厳しい流れで実績馬を一蹴
本領発揮し2つ目のタイトル
スマートファルコン、トランセンドという現役ダートのトップ2がドバイ遠征で不在となったが、当初、次走にかしわ記念JpnTを予定していたフリオーソが、状態がいいことから一転して参戦を表明。昨秋からダートGT・JpnT戦線で好走を続けているワンダーアキュートとの対決が注目となった。しかし厳しい展開に持ち込み、人気2頭を一蹴したのは、3番人気のランフォルセだった。
大外枠のフリオーソが絶好のスタートでハナに立ち、ワンダーアキュートが2番手。やや出負けしたランフォルセは、ペースが落ち着いた1周目のスタンド前でワンダーアキュートを交わし、フリオーソの直後につけた。2コーナーから向正面に入ると人気3頭が前で固まり、4番手以降は大きく離される展開。やはり前の3頭の力が抜けているかに思われたが、ランフォルセにつつかれたフリオーソにとっては道中で息を入れることができず、レースの流れは厳しいものとなった。
3〜4コーナーでも4番手以降はまだ離れていたが、直線を向いて形勢が一変。ワンダーアキュートとフリオーソの脚色が鈍り、ランフォルセが先頭へ。そこに4番手集団からピイラニハイウェイとトーセンルーチェが一気に迫った。しかし最後までランフォルセが粘り、半馬身、半馬身の差でピイラニハイウェイ、トーセンルーチェと続いてゴール。ワンダーアキュートは4着、フリオーソは離れて5着に沈んだ。
ラップを見ると、まったく緩みのない厳しいペースは一目瞭然。スタートから2000メートルまででもっとも遅いラップは7ハロン目の13秒0というもの。最後の2ハロンは13秒7、14秒9と、終盤はバタバタだった。各馬の上り3ハロンのタイムを見ると、勝ったランフォルセが41秒1で、40秒を切ったのは追い込んできたピイラニハイウェイ(39秒4)とトーセンルーチェ(39秒1)のみ。
今回は、そうした厳しい流れを演出して粘ったランフォルセのスタミナが、実績上位の2頭を上回った結果といえよう。「東京(競馬場)の1600メートルは難しい感じで、コーナーが4つ回れると楽な競馬ができる」と横山典弘騎手。地方の小回りコースの長距離戦もこの馬には合っていたようだ。重賞タイトルは昨年のエルムステークスGVに続いてこれが2勝目だが、それ以前にも逃げの手に出た東海ステークスGUでワンダーアキュートのレコード勝ちに3/4馬身差での2着や、オープンのマリーンステークス(函館)でレコード勝ちという実績もあった。
「一番いいときを知っているので、もっといいパフォーマンスができるはず」と横山騎手。ドバイ遠征組が帰国し、再びフリオーソやワンダーアキュートなどとともに帝王賞JpnTあたりで対戦となれば、さらに高いレベルでの争いとなりそうだ。
そして今回、もうひとつ注目されたのが、フリオーソとトーセンルーチェによる初の兄弟対決。実績ではもちろん兄のフリオーソが断然だが、地方移籍後ダートグレード初挑戦にもかかわらず、弟のトーセンルーチェが兄に先着する結果となった。
横山典弘騎手
フリオーソをマークして、いちばんいいポジションで競馬ができました。今日は外枠だったので、スタートで出遅れても不利はなかったですが、内枠に入ったりするとまだちょっと心配です。関西馬に押されているので、ダートでも関東馬でがんばりたいと思います。