早め先頭から後続を突き放す
ダート3連勝でJpnIを射程に
地方勢は多彩な、そして期待の大きい顔ぶれとなった。圧倒的なスピードでここまで7戦7勝という福山のカイロス。エーデルワイス賞JpnIIIで中央勢を寄せつけなかった北海道のハニーパイ。そして地元代表は兵庫若駒賞を制したエーシンクリアー。しかし、例年以上に充実したメンバーが集まった中央勢はダート2勝馬が3頭、アースゼウス、アップトゥデイト、ケイアイレオーネの単勝オッズが2~3倍台と人気が集中。レースでもその人気どおりのレベルの高さを見せつけられることとなった。
カイロスが好ダッシュを決めたが、内から地元のオオエピクシーがハナを奪った。先行力のあるアースゼウスも好スタートで、3頭が競りあうように先行。前走同様やや出負けしたケイアイレオーネだが、1~2コーナーでは先団の直後につけ、ハニーパイも追走、アップトゥデイトは後方3番手からの追走となった。
福山期待のカイロスにとっては経験したことのない厳しいペースで、向正面で後退。代わって抜群の手ごたえで進出してきたのがケイアイレオーネだった。向正面半ばで先頭に立つと、あとは後続を寄せつけず、向正面からロングスパートで追ってきたアップトゥデイトを5馬身ちぎっての圧勝となった。直線でアースゼウスを交わしたハニーパイが3着、同じく北海道のヨウメイモンが5着に入り、地元期待のエーシンクリアーは6着だった。
勝ったケイアイレオーネの前走は東京ダート1400メートル戦。4コーナー中団からの追い込みで、粘り込みを図る人気馬をとらえての勝利。対して今回は向正面から早めのスパートに思えた。しかし東京競馬場のダートコースが直線だけで約502メートルあるのに対し、園田競馬場は1周が1051メートル。「府中でも最後の3ハロンはきっちり伸びていたので、それを考慮して早めに動いたと思います」とは西浦勝一調教師だが、早めに動いたといっても、実際には同じように残り3ハロンあたりから長く脚を使っての勝利だった。
勝ちタイム1分26秒4(稍重)はレースレコード。過去のこのレースの勝ちタイムは1分28秒台が標準で、最速はアドマイヤタッチ(第1回)とラブミーチャン(第11回)の1分27秒5。2回ともスピードの出やすい重馬場で、そのタイムを一気に1秒以上縮めての決着だった。もちろん先行争いが激しくなったこともあるが、地方勢にとってはいかにも厳しいレベルの高さ。過去の勝ちタイムに照らし合わせれば、3着のハニーパイや5着のヨウメイモンあたりが勝っていてもおかしくないというレベルだったのではないだろうか。
勝ったケイアイレオーネは、デビューから芝を3戦して結果が出ず、ダートに替ってこれで3連勝。「次はジーワンを狙います」と西浦調教師。一躍、全日本2歳優駿JpnIの最有力候補に躍り出た。
幸英明騎手
スタートはちょっと遅かったですが、押して行っていいポジションがとれればと思っていました。無理なく向正面では先頭に並びかけてハナに立てたので、これならという手ごたえでした。馬が1頭になって遊んでいたので、外からどれか来てほしいと思ったんですが、うしろを見たらもう離れていました。
西浦勝一調教師
芝は合わなかったみたいですね。ダートを使うたびにレース内容がよくなってきて、馬がまったく変わってきました。スタートはいつもよくないですが、最後までしっかり伸びてくれると思っていたので、幸騎手が早めに動いて、それがいい結果になったと思います。