2010年9月23日(祝・木) 船橋競馬場 1800m
地方馬初のJBCクラシック制覇に向け
地方の総大将が好発進
帝王賞JpnIで並みいる強豪を撃破した地方競馬の総大将フリオーソが、いよいよRoad to JBCの日本テレビ盃JpnIIから秋の始動。
約3カ月の休み明けや、一番重い58キロの斤量を背負いながらも、フリオーソの強さだけが光ったと言っても過言ではないほどの強烈なインパクトを残した。「前走くらいから馬が変わったもんなぁ。JBCも夢じゃないな」とレース直後に、川島正行調教師もつぶやいていたほどだ。
好スタートを切ったフリオーソは、地方のダートグレードレース初参戦だったトランセンドを前に行かせると、その2番手をぴったりマーク。「フリオーソのリズムを崩さないように気をつけました。折り合いはついていたし、終始いい雰囲気で、いつでも抜け出せる状態でした」と、コンビを組んだ戸崎圭太騎手。
フリオーソは3〜4コーナーで先頭に並びかけると、抜群の手応えで交わし切り、まさに横綱相撲。勝ちタイムは1分48秒8(稍重)。日本テレビ盃JpnIIが1800メートル戦になってから今年が13回目だが、ボンネビルレコードがレコードタイム(1分47秒8・不良)で決めた2年前(2着はフリオーソ)に次いで2番目に速いタイムだった。
帝王賞JpnI後に戸崎騎手が言っていたが、以前までのフリオーソは気持ちを前に出して走るタイプだったのが、現在は自分のペースで走れるようになってきたそうだ。それがこれまで以上の最後の粘りにつながっているのかもしれない。走り自体にも変化が生じている。
2歳時には全日本2歳優駿JpnIを優勝し、3歳ではジャパンダートダービーJpnIを制覇。4歳では初めて帝王賞JpnIを制し、6歳になった今もなお進化し続けているこの成長力と厩舎サイドの尽力には頭が下がる。
「JBCクラシックにはヴァーミリアンあたりが出てくると思うけど、体調面を管理していれば、今日の走りでいけるんじゃないかという自信を逆に持った」(川島調教師)。
「今日はこれだけのいいレースをしてくれたので、本番でも自信を持って臨みたいです。いい走りを見せられるでしょう」(戸崎騎手)。
多くの名馬と素晴らしいホースマンを輩出してきた船橋競馬場で初めて行われるJBCクラシック&スプリント。10回目の節目の年を迎える今年、地方所属馬にとって悲願のJBCクラシック制覇となるか……。地方競馬の総大将フリオーソが自身の地元でその偉業に挑む。
戸崎圭太騎手
自信を持って乗ることができました。落ち着いていたし返し馬の時点で勝ったなというくらいの乗り味でしたね。これまでフリオーソに乗ってきて、今が一番いい状態だと思います。僕も気持ちよく乗せてもらいました。
川島正行調教師
馬の状態も良かったし、力をフルに発揮してくれたね。スタートも良かったし、58キロを背負っていたので、戸崎君には『無理をして行くなよ』と言ったけど、うまく先行できたのも良かった。馬も気持ち良く走っていたと思う。
取材・文:高橋華代子
写真:いちかんぽ(森澤志津雄、国分智)、NAR
写真:いちかんぽ(森澤志津雄、国分智)、NAR