Web Fulongトップページレースハイライト特集クローズアップ連載サイトマップ
レースハイライト
 
dart

2010年8月18日(水) 佐賀競馬場 1400m

競走成績Movie

厳しい流れを耐え抜き直線抜け出す、
そして掴んだ念願の重賞タイトル

 今年で10回目を迎えるサマーチャンピオンJpnIIIは、トシザミカが勝利した第1回や、ヴァンクルタテヤマが連覇した第8、9回など、レース直前に大雨が降る印象が強い。今年も第9レースまでは好天のもとでレースが行われたが、その後は佐賀競馬場周辺を黒雲が取り巻き、稲光を遠目に見ながらのパドック周回。それでもなんとか雨は降らずに発走時刻を迎えることができた。
 まずは最内枠のセレスハントが先頭を奪いにいくも、ユニティとヴァンクルタテヤマが並びかけてきて3番手に控える形になり、スーニはその直後の4番手。しかし隊列争いはまだ落ち着かず、1コーナーで先頭に立ったセレスハントを向正面で内からダイショウジェットが抜いていく激しい展開に。4コーナーでダイショウジェットとセレスハントが後続を突き放しにかかり、直線で抜け出したセレスハントがダイショウジェットに3馬身差をつけての勝利となった。
 セレスハントはこれまで芝も含めてJRAの重賞に6度挑戦し、いずれも掲示板外に敗れていたが、前走のKBC杯の勝利など、オープン特別では上位実績が豊富だった。今回は、地方ダートグレード初出走のチャンスを生かしての重賞初制覇。3コーナーでの先行集団5頭がそのまま1〜5着に入る先行有利な展開となったが、セレスハントにとっては先行争いが続く厳しい流れで、それを凌ぎきって直線抜け出す脚を残した強い勝ち方を見せており、今後のダート短距離路線での活躍が期待できそうだ。
 地元佐賀勢では、先行集団につけていたマンオブパーサーが優勝争いに加わるまでには至らなかったものの、断然人気のスーニとの競り合いを耐え切って3着を確保し、JRA勢の上位独占を阻止。佐賀転入後は前走まで2戦2勝と一気に佐賀の頂点に立ったものの、脚部不安のため目一杯の調整ができない状態だった。それだけに、この結果は大健闘といえるだろう。
 また、佐賀の若きホープ、ミヤノオードリーは、今回がダートグレード初挑戦。決して得意とはいえない距離への参戦となったが、先行有利の展開の中で、後方から差を詰めての6着は今後につながるレースとなった。佐賀勢にとっても収穫の多いレースだったといえるだろう。
 レース終了を待っていたかのように、最終レースを前にして雨が降り出し、表彰式は急遽スタンド内で行われることとなった。パドック周回が終わる頃、ヴァンクルタテヤマの武田博調教師が「軽い馬場が向くので、(雨が降るまで)発走が1時間ぐらい伸びないかなぁ」とつぶやいていたが、その雨がレース前に降っていたら、結果はまた違ったものになっていたかもしれず、今年もまた天気が明暗を分けたサマーチャンピオンだったのかもしれない。
福永祐一騎手
先行した馬の内から強引に逃げる形になりましたが、さらに内からもう1頭(ダイショウジェットが)来たので、2番手に控えて自分のリズムを守って行けました。思っていたより強い勝ち方をしてくれましたし、これからもっとステップアップしていける馬だと思います。
松永幹夫調教師
地方の馬場には適性があるとずっと思っていました。賞金が少なくて(地方の重賞には)なかなか出られず、今回やっと出られただけに、この1着は待ち望んでいました。次走は未定ですが、ダート1400メートルぐらいの交流戦があればどんどん使っていきたいと思っています。

取材・文:上妻輝行
写真:桂伸也(いちかんぽ)

footer