早めの仕掛けで直線差し切る
2年連続ダート女王の座に
前哨戦のレディスプレリュードでは、馬連複で1.4倍という人気となったダート牝馬の2強、ミラクルレジェンドとクラーベセクレタだが、結果は明暗の分かれるもの。クラーベセクレタはプラス15キロの太め残りに加え、スタートで後手を踏み、直線ではあきらめた感じのレースぶりだった。
しかし今回のクラーベセクレタは、大一番のここが目標とばかり、マイナス13キロと前回増えていた馬体をしっかり絞ってきた。それゆえファンは再び2強対決に期待を寄せ、ミラクルレジェンドとの馬連複で1.5倍と人気を集めた。とはいえ、やはり1番人気は前哨戦を快勝して臨むミラクルレジェンドで1.4倍、クラーベセクレタは2.8倍だった。
レースを盛り上げたのは、北海道から遠征のサクラサクラサクラだった。勢い良く飛び出して先頭に立つと、4ハロン目に13秒7という道中で息の入る楽な流れに持ち込んだ。2強は中団を追走。向正面では先行集団のうしろで、真ん中にサトノジョリーを挟み、ラチ沿いにクラーベセクレタ、外にミラクルレジェンドが併走して追走する展開となった。
4コーナーでもサクラサクラサクラの手ごたえは楽。鞍上の森泰斗騎手は、「自分のペースで行けて、4コーナーではやったと思った」という。
しかし力の差は歴然だった。外から進出してきたミラクルレジェンドが残り100メートルを切って抜け出し、クラーベセクレタも内から馬群を捌いて抜けてきた。
ダート牝馬の頂上決戦は2強がその実力を見せての決着。先に抜けたミラクルレジェンドが、クラーベセクレタに1馬身半の差をつけての勝利。サクラサクラサクラが3/4馬身差でしぶとく3着に粘っていた。
勝ったミラクルレジェンドは、4コーナーから直線を向くところで視界が完全に開けたのに対し、一方のクラーベセクレタは内の狭いところに入り、抜け出すまでにちょっと手間取った様子だった。2頭に実力の差はなく、勝ち負けはコース取りの差だったかもしれない。管理する藤原英昭調教師は、「広いコースだったらもっと余裕あったと思うんですけど、このコースで岩田騎手がうまいこと乗ってくれました」と、好騎乗を讃えた。
このレース連覇で、あらためてダート女王の座を揺るぎないものとしたミラクルレジェンドの今後は、あらためて牡馬一線級との対戦になるようだ。
このレースの前日に京都競馬場で行われた、みやこステークスGIIIでは、同じく藤原調教師が管理する1つ下の半弟ローマンレジェンドが、同じく岩田騎手で勝利。ダートで6連勝中と快進撃を見せている。藤原調教師はミラクルレジェンドの次走が「どこになるかはまだわかりませんが」と前置きした上で、JRAのダートでは最高峰の舞台となるジャパンカップダートGIで、姉弟の直接対決にも想いを馳せている様子だった。
岩田康誠騎手
今日は勝つために来ました。ペースは遅くても速くても、この馬はどういう展開にも対応できます。川崎の3~4コーナーだけクリアできればと思っていました。少し膨らんだところもありましたが、立て直して走ってくることができました。
藤原英昭調教師
帝王賞のあと連闘で使って、ちょっとかわいそうなことをしました。前走を叩いてここという目標を立てていましたから、ほんとに馬がよくこたえてくれました。直線が短いので、早めに仕掛けるというのは作戦にありました。3~4コーナーでスピードに乗って来たので、そのままいけると思いました。