2強対決ムードに待った!
逃げにこだわり4馬身差圧勝
浦和競馬場の現存重賞レースで最も歴史があり、グランダム・ジャパン3歳シーズンにも組み込まれた南関東牝馬クラシック一冠目・桜花賞は、今年で58回目を迎えた。昨年は東日本大震災の影響で開催自体が中止になったが、一生に一度のクラシックレースが取り止めになったのは残念としか言いようがなかった。開催が行われている普通の日常に、改めて感謝をしたい。
昨年のNARグランプリ2歳最優秀牝馬に輝いたエンジェルツイートがいよいよ始動。東京2歳優駿牝馬(優勝)以降はユングフラウ賞をステップにここへ向かう予定だったが、57キロの斤量を課せられることで、まだ固まっていない若駒に無理はさせたくないとの判断から、気のいい馬だけに桜花賞直行を選択。勢いあふれるゴールドキャヴィアとの一騎打ちムードに興味が注がれた。
そこに待ったをかけたのが、張田京騎手のコテキタイ(3番人気)。「何が何でも行かせる! 弱気でどうする! 競馬なんだから強気で行かなきゃ!」とコテキタイのスタイル“逃げ”に徹底的にこだわることを公言していた内田勝義調教師。同系のエンジェルツイートとのハナ争いは、流れも結果も左右する大きな見どころのひとつだった。
最内枠を生かしたコテキタイがスーッと前に出て楽に主導権を握る。なんと、エンジェルツイートは出遅れ、ゴールドキャヴィアは外に張っていく波乱の展開。これだからうら若き3歳牝馬のレースはわからない。
「ユングフラウ賞(4着)は同じ逃げでも厳しい展開になったからいい勉強になったと思うよ。今日は前回より楽な流れになったしね」とコテキタイの張田騎手。自分の競馬に終始徹したコテキタイは、3コーナー付近でピタッと2番手につけていたリカチャンスに並びかけられるも、再び直線で突き放して独走状態。「まさかこんなに離すとは思わなかった」と厩舎サイドは驚嘆していたが、2着のリカチャンスに4馬身差。エンジェルツイートは3着、ゴールドキャヴィアは5着に終わった。
コテキタイは北海道の角川秀樹厩舎デビューでフレッシュチャレンジを勝ち、重賞・リリーカップはレイモニの2着。南関東に転厩後は歯車のかみ合わない時期もあったが、逃げのスタイルを貫いてからは成績も安定し、体重は変わらずとも体つきがしっかりしてきたことにも目を見張る。今後は羽田盃と東京プリンセス賞の両睨みでローテーションを組んでいく予定だ。
なお、北海道の角川厩舎に所属していた馬たちが4頭(コテキタイ、エンジェルツイート、レディーソルジャー、ゴールドキャヴィア)出走していたことが話題に上がっていたが、4頭とも掲示板にのったことも記しておきたい。
昨年の南関東3歳戦はクラーベセクレタやハルサンサン、ナターレ、マニエリスムなど牡馬に勝る牝馬たちの活躍が目立ったが、今年も牝馬優勢の見方が強い。「この流れはグランダム・ジャパンの影響が大きい」と言っている関係者も多くいるが、そうだとすればこのシリーズの意味としては願ってもないことだろう。
グランダム・ジャパン3歳シーズンは、4月13日に佐賀で実施されるル・プランタン賞へと続いていく。
張田京騎手
先生から『行くだけ行ってくれ!』という指示を受けていて自分も行くしかないと思っていました。スタートではリカチャンスのほうが速かったけど、枠順も味方をしてくれて楽に行くことができました。最後まで一生懸命走ってくれて、こんなに離して勝てるとはね。まだ成長してくるよ。
内田勝義調教師
前日に優勝したシツジツゴウケンと追い切りで併せていい動きをしてくれたし期待はしていました。3コーナー過ぎてもいい感じだったし何とかなるんじゃないかと思いました。まだ毛づやは本物じゃないし、これから良くなる要素はあります。掛からないで賢い馬だから距離が延びてもいいと思います。