レースハイライト タイトル
dirt
2011年6月1日(水) 浦和競馬場 1400m

早めの仕掛けで直線抜け出す
厩舎&鞍上の勢い止まらず

 6月1日は衣替えと同時にスーパークールビズがスタートしたが、関東甲信越ではすでに梅雨入りが発表されていて、連日ぐずついた肌寒い天気が続いている。さきたま杯JpnUが行われたこの日も羽織るものは1枚必要だったが、それでも雨が降らなかったのは幸いで、良馬場での実施。
 さきたま杯は今年、JpnVからJpnUに格上げされた。過去14回の歴史で地方馬の優勝は04年のロッキーアピール(川崎)ただ1頭で、断然中央馬優勢の様相を呈している。
 絶対王者のスマートファルコンが3連覇をかけて出走してくると思われていたが回避し、変わって女帝ラヴェリータが1.6倍という断然の人気を集めていた。しかし、中団からレースを進めいったん後方に下がり、最後は盛り返したものの5着止まり。「2コーナーで自分からラチにぶつかっていくなどして気難しさを出していました。スムーズに走れなかったし、力は出していません」とコンビを組んだ武豊騎手も首をかしげていた。
 この牙城を崩したのは昨年のNARグランプリ最優秀短距離馬に選定されたナイキマドリード。さきたま杯JpnUが実施された浦和1400メートルは、昨年暮れに重賞初制覇を飾ったオーバルスプリントと同条件。さらには持ち時計(1分25秒5・重)も優秀だった。
 「初めて乗せてもらった馬ですが、常々レースは見せてもらっていたのでセンスがあるなぁと思っていました。スタートに一番気をつけて乗りました」とテン乗りだった戸崎圭太騎手。
 ダッシュ良く飛び出すと、ジーエスライカーとラブミーチャンの後ろにスーッとつけてすんなり好位置をキープ。持ち前のスピードでいいポジションにつけられて、そのスピードを持続できるのもこの馬の強みでもある。
 3コーナー付近では外からグングン進出していくと、一緒にラブミーチャンも内目から上がっていき、逃げるジーエスライカーに並びかけた。「ちょっと仕掛けが速いかなぁとは思ったんですが、終始いい反応だったし、4コーナーをまわった時の手応えも十分でした」(戸崎騎手)
 直線に入ると抜群の伸び脚で先頭に立ち、そのまま力強く押し切った(勝ちタイムは1分26秒0・良)。ナイキマドリードにとって2つ目の重賞タイトルがダートグレードレースでの勝利。1馬身半差の2着にジーエスライカーが粘り、南関東のワンツー決着となった。
 それにしても、川島正行厩舎&戸崎圭太騎手のコンビは破竹の勢いで重賞を勝ちまくっている。わずか1カ月足らずで、かしわ記念JpnTのフリオーソから始まり、羽田盃のクラーベセクレタ、東京プリンセス賞のマニエリスム、大井記念のマズルブラスト、そして、さきたま杯JpnUのナイキマドリード。地方競馬を代表するゴールデンコンビの勢いは、いったいどこまで続くのだろうか。
戸崎圭太騎手
枠順を見た時、先に行く馬がたくさんいる感じだったので、1、2コーナーは無理をしないでゆったり走らせて、あとは終始気持ち良く走らせることを考えながら乗っていました。すごく素直な馬なので、これからもいいパフォーマンスをしてくれると思いますよ。中央交流を地方馬で勝てたことがうれしいです。
川島正行調教師
浦和は直線が短いので、仕掛けのタイミングはよかったと思います。東京スプリントを叩いて、馬の状態はよくなっていましたし、調教の具合もよかったです。掛かっていく馬ではないので、距離はマイルくらいまではだいじょうぶだと思います。

スタート後の先行争い
会心の勝利に笑顔の戸崎騎手
取材・文:高橋華代子
写真:森澤志津雄(いちかんぽ)、NAR