レースハイライト タイトル
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2011年12月4日(日) JRA阪神競馬場 ダート1800m

外枠からハナを主張し逃げ切り
再び狙うは世界一のタイトル

 スマートファルコンがトランセンドを1馬身差でしりぞけ、JBCクラシックJpnT連覇を果たしてから1カ月。当初は中央の舞台で再戦が期待されたが、スマートファルコンは疲れが残ったとして早々と回避を表明。残念ながらJRAダート3強の直接対決は今回もおあずけとなった。
 そしてやはり人気は2頭に集中。連覇を狙うトランセンドが単勝2.0倍で1番人気。対するエスポワールシチーは、東京競馬場での開催となったマイルチャンピオンシップ南部杯JpnTこそトランセンドの4着に敗れたものの、JBCクラシックを使わず、みやこステークスGVを快勝したことで2.8倍と差のない2番人気。3番人気以下は10倍以上と離れた。
 まず注目は、大外16番枠に入ったトランセンドがどんな戦術に出るのかということ。6番枠からエスポワールシチーが好スタートを切り、12番ニホンピロアワーズ、15番トウショウフリークが並びかけた。果たしてトランセンドは、押しながらその3頭を制し、1〜2コーナーではやや強引な感じでハナを奪いに行った。
 向正面で単独先頭に立ったトランセンドはマイペースでの逃げ。3〜4コーナーではエスポワールシチーにクビほどの差まで迫られたが、直線を向くとじわじわと差を広げ、後続を寄せ付けずの勝利。昨年に続いての連覇を達成すると同時に、今年はフェブラリーステークス、マイルチャンピオンシップ南部杯に続いてGT・JpnTで3勝目となった。
 2番手でエスポワールシチーが粘るところ、スタートでつまづいて後方からとなったワンダーアキュートがメンバー中唯一36秒台の末脚で追い込み、エスポワールシチーが確保しようとしていた2着の座をさらった。そしてエスポワールシチーの内で絶好の手応えだったラヴェリータも差のない4着と好走。2着争いが混戦となっただけに、トランセンドの強さが際立つ結果となった。
 前走、JBCクラシックでは外にいたスマートファルコンに対して抵抗することなくハナを譲ったトランセンドだったが、今回は大外枠にもかかわらず、何がなんでもという感じでハナを切りにいった。
 「ハナを切っているのと2番手では行きっぷりがぜんぜん違うんです。1コーナーまでにロスがあっても行ききってしまえば勝てるんじゃないかと信じていました」と、藤田伸二騎手。大外枠にもかかわらず覚悟を決めての逃げだった。「もしエスポワールシチーに行かれていたら、負けていたんじゃないか」とも。
 そして3コーナーから勝負をかけていったエスポワールシチーだが、4コーナーから直線を向くあたりでは一騎打ちになるかに見えた。実際に佐藤哲三騎手も「4コーナーでは勝てる手応えだった」という。それでいて突き放されたのだから、「相手が強かった」という一言に尽きる。
 トランセンドの今後について、安田隆行調教師によると、今年同様フェブラリーステークスGTからドバイワールドカップGTへ向かうという。
 今回対戦がかなわなかったスマートファルコンは、状態次第で東京大賞典GTに出走の可能性があるが、いずれにしてもドバイワールドカップGT挑戦を最大の目標としていることは変わりない。スマートファルコンがドバイへ行くとすれば、これまでのローテーションからフェブラリーステークスGTは使わないであろう。
 トランセンドにとっての来年のドバイワールドカップGTは、JBCクラシックの雪辱を果たす舞台、そして何より昨年わずか半馬身差で2着に敗れた悔しい思いを晴らす舞台となりそうだ。
藤田伸二騎手
安田隆行調教師
1周目スタンド前
トランセンド(写真中央・桃帽)が大外から先頭へ

取材・文:斎藤修
写真:桂伸也(いちかんぽ)