レースハイライト タイトル
dirt
2012年4月18日(水) 大井競馬場 1200m

直線堂々と抜け出し完勝
自信を取り戻して重賞連勝

 前走黒船賞JpnⅢで久々に重賞を制したセイクリムズンの連勝なるか、その黒船賞で連勝が途切れたスーニが巻き返すか、注目はこの2頭の対決に集まった。パドック周回中からこの2頭の単勝オッズは2倍台前半で、1、2番人気は何度か入れ替わったが、最終的にはともに2.2倍。票数ではわずかにセイクリムズンが上回った。しかし結果は明暗が分かれた。
 中央から船橋に転厩して3戦目のスターボードが好ダッシュからハナを奪い、コアレスピューマ、ナイキマドリードが差なく続き、セイクリムズンは5、6番手の馬群の中。10歳のフジノウェーブは1番枠からのスタートで中団の内をキープ。スーニは近走と同じように後方3番手からの追走となった。
 直線を向いてもスターボードが先頭だったが、満を持して追い出されたセイクリムズンが残り100メートルでとらえると、あっという間に突き放して完勝。内ラチ沿いを回ってきたフジノウェーブがスターボードをとらえて2着を確保。スーニは黒船賞に続いて見せ場をつくれず11着に敗れた。
 セイクリムズンを勝利に導いた岩田康誠騎手の話が印象的だった。岩田騎手は2年前の春に2度だけセイクリムズンの手綱をとったことがあり、オープン特別の栗東ステークスを勝ってもいる。その後何人かの騎手がセイクリムズンの鞍上となったが、岩田騎手はその間もレースぶりをしっかり見ていて、近走はしばらく勝てないレースが続き、馬が自信をなくしていたと。そして手綱が戻った前走の黒船賞を勝ったことで、今回は馬が自信を取り戻し、レース前の雰囲気からしてまったく違っていたという。逃げても、控えても、どこからレースをしても勝てる。まさにそうした自信のほどがうかがえるレースぶりでの快勝となった。今後も1400メートル以下の地方で行われるダート交流重賞戦線を使っていくとのことで、この路線では中心的な存在となりそうだ。
 そしてフジノウェーブが1馬身半差で2着。最内枠に入ったという幸運もあるが、ラチ沿いの最短距離を通り、直線で前をとらえるという、前走3連覇を果たした東京スプリング盃とまったく同じようなレースぶり。今回は勝った馬が強すぎたというべきで、上り3ハロンは、そのセイクリムズンよりコンマ1秒遅いだけの35秒8。JpnⅠ勝ちがあるためセイクリムズンより2キロも重い58キロを背負っていたことを考えれば、恐るべき10歳馬といえよう。JBCスプリントJpnⅠを制したのはもう5年も前のことだが、今年は久しぶりに秋のダート短距離戦線も盛り上げてくれるかもしれない。
岩田康誠騎手
前回(黒船賞)はちょっと重めだったということもありましたが、馬が自信なさげに走っていました。で、前回の勝ちで、今日はすごく自信を取り戻した内容のレースでした。スタートでクビくらい遅れたんですけど、追走も楽でしたし、最後はよく伸びてくれました。
服部利之調教師
黒船賞のときはちょっともたついた感じだったんですが、今回はいい感じで仕上がったと思います。昨年、休養明けの初戦(東京盃)、2戦目(JBCスプリント)で大井の1200メートルを使わせてもらい、あのときの状態であれだけ走れるのであれば、きちんと仕上げれば走ってくれると感じていました。


取材・文:斎藤修
写真:いちかんぽ(森澤志津雄、川村章子)