JpnⅠタイトル馬2頭のワンツー
早め先頭でライバルを振り切る
スマートファルコンやトランセンド、フリオーソといったダート界を支え続けた雄たちが現役を引退して種牡馬入り、次世代を担っていくメンバーが集結した今年の川崎記念JpnⅠ。昨年のJBCクラシックJpnⅠの覇者ワンダーアキュートと、ジャパンダートダービーJpnⅠを制したハタノヴァンクールの一騎打ちムードで、結果もこの2頭でのワンツー、軍配が上がったのは僅差でハタノヴァンクールのほうだった。
「ストライドの大きな馬なので小回りの競馬場ということや初めての左回りなど不安な点も多かったんですが、戸惑いながらも馬が頑張って走ってくれたのでホッとしています」とハタノヴァンクールとコンビを組んだ四位洋文騎手。
レースは、タカオノボルがハナを切ってゆったりしたペースに落とすと、ワンダーアキュートが2番手につけ、その後ろからハタノヴァンクールも追走し、中央勢5頭が先団を形成。2周目の2コーナー付近でタカオノボルが物見をしてバランスを崩すと、一気にグラッツィアが先頭に変わり、ワンダーアキュートとハタノヴァンクールも変わらず続いていった。
勝負どころの3~4コーナーではハタノヴァンクールが一気に外から進出。「コーナーではスピードがどうしても落ちるので、前半のコーナーは馬に負担をかけないようにして、最後の3コーナーから思い切って押していきました。ワンダーにもちょうどいいプレッシャーをかけられましたね」(四位騎手)。ハタノヴァンクールが、粘っていたグラッツィアを競り落として先頭に立つと、盛り返してきたワンダーアキュートの追撃を半馬身差で振り切った。
ハタノヴァンクールは明け4歳で今回は斤量56キロ。5歳以上の馬たち(57キロ)とは1キロ差の恩恵はあったのだが、4歳馬の勝利はレギュラーメンバー以来12年ぶりとなる快挙だ。キャリアの豊富な馬たちが席巻しているダート界において、ハタノヴァンクールの存在はひじょうに頼もしい。
「距離が短くなると好位から競馬ができないので、現状では2000メートルくらいがいいですね。序盤の追走がもっと楽にできることが課題です」と四位騎手は話していたが、昆貢調教師も「スピードの足りないところがあるのでそのあたりをクリアしたいです」と目指す部分は共通しており、成長していく姿を追いかけるのも楽しそうだ。
一方で2着のワンダーアキュートに騎乗した和田竜二騎手は、「リズムよく進めていけたんですが、去年のJBCクラシックを勝ったときほど3~4コーナーの反応が良くなくてマクられてしまいました。それでも最後はまた盛り返して詰め寄ってくれているんですが……もったいなかったです」と振り返っていた。ワンダーアキュートにとっては残念な結果に終わったが、ここ最近の安定ぶりは目を見張るものがある。ハタノヴァンクール同様ワンダーアキュートも今後のダートグレード戦線の中心的存在であることは変わらない。
川崎記念JpnⅠは地方競馬の総大将だったフリオーソが4歳から5年連続で参戦し、優勝1回、2着3回、3着1回と素晴らしい成績を収めてきた。今年は中央勢が掲示板を独占し、地方のファンにとっては寂しい結果に終わったが、改めてフリオーソの偉大さが身に染みた人も多かっただろう。第二のフリオーソが地方から誕生することを願わずにはいられない。
四位洋文騎手
内枠(3枠3番)だったので、僕は乗っていませんでしたが東京大賞典(2着)のように内に閉じ込められる形になったら嫌だなぁと思っていたので、いいところで外に出せてワンダーを見ながら進めることができました。今年は飛躍の年にしたいので、年初めの一発目にいい形で勝てて良かったです。
昆貢調教師
調教のしやすい馬なのでメニューは順調にこなせました。左回りは大丈夫だと思っていましたが小回りが心配でしたね。早く先頭に立ったことがないので戸惑っている感じでしたが、相手が来たらまた頑張ってくれました。今年前半の最大目標は帝王賞に置いてローテーションを組んでいきたいです。