レースハイライト タイトル
dirt
2012年3月22日(木) 名古屋競馬場 1900m

早め先頭から直線突き放す
安定した強さで主役へ名乗り

 昨年末、名古屋グランプリJpnUで重賞初制覇を果たしたニホンピロアワーズが、断然人気で名古屋コースに戻ってきた。最終的に単勝は1.6倍。とはいえJRA勢4頭のうちもっとも人気薄のダイシンオレンジでも5.1倍。対する地方勢は7頭すべてが単勝万馬券という極端なオッズ。JRA勢4頭すべてが重賞勝ち馬であるのに対し、地方勢は高知のマチカネカミカゼとリワードレブロンがようやく地方重賞をそれぞれ1勝しているのみという実績を見れば、それも仕方のないところ。
 そしてレース展開も、結果も、ほとんどそのオッズが示すとおりのものとなった。
 内枠から逃げると思われたエーシンジーラインがつまずいたような感じでやや出負けしたものの、すぐにラチ沿いから押して先頭へ。好スタートで一旦はハナに立ったニホンピロアワーズは控えてぴたりと2番手。ボレアス、ダイシンオレンジが続き、JRA勢が前を固めた。2周目の向正面に入るとこの4頭が5番手以下を引き離しにかかり、早くも興味はJRA勢のどの馬が勝つのかということに移った。
 しかし決着はすぐについた。3〜4コーナーでニホンピロアワーズが楽な手ごたえのまま先頭に立つと、直線でも軽く追われただけで後続を突き放し圧勝。エーシンジーラインがやや苦しくなって後退し、ダイシンオレンジが2番手に上がったものの、前との差は開くばかりで6馬身差で2着。さらに離れてエーシンジーライン、ボレアスの順で入線。そして地方勢に残された掲示板のひとつの枠には、高知のリワードレブロンが入った。
 前走、川崎記念JpnTではスマートファルコンを相手に5着に敗れていたニホンピロアワーズだが、ゆったり流れる地方競馬が舞台のこの距離で、好位につけて楽に追走できると、やはり強い競馬を見せる。前走川崎記念は、「泥んこ馬場になって戦意喪失というか、ぜんぜんハミもかからなかったし、消化不良というか、思ったようなレースができませんでした」と大橋勇樹調教師。川崎記念での大敗は参考外と考えてよさそうだ。昨年秋のジャパンカップダートGTでも着順こそ9着だったとはいえ、勝ったトランセンドからはコンマ7秒差。デビュー以来一貫してダートの中長距離を走り続け、3着を外したのがそのGT・JpnTでの2戦のみという安定感は抜群だ。
 今年上半期のダート古馬中長距離路線は、JRAの2強がドバイ遠征のためしばらくは不在。となれば、帝王賞JpnTに向けては、ダイオライト記念JpnU組に加え、このニホンピロアワーズも中心馬の1頭となりそうだ。
幸英明騎手
エーシンがスタートでもたついていたので、ぼくのほうは引っ張ったまま2番手という感じでした。手応えがよすぎて早めに先頭に立ってしまいましたが、直線は手応えどおり伸びてくれました。今回は酒井学騎手が怪我して代打だったんですけど、久しぶりに乗せていただいて、ほんとに馬が強くなってました。
大橋勇樹調教師
おそらくエーシンが行くだろうと思っていたので、幸君にはその馬を見ながらレースを進めてくれと伝えておきました。スッといいところつけられて、どこからでもレースができるのが、この馬のセールスポイントです。今のところ2000メートルかそれ以上が合ってるかなという気はしますね。


取材・文:斎藤修
写真:宮原政典(いちかんぽ)