圧倒的な強さで駆け抜けた1年
最後に現れた強敵にも完勝
メーデイアによるシンデレラストーリーの最終章は、1年前に快進撃が始まったTCK女王盃JpnⅢが舞台。その引退の花道には強敵が現れた。今回がダートグレード初挑戦とはいえ、前走ダートのオープン特別で牡馬相手に2着と好走を見せていたワイルドフラッパーだ。しかしそれ以外は勝負付けが済んだ相手ばかり。単勝はメーデイアが1.4倍で1番人気だが、馬連複ではそのワイルドフラッパーとの組み合わせが1.8倍と2頭に人気が集中した。先頭に立ったのは、やはりこれまで逃げ・先行で結果を残してきたワイルドフラッパーで、メーデイアはすぐに馬体を併せに行った。最初のコーナーワークでワイルドフラッパーが単独で先頭に立ったが、向正面でペースが落ち着くと、メーデイアは半馬身ほどの差でぴたりと追走、相手にプレッシャーをかけた。直後には、中央から南関東への移籍組レッドクラウディアとオメガインベガスで、さらにほかの中央勢も続いたが、人気2頭はそれら伏兵勢に並びかけることすら許さなかった。
4コーナー手前でメーデイアがワイルドフラッパーに並びかけたところから2頭の一騎打ち。ぴたりと馬体を併せての叩き合いとなったが、ワイルドフラッパーの抵抗は残り100メートルまで。メーデイアがじわじわと差を広げ、ゴールでは2馬身半差をつけての勝利。賞金別定でメーデイアのほうが2キロ余分に背負っていたことを考えれば完勝ともいえるレース内容で、3着のカラフルデイズにはさらに5馬身もの差がついた。
共有馬主クラブの規定によって今春での引退・繁殖入りが決まっていたメーデイアは、昨年のJBCレディスクラシックJpnⅠを制して頂点を極めたあと、管理する笹田和秀調教師からは、ジャパンカップダートやフェブラリーステークスなど、牡馬相手のGⅠ挑戦が語られ、そのとおりジャパンカップダートに出走。しかし10着と結果を残せず、最後にもうひと花をということでの今回の勝利。ダートの牝馬では圧倒的な強さのまま1年を駆け抜けた。
一騎打ちに敗れたワイルドフラッパーのクリストフ・ルメール騎手は、「最後のコーナーで追い出して、勝てるのではないかという反応だったんですが、相手のほうが一枚上。ただ彼女なりのいいレースはできました」という真っ向勝負での結果。ただ負けたとはいえ、これまでに牝馬ダートグレード戦線でメーデイアと互角に叩き合ったという馬はなく、引退するメーデイアに代わって主役の1頭になるであろうという走りは見せた。
濱中俊騎手
メーデイアのおかげでいろいろな競馬場で大きなレースを勝つことができ、貴重な経験をさせてもらいました。1年前のTCK女王盃から今日まで、あっという間の彼女のシンデレラストーリーに自分が騎乗できたことを誇りに思います。地方競馬の皆様が彼女をスターホースにつくりあげてくれたと思っています。
笹田和秀調教師
逃げるだろうと思っていた馬が逃げて、対戦したことがない相手だったので、どれくらい粘るかと思って見ていましたが、すんなり2番手につけて手応えがよさそうだったので、なんとかなるだろうと思いました。去年のこのレースできっかけをつかんで、最後にまたこのレースで締めくくれてホッとしています。