第1戦 ファイティングジョッキー賞 |
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第2戦 エキサイティングジョッキー賞 |
第3戦 チャンピオンジョッキー賞 |
最終戦の追い込みで優勝は横山騎手
出遅れ痛恨の山口騎手は届かず2位
2000勝ジョッキーによる競演、『ゴールデンジョッキーカップ』の第1回が行われたのは1988年のこと。近年では、騎手も調教師もリーディングの上位ほど勝ち星が集中する傾向にあり、この11〜12月の2カ月間だけでも全国で新たに2000勝ジョッキーが4名も誕生。地方競馬では歴代85人、現役で39人もがその大記録を達成している。
ゴールデンジョッキーカップは、途中、兵庫に2000勝ジョッキーが不在になったことで開催されなかった年もあったが、今年で区切りの第20回を迎えた。今年は初めての試みとして、園田競馬場のフルゲートを超える15名を選抜。3レースのうち各ジョッキーが2レースずつ(10頭立て)に騎乗して争われることになった。
また20回の記念として、第1回の優勝者、佐々木竹見さん、地元兵庫のジョッキーとして第6回に優勝した田中道夫現調教師をゲストに迎え、吉田勝彦アナウンサーの司会でトークショーも行われた。
園田と佐々木竹見さんのつながりはゴールデンジョッキーカップだけではない。かつて“アラブのメッカ”と言われた園田競馬場では、アラブの3歳馬による全国交流『楠賞全日本アラブ優駿』が行われていたのだが、佐々木竹見さんはその楠賞に4回出場して3勝、3着1回という成績を残している。グリンフアスト(74年)、トライバルセンプー(80年)、ゴールデンビクター(85年3着)、オタルホーマー(88年)。いずれもその後種牡馬となった、アラブの歴史に名を残す名馬ばかりだ。
吉田アナは、佐々木竹見さん自身のことについてや、活躍した楠賞の話、また田中道夫調教師が騎手時代に見た佐々木竹見さんの印象など、レースの合間の約15分という凝縮した時間の中に、興味深い話を聞き出されていた。
第1戦は、武豊騎手のジャパンプライドが単勝1.1倍の断然人気。3番手の外めを追走すると、3コーナーで前を射程にとらえ、直線半ばで余裕の手ごたえで抜けだした。3番手の内を追走した田中学騎手のエイユートルネードが追ったものの3馬身差の2着。逃げた小牧太騎手のタケデンレッドが3着で、上位3着まで人気順の決着となった。
「川原さんのアドバイスどおりに乗りました」と周囲を笑わせた武騎手。ジャパンプライドは中央未勝利で転入した3歳馬で、ここまで川原正一騎手で3連勝。これで4連勝となって、中央に戻るようだ。
第2戦は、横山典弘騎手のクールヴェントと安藤勝己騎手のルチルドラードの2頭が、本命◎、対抗◯の印を分け合い、それぞれ単勝1.8倍、2.0倍と人気を集めた。
スタートでは山口勲騎手のメイショウフジッコが躓いたような感じで後手を踏み、これが結果的に悔しい思いを残すことになる。2番手を追走していた横山騎手が、逃げた的場文男騎手のトーアランランを3コーナーで持ったままとらえると、直線では後続を突き放して完勝。3番手でマークしていた中西達也騎手のイクゼギンギラギンが6馬身差の2着。やや離れた4番手を追走していた安藤騎手は3着だった。
勝った横山騎手のクールヴェントもまた中央未勝利から転入し、これで2連勝。「美浦にいるときから見ていた馬で、中央に戻っても500万なら勝負になるのでは」(横山騎手)と、この馬も中央に戻ることになる。
第2戦を終えた時点で、ここまでに勝利を挙げている武騎手と横山騎手が20ポイントでトップ。ともに第3戦での騎乗を残していたため、先着したほうが優勝と思われた。ただし両者ともに4着以下になると、他の騎手にも優勝の可能性が出てくるという状況だ。
そして迎えた最終第3戦。武騎手はハナを奪って勝負に行った。しかし3コーナー手前で後退。そこで後方から一気にまくっていったのが山口騎手だ。重賞勝ちの経験がある3歳牝馬、1番人気に支持されたリジョウクラウンの持ち味を十二分に発揮し、4コーナーで先頭に立つと、直線突き放すという完勝。「この馬は福山(若草賞)でも佐賀(ル・プランタン賞)でも同じレースに乗って見ていました。ズブいと聞いていたんですが、向正面で手ごたえが違いました」と、山口騎手は早々と勝利を確信したようだった。
優勝のかかった横山騎手も6番人気のヒカルサプライズで見せ場をつくった。4コーナーで後方3番手という位置取りから直線大外を追い込み、しかし4着まで。武豊騎手は7着。そのほか逆転の可能性を残していた騎手はといえば、小牧騎手が10着、岡部誠騎手が9着と、ともに下位に沈んだ。
かつてのGJC優勝者2名が鞭をマイクに持ち替えて対談
(左から吉田アナウンサー、佐々木竹見元騎手、田中道夫調教師)
結果、1着、4着の横山騎手が30ポイントで、このシリース初出場での優勝。7着、1着の山口騎手と、1着、7着の武騎手が24ポイントで並んだが、<同点となった場合は、最上位着順を記録した者を上位とし、それでも同じ場合は2回目の騎乗で上位着順を記録した者を上位とする>というルールから、山口騎手が2位。武騎手が同ポイント3位で、23ポイントの的場文男騎手は惜しくも4位だった。
(左から吉田アナウンサー、佐々木竹見元騎手、田中道夫調教師)
今回、中央からは過去最多の5名が出場。そのうち小牧太騎手、岩田康誠騎手は、あらためて言うまでもなくここ兵庫の出身。そして現在兵庫には、通算2000勝を達成している現役ジョッキーが5名(北野真弘騎手は怪我のため今回不参加、期間限定騎乗の内田利雄騎手は除く)。名手がしのぎを削る園田競馬場が、ゴールデンジョッキーカップの舞台となり、そして20回もの回数を重ねてきたことには、それなりの理由と意味がありそうだ。
取材・文:斎藤修
写真:桂伸也(いちかんぽ)
写真:桂伸也(いちかんぽ)
横山典弘騎手
(JRA)
山口勲騎手
(佐賀)
武豊騎手
(JRA)