好位から直線抜け出し完勝
重賞9勝目でグレード初戴冠
先週末に行われたばかりのジャパンカップダートGTでは、ラストランとなった砂の女王ラヴェリータの力走(4着)に感動を覚えた人も多かっただろう。今後はJBCレディスクラシック初代チャンピオン・ミラクルレジェンドを中心に、ダートを主戦場にする牝馬たちの戦いもより激しくなりそうだ。
そんな中で実施された今年のクイーン賞JpnVの主役は、何と言っても南関東2冠馬クラーベセクレタだった。南関東の同世代では無敵の強さを誇ってきたが、いよいよ本格的に古馬戦線へ参入。
古馬牝馬に初挑戦したレディスプレリュードは休み明けにもかかわらず、女王ラヴェリータに早めに並ばれても食い下がる根性を見せ、優勝したミラクルレジェンドからも0秒9差の5着と内容は決して悪いものではなかった。
そこから3歳牝馬限定戦のロジータ記念を完勝、クラーベセクレタ強しをさらに印象づけてここに挑むことになった。
レースは想定通りに笠松のエーシンクールディが逃げ、クラーベセクレタは3番手外目を追走。「この馬は本当にセンスが抜群で騎手の指示に従ってくれるのでいい走りをしてくれたと思います」とコンビを組む戸崎圭太騎手は振り返る。北海道からの転入当初からレースセンスの高さには戸崎騎手も惚れ込んでいたが、これはクラーベセクレタの武器のひとつとも言えるだろう。
3〜4コーナーでは戸崎騎手のステッキが連打されるシーンも見られたが、直線では2番手から抜け出したプレシャスジェムズに並びかけると一番の上がり(37秒7)で交わし切り、最後は流す余裕もあったほど。2着のプレシャスジェムズとの着差は半馬身だったが、それ以上の強さだった。
3着カラフルデイズ、4着パールシャドウ、5着ウェディングフジコは、JBCレディスクラシックとまったく同じ着順。中央の有力馬たちを一蹴した。
クラーベセクレタの優勝タイムは1分53秒2(不良)とそれほど速いものではなかったが、「センスがあるから遅い時計でも走れるし、もちろん速い時計にも対応はできます」(戸崎騎手)。レース後に引き返してきた時のクラーベセクレタの表情があまりにも涼しげで落ち着き払っていたのには驚いだが、心臓の強さもこの馬の強さだろう。
北海道時代を含めると、これで重賞タイトルは9つ目。これからいったいいくつの勲章を手にすることになるのだろうか。川島正行調教師は次走に関して明言を避けたが、これからTCK女王盃JpnVやエンプレス杯JpnUなど牝馬限定のダートグレード戦線が続いていく。いずれは再び牡馬への挑戦も待っているだろう。まだ3歳、無限の可能性が広がっている。
戸崎圭太騎手
この馬の力を信じて人気に応えられたことをうれしく思います。スローのぶん、2番手の馬が残りましたがそれ以上に反応は良かったし、いい直線の伸びを見せてくれたと思います。最初から完成度が高くてレースぶりも申し分ないし何も言うことのない馬ですよ。また中央勢と戦いたいですね。
川島正行調教師
追い切りではテンが速かったぶん、終いが止まってしまったから、今日はそのぶんで3コーナーでモタモタした感じ。馬のコンディション自体は良かったし、初めての地元船橋競馬場のレースで結果を出せて良かった。調教師の仕事は強い馬を作ってファンの皆さんにお見せすることだと思っています。
1周目 各馬がそれぞれのポジションへ
取材・文:高橋華代子
写真:いちかんぽ(国分智、森澤志津雄)
写真:いちかんぽ(国分智、森澤志津雄)