我慢していた赤岡修次騎手(高知)のケイエスキングオー。「3~4コーナーでは、前は全部捉えられる」と思ったほどの抜群の手ごたえでゴールまで突き抜けた。2着も後方待機から直線の末脚を生かした繁田騎手のビッグライトで、半馬身差まで迫った。
会心の勝利に笑顔がはじけた赤岡騎手は「スタートが良くて前に行こうとも思いましたが、脚を溜めるレースにしようと考えを切り替えたことが好判断でした」と振り返った。
例年、2戦目が終わった直後というのはポイント計算で慌ただしくなるのだが、今年は優勝者が明らかだった。1着、2着で88ポイントを獲得した繁田健一騎手が断トツ。2位は、5着、3着で55ポイントの的場文男騎手(大井)。3位は、14着、1着で52ポイントの赤岡修次騎手となり、表彰式は三者三様の言葉でファンを沸かせた。
一昨年のチャンピオンである繁田騎手は、このシリーズの歴史の中で初の優勝2回となった。繁田騎手によると、第1戦を勝った時点で「おそらく自分が優勝するだろう」と思っていたという。インタビューでは「2回も勝ってしまって申し訳ないです」と謙遜気味の様子がいかにも繁田騎手らしかったのだが、9年連続浦和リーディングの実力をきっちり出した結果であろう。
的場文男騎手は自分が入賞しているとは思っていなかったようで「本当に2位!? 嬉しいなぁ!」と声高に喜んだ。今年は負傷中の今野忠成騎手の代打出場だったのだが、当人も3年前にケガで出場できなかったためリベンジを果たしたことになる。ファンから一際大きな声援を浴びる57歳のベテランは、まだまだ衰えを知らないようだ。
そして、8回目の出場で初めて表彰台に上がった赤岡修次騎手。1戦目で最下位という絶望的とも思えた位置から、2戦目の勝利で総合3位を獲得。ポイント制の戦い方を知り尽くしている騎手が、その面白さも示してくれた。
繁田騎手が最後にこんなことを言っていた。「このレースに参加する騎手はみんな上手いから、本当に安心できるし乗りやすいんですよ」。だからこそ、この舞台では真の腕比べが実現するのであろう。今年もトップジョッキーたちの競演は、私たちファンを魅了させてくれた。
繁田健一騎手
(浦和)
的場文男騎手
(大井)
赤岡修次騎手
(高知)