ライバルを目標に突き放す
6馬身差圧勝で連覇達成
今年のブリーダーズゴールドカップJpnⅡは、JRA勢5頭と浦和から参戦してきたトーセンスターン、そして地元ホッカイドウ競馬唯一の出走馬となったエイシンブイダンスと7頭で行われる予定だったが、エイシンブイダンスが出走取消。24回の歴史で初めてホッカイドウ所属馬がゲートインしないという、地元ファンにとってはいささか寂しい状況で行われることとなった。
だが、その寂しさを吹き飛ばすかのように、JRA勢は豪華メンバーが揃った。ともに単勝1倍台という人気で注目を集めたのが、今年のフェブラリーステークスGⅠの勝ち馬であるテスタマッタと、このレース連覇を狙うシビルウォー。しかも、テスタマッタに騎乗するのは今年の日本ダービーを制した岩田康誠騎手であり、シビルウォーに騎乗するのは2年前に日本ダービーを制した内田博幸騎手。地方を代表する名手から、中央競馬のトップジョッキーとなった2人の争いも加味されたレースは、まさにマッチレースの様相を深めていった。
しかし、そのマッチレースを素直に完結させてくれないのが、今年の門別の馬場。開幕以来、先行有利、そして追い込み有利と馬場状況がめまぐるしく変化していたが、先週からは再び先行有利へと変わっていた。しかもレース当日朝の雨で水を含んだ馬場は、先行馬有利どころか、この日の高い連対率が示すとおり逃げ馬有利の様相を深めていった。
少頭数のレースは流れが落ち着くことが多いが、先行有利ということを分かっていたジョッキーたちは、スタート直後から好位置をキープしようと動き始める。スタート後の直線でメイショウタメトモとピイラニハイウェイが並んだと思った矢先、その2頭をかかり気味に交わしていったのが、フェブラリーステークスGⅠを追い込みで制したテスタマッタだった。
しかし、このライバルの動きを「目標とする馬が前にいたのでレースがしやすかった」と冷静に見つめていたのが内田騎手。3コーナー過ぎではテスタマッタに並びかけるようにポジションを上げていき、そして最後の直線で並ぶ間もなく交わすと、テスタマッタに6馬身差をつける圧勝となった。
先行して良し、追い込んで良しのレースを見せるテスタマッタだが、この日の馬場が持ち味であるを自在性を殺してしまったことは否めない。それでも3着に入ったメイショウタメトモの追撃を振り切って2着を確保したのは、さすがGⅠ馬の底力と言えそうだ。
内田博幸騎手
この日は先行逃げ切りのレースが続いていたので、直線でヨーイドンの競馬をするよりは、早めに動いて行こうと思っていました。馬自身もいい感じで動いてくれましたし、最後の直線では一生懸命に追っていたら、あっという間に後続との差を広げてくれました。
戸田博文調教師
昨年、初重賞を勝たせてもらったレースですが、今年も調子を上げて臨むことができました。昨年はこのレースをきっかけに頑張ってくれましたし、今年も秋に繋がるような結果を残してもらえればと思います。このあとは昨年と同様に白山大賞典を目標にしていきます。
勝ったシビルウォーは、2000年、01年のウイングアローに続く史上2頭目の連覇。ほかにメイショウアムールが96年、98年に2度制しているが、未だかつて3連覇を果たした馬はいない。
「重賞初制覇を果たしたのもこのレースですし、今後、どのレースを使っていくかは、馬とオーナーとの相談となりますが、相性のいいレースを使っていきたいですね」と、管理する戸田博文調教師はレース後に語っていたが、この日、門別競馬場に詰めかけたファンは、その強さに魅せられるとともに、ブリーダーズゴールドカップJpnⅡの歴史で初となる3連覇の瞬間も見たいと思ったに違いない。
「重賞初制覇を果たしたのもこのレースですし、今後、どのレースを使っていくかは、馬とオーナーとの相談となりますが、相性のいいレースを使っていきたいですね」と、管理する戸田博文調教師はレース後に語っていたが、この日、門別競馬場に詰めかけたファンは、その強さに魅せられるとともに、ブリーダーズゴールドカップJpnⅡの歴史で初となる3連覇の瞬間も見たいと思ったに違いない。
取材・文:村本浩平
写真:中地広大(いちかんぽ)
写真:中地広大(いちかんぽ)