レースハイライト タイトル
dirt
2013年3月20日(祝・水) 名古屋競馬場 1900m

前走同様3馬身突き放し完勝
JpnⅢ連勝でさらなる高みへ

 名古屋大賞典JpnⅢは近年、JRA馬が上位を独占して人気どおりの堅い決着になることが多い。地方馬の勝利はちょうど10年前、地元名古屋のマルカセンリョウまでさかのぼらねばならない。そのマルカセンリョウは現在、大レースが行われる時に限られるものの、ここ名古屋競馬場の誘導馬として、この日も出走馬たちを見守っていた。
 今回も人気上位はJRA勢で、佐賀記念JpnⅢで1、2着だったホッコータルマエ、エーシンモアオバーに人気が集中し、ランフォルセまで3頭が単勝オッズ一桁台。地方勢では、オッズこそやや離れたものの、トライアルの梅見月杯を圧勝してきた地元のサイモンロードが4番人気で、JRA勢上位独占の一角崩しに期待がかかった。
 果敢にハナを奪ったのは、そのサイモンロード。エーシンモアオバーが2番手で、ホッコータルマエ、ランフォルセ、ダイシンオレンジと、JRA勢が一団で好位を追走した。
 3コーナーを回ってエーシンモアオバーが先頭に立ちかけたが、これをすぐにとらえにかかったのが、直後でマークしていたホッコータルマエ。サイモンロードは後退して3番手以下が離れ、人気2頭の一騎打ちになるかに思えたが、手ごたえの差は歴然だった。
 ホッコータルマエは直線を向いて幸英明騎手に追い出されると、あっという間にエーシンモアオバーを突き放し、残りわずか100メートルほどで3馬身差をつけてのゴール。さらに4馬身離れての3着にダイシンオレンジが入り、地元期待のサイモンロードは4着だった。
 勝ったホッコータルマエは、昨年8月のレパードステークスGⅢが重賞初勝利で、その後ジャパンカップダートGⅠでも3着と好走していた。しかし当時の状態としてはまだまだで、それだけにむしろ先々への期待は大きかったと幸騎手。年明け初戦の東海ステークスGⅡでも3着だったが、西浦勝一調教師によると、今年になって状態は上向いてきていたという。しかしフェブラリーステークスGⅠは、登録段階で除外対象。それゆえ6日前の佐賀記念に矛先を変え、3馬身差の完勝。さらに今回もエーシンモアオバーに同じ3馬身差をつけての連勝となった。
 仮にホッコータルマエがフェブラリーステークスに出走できていれば、もちろん上位争いの可能性は十分にあっただろう。しかしむしろ今後ダートグレード戦線で使いたいレースに出走するためには、ここで連勝して賞金を確実に加算できたことはよかったのではないか。今年前半の目標は帝王賞JpnⅠとのこと。ダート中長距離路線は、スマートファルコン、フリオーソ、トランセンドらが昨年引退したことで覇権争いが混沌としているが、ホッコータルマエはその有力候補の1頭といっていいだろう。
幸英明騎手
エーシンモアオバーをマークする形で、向正面から3~4コーナーでもずっと手ごたえがよかったので、これならという雰囲気で直線を向きました。去年はこのレースをニホンピロアワーズで勝たせていただいて、そのあとJCダートも勝っていますので、この馬でも同じようになればと思っています。
西浦勝一調教師
レースセンスがすごくいい馬なので、道中はうまくエーシンモアオバーをマークする形になって、安心して見ていられました。レースの仕方も上手になって、今年になってさらに力をつけてきています。次走は未定ですが、帝王賞までに賞金を稼いで、確実に出られるようにやっていきたいと思っています。


取材・文:斎藤修
写真:宮原政典(いちかんぽ)