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レースハイライト
 

2010年8月26日(木) 荒尾競馬場 1500m

競走成績Movie

鞍上の冷静な判断で完勝、4度目の挑戦で九州産の頂点に

 霧島賞(九州産、JRA1000万円以下・地方オープン)は、かつてJRA小倉での条件特別として行われていた時代から「九州産馬の天皇賞」として、九州産馬にとって最大目標として位置づけられている。今年は2月のたんぽぽ賞を勝利し、前走のJRA1000万円以下条件で3着のコウユーヒーローや、南関東で重賞上位の実績があるテイエムヨカドーをはじめ、佐賀のカミノチカラ、荒尾のテイエムジカッドといった地元A級での勝利実績を持った馬が出走し、その名にふさわしい高レベルのメンバーが集まった。
 好スタートから前をうかがったカミノチカラを交わしてメッサーシュミットが先頭に立ち、それを追走する形でテイエムヨカドーが2番手を確保。中団につけていた1番人気のコウユーヒーローが、向正面から早めの進出で前の2頭をとらえにかかるも、3コーナーではその3頭の争いからテイエムヨカドーが先頭に立つ展開に。4コーナーのコーナーワークで内からメッサーシュミットが再びテイエムヨカドーに並びかけたが、直線に入ってテイエムヨカドーが抜け出した。コウユーヒーローも脚を伸ばして追いすがるが、その差を詰めることができず、テイエムヨカドーが同馬に3馬身の差をつけての快勝となった。
 勝ったテイエムヨカドーは、JRA所属時に霧島賞に3度挑戦して2着1回、3着2回の好成績を残していたが、昨年の霧島賞の直後に1000万円以下条件特別を勝利したため、JRA所属のままなら霧島賞の出走権を喪失することとなった。しかし、その直後に船橋へ移籍。南関東では重賞路線を進み、クイーン賞JpnIII2着など上位実績を積み、今年は地方馬として霧島賞へ出走。4度目の挑戦で霧島賞のタイトルを手に入れ、これが初重賞制覇となった。地方所属馬の霧島賞勝利はこれが7回目(6頭目)となるが、九州地区(佐賀・荒尾・中津)以外の所属馬の勝利は今回が初めて。
森泰斗騎手
相手はコウユウヒーローだけしか意識していませんでした。(重賞初勝利は)最高ですね。4コーナーで勝った手ごたえはありましたが、直線でも必死になって追ってしまって(自分に)余裕はなかったですね。勝って当たり前の実績馬なのでほっとしたし、嬉しいです。
渋谷信博調教師
1週間前に荒尾に入厩していたため、馬体重も思ったほど減ってなく、順調に来れました。右回りでいい結果が残せたので、馬の調子を見てからになりますが、今後はグランダム・ジャパンのシリーズも視野に入れていきたいですね。

 また、森泰斗騎手、渋谷信博調教師も、ともに今回が重賞初勝利。「メッサーシュミットが早めに下がったので、先頭に立たされてしまったかな?と思いました。(荒尾の馬場は)内が深いと聞いていたので、外へ持ち出しましたが、自分が外へ行けば、後ろのコウユーヒーローはもっと外へ行かないと行けなくなるので、予定通りの騎乗でした」と冷静にレースを進めた森騎手の好騎乗が光った一戦となった。

取材・文:上妻輝行
写真:荒尾競馬組合、桂伸也(いちかんぽ)

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