レースハイライト タイトル
dirt
2013年1月23日(水) 大井競馬場 1800m

直線一瞬にして後続を突き放す
重賞初挑戦ながら圧巻の勝利

 年明け最初の交流重賞でもあり、ここからまた新たに牝馬ダートの頂点を目指す戦いが始まる。JBCレディスクラシック連覇のミラクルレジェンドはこの3日前の東海ステークスGⅡにまわり(6着)、地方勢でもクラーベセクレタ、サクラサクラサクラらJBC上位馬が回避。前走クイーン賞JpnⅢを圧勝したレッドクラウディアが断然人気となった。地方初参戦のメーデイアが2番人気で、馬連複ではこの2頭の組み合わせが2.1倍と人気が集中。クイーン賞(10着)から巻き返しを図るエミーズパラダイス、このレース連覇を狙うハルサンサンが続いた。
 ハナを奪ったのは、クイーン賞同様レッドクラウディアで、差なくエミーズパラダイス、メーデイアと雁行状態で先行する展開となった。
 この人気上位3頭の明暗が分かれたのは3コーナー過ぎから。エミーズパラダイスが徐々に後退、メーデイアがレッドクラウディアに並びかけ、一旦は2頭の一騎打ちかに思えた。しかし手ごたえの差は歴然で、必至に追うレッドクラウディアに対し、直線を向いて追い出されたメーデイアがあっという間に突き放した。残り100メートルのあたりでは鞍上の濱中俊騎手が追うのをやめる余裕のゴール。道中は中団に控え、直線で伸びてきた8番人気のアクティビューティが5馬身差の2着に入り、レッドクラウディアはなんとか粘って3着を確保した。
 地方馬で見せ場をつくったのは、前走クイーン賞でも3着に食い込む好走を見せた高知のアドマイヤインディだった。スタート後は中団うしろだったが、向正面から仕掛けると3コーナーでは前3頭の直後まで進出。さすがに勝ち馬には離されたが、それでもレッドクラウディアには食らいつき、3/4馬身差の4着。「仕掛けがちょっと早かったかなあ」と悔しそうに振り返った宮川実騎手だが、向正面から追いどおしで、大井の長い直線でもバテずに中央のオープン馬と互角の勝負。惜しくも馬券にはからめなかったが、地方最先着で唯一掲示板を確保した。中央時代は500万下でも苦戦という成績だったが、高知に移籍して力をつけたのだろう。交流重賞での可能性はもちろん、グランダム・ジャパン古馬シーズンでの活躍も期待できそうだ。
 勝ったメーデイアは、今回が重賞初挑戦。デビューからダートを中心に使われ、3着を外したのが2度しかないという堅実な成績を残していた。前走準オープンでも牡馬を相手にほぼ勝ちに等しいレースぶりでの2着だっただけに、牝馬同士ならと期待されての差のない2番人気。圧巻のレース内容には、「思った以上に強い競馬をしてくれたので、びっくりしています」と笹田和秀調教師。初めての関東圏への輸送であり、馬のみならず、笹田調教師、濱中騎手ともに大井競馬場はこれが初めて。それゆえか、パドックでは馬がかなり落ち着かない様子だったという。そうしたハンデを克服して勝ったことや、さらには5歳ながらこれがまだ12戦目と使い込まれていないだけに、今後のダート牝馬戦線では主役を張る存在となりそうだ。
濱中俊騎手
少しスタートが遅かったので番手からの競馬でしたが、手ごたえもよかったです。レッドクラウディアが前にいましたが、真っ向勝負で早めから競りかけるような形で、ほんとに強い内容だったと思います。地方の競馬場は合うと思っていましたし、自分たちの思っていたとおりの結果になりました。
笹田和秀調教師
3コーナーからの手ごたえでは、この馬が一番良かったので、これは勝てるんじゃないかと思って見ていました。馬場が合ったのか、この地方競馬が合ったのか、馬がずいぶんしっかりしてきたので、こういう結果につながったと思います。


取材・文:斎藤修
写真:川村章子(いちかんぽ)