JRAで行われる国際騎手招待競走「ワールドスーパージョッキーズシリーズ」(WSJS 12/3・12/4 阪神競馬場)に出場する地方競馬代表騎手の選定(2ステージ4レースの総合ポイント制)を行う競走で、現在の名称で実施されるようになったのは2006年度から。
 各競馬場を代表する名ジョッキーが一堂に会し、大舞台(WSJS)への1枚切符を巡り、華麗なる技の競演が繰り広げられ、熱戦が期待されるシリーズ。なお、SJTからWSJSに出場した浜口楠彦(笠松/06年度)・赤岡修次(高知/07年度)・菅原勲(岩手/08年度)の各騎手は、いずれもシリーズ内で1勝を挙げる活躍を見せている。

 三部作のノンフィクション DRAMATIC3
 【第一部 スーパージョッキーズトライアル】
 〜1着以外はダメ。それを体験している者たちだけの戦いがある。この走りには必ずドラマがある〜



『竹見の見解 番外編 SJT総括』はこちらです。

第1ステージ
第2ステージ

2戦ともに人気馬同士の決着
ポイント争いは大混戦

 今年もワールドスーパージョッキーズシリーズ(WSJS、12月3・4日、JRA阪神競馬場)への1枚の切符を懸け、全国のトップジョッキー14名が集結した。メンバーを見渡すと、最年長が東川公則騎手(笠松)の42歳で、次いで山口勲騎手(佐賀)が41歳、下は20代が2名おり、ベテランの活躍が目立った昨年に比べるとかなり若返った印象を受ける。それゆえ、積極果敢なレース展開に期待が膨らむ今年のSJTといえよう。
 第1ステージの舞台は川崎競馬場。朝から好天に恵まれ、馬場状態も前日の不良から重に回復した。日が落ちる頃には10月らしい涼しい風が心地良く、ナイター競馬日和。金曜日ということもあり、18時半から行われた騎手紹介式の頃には大勢のファンが集まり、騎手たちに声援を送った。
 検量室前では早くから出場騎手たちが準備を始め、報道陣の取材に答えたり、騎手同士が談笑する場面も見られ和やかな雰囲気だった。しかし、レースが始まると皆一斉にモニターの前で真剣な表情となり、もう勝負は始まっているのだという雰囲気を感じ取れた。
 第1戦のシルバーサドル賞は、馬場入場で赤岡修次騎手(高知)のミリオンスイートが放馬し競走除外。レースがスタートすると、1コーナー手前で岡部誠騎手(名古屋)のヤマニンフィズが転倒し、落馬競走中止となった。
 レースは、先行争いから内枠を利して御神本訓史騎手(大井)のキタサンメールがハナに立ってペースを握り縦長の展開。3〜4コーナーでは、道中中団につけていた村上忍騎手(岩手)のプリティーパインが外から手ごたえよく進出し、直線半ばで逃げ馬を捉えるとそのまま突き抜けた。御神本騎手のキタサンメールが粘りを見せ2着。直線で内から伸びた東川騎手のヴィップクオリティが3着に入った。
 周囲から祝福の声をかけかれる中で、「岩手競馬応援しているから」という言葉に、「ありがとうございます、がんばります」と丁寧にお辞儀をしている村上騎手の姿が印象的だった。
 第2戦のシルバーブライドル賞は、人気馬が前を占める展開の中で、先手をとった戸崎圭太騎手(大井)のラヴァリーズームが、直線でもうひと伸び。後続が懸命に追いすがるも及ばず、ラヴァリーズームの逃げ切り快勝となった。1番人気の今野忠成騎手(川崎)が2着争いを制し、3着には終始好位でレースを進めた吉原寛人騎手(金沢)のエンジンソウルが入った。
 レース後、戸崎騎手は「第1戦で最下位だったので、なんとか名古屋ラウンドに進みたいと思っていました。ほっとしました」と満面の笑顔で語った。
 SJT第2ステージに進めるのはフルゲート頭数の関係で上位12名。気になるポイント争いは、第1戦の勝者、村上騎手と、第2戦の勝者、戸崎騎手が共に21ポイントを獲得。規定により、戸崎騎手が1位、村上騎手が2位となった。6着、3着と堅実にポイントを加算した吉原騎手が3位につけた。しかしながら、「1着と最下位」の騎手が最高得点という結果からわかるように、第1ステージは大混戦。トップから10位までが10ポイント以内にひしめきあっている。最下位も5ポイントで3名が並び、これも規定により残念ながら山口騎手、杉村一樹騎手(荒尾)が脱落となった。
 昨年から騎乗馬選定の際に、近走成績等を参考にグループ分けを行った上での抽選に変わったため、熾烈なポイント争いが繰り広げられるようになったのだが、今年は昨年以上の接戦。1ポイントも無駄にできない状況だ。
 第2ステージ、最終決戦の場は名古屋競馬場。WSJS地方競馬代表の座を勝ち取るのはどの騎手か。熱い戦いが待ち遠しい。
取材・文:秋田奈津子
写真:いちかんぽ(森澤志津雄、川村章子)、NAR
第1ステージ優勝
戸崎圭太騎手
第2戦では、返し馬でとてもいい馬だと感じたので、これはやれるかなと思いました。初戦で不甲斐なかったので、名古屋ラウンドには行きたいな、まずはそこを通過しなくてはという気持ちでした。第2戦でいい馬に乗せてもらい結果が出せてよかったです。なんとか1位という結果が出たので、名古屋でもいい結果を出してWSJSに出場したいです。
第1ステージ2位
村上忍騎手
第1戦では、どこからでもレースができる馬だと聞いていました。とても乗りやすい馬で、中団につけてから終始手ごたえもよく、強い競馬でしたよね。1戦目勝って2戦目は最下位と、極端な結果ですけど、次に繋がるレースはできました。岩手から応援してくれるファンのためにもなんとか結果を出せてせてよかったです。名古屋でも結果を出したいですね。
第1ステージ3位
吉原寛人騎手
1戦目ではもっといい位置につけられればと思ったんですが、残念なレースになってしまいました。(前半からレースに騎乗させてもらって)内が重いかなと感じていましたが、最終レースでは直線外に出した方がよったかなと少し心残りはあります。でも総合3位なので、次のラウンドに繋げられましたね。このシリーズの出場も5年目なので、だいぶ慣れてきました(笑)。