2010年8月16日(月) 盛岡競馬場 1200m
楽なレース運びでレコード勝ち、JBCに向けニュースター誕生
ダート1200メートルではここまで5戦5勝のサマーウインドに、今年から1200メートルになった北海道スプリントカップJpnIIIをレコード勝ちしてきたミリオンディスク。2頭の馬連複が1.0倍と1.1倍を行ったり来たりと、極端な人気を示していた。最終的には1.2倍になったのだが、レースはまさにそのオッズが示すとおりの結果となった。スタート後すぐにサマーウインドが先頭に立ち、ミリオンディスク、メイショウバトラーが追走する展開。内々を回ったメイショウバトラーが4コーナーで一旦は先頭に立ったが、サマーウインドの藤岡佑介騎手はまったく慌てることなく、余裕を持って追い出すと、あっという間に交わし去り、そして突き放した。
ミリオンディスクも追ってきたが、その差は詰まらず、サマーウインドが2馬身差をつけて完勝。人気2頭の決着も、馬連単では1.5倍と、圧倒的に支持されていたのは、これが重賞初制覇となったサマーウインドのほうだった。
サマーウインドが、直線入口で一瞬ではあるがメイショウバトラーに先頭を譲ったのは、藤岡騎手が意識してラチ沿いを3頭分ほど空けて走っていたため。しかしこれは、今の盛岡のダートコースはラチ沿いの砂がやや深く、それまでのレースでやや外目を回った馬が伸びていることをしっかりと見極めてのレース運び。そして叩き出したタイムが1分8秒9。03年のこのレースでディバインシルバーが出したレコードを0秒9も縮めるコースレコードとなった。藤岡騎手は、「スピードがある馬なので、馬場によってはレコードが出るんじゃないかと思っていました」と、陣営にとってはある程度予想した結果でもあった。
庄野靖志調教師によるとサマーウインドはもともとあまり丈夫な馬ではなく、3歳時には骨折した経験もあったそうだ。それゆえに出世が遅れ、未勝利のまま一旦はホッカイドウ競馬に移籍。下級条件戦をまったく楽なレースぶりで2連勝し、その後中央に戻ってからはあっという間にオープンまで出世。1400メートルの重賞では勝ちきれなかったが、1200メートル戦のここで、あらためてそのスピードを見せつけた。
藤岡佑介騎手
負けられないという気持ちで来たので、勝ててホッとしました。もともとスタートはあまり速くないので、2番手でも3番手でもというつもりでしたが、自然とハナに立ちました。いつもどおりリラックスして、4コーナーでは手ごたえもよかったので、僕はつかまっていただけです。可能性を秘めている馬ですし、ゆとりを持って競馬ができるようになってきているので、これからが非常に楽しみです。
庄野靖志調教師
プロキオンステークスを使ったあとも疲れがなかったのですが、賞金的にここに出られるかわからなかったので、芝に行こうかという話もあったのですが、出られることになったのでここを目標に来ました。これまで重賞では2着、2着で、なんとかひとつタイトルをとらせてあげたかったので、安心しました。これで賞金的にもさらに上のレースを使っていけると思います。
「今のところダートでは底を見せていませんし、JBC(スプリント)という選択肢もあるので、そこまでにどういう過程を踏むかというのをこれから考えなきゃいけないと思っています」と庄野調教師。
今年は船橋の1000メートルで争われるダート短距離の頂点、JBCスプリントJpnIに向け、新たなスターが名乗りを上げた。
今年は船橋の1000メートルで争われるダート短距離の頂点、JBCスプリントJpnIに向け、新たなスターが名乗りを上げた。
取材・文:斎藤修
写真:森澤志津雄(いちかんぽ)
写真:森澤志津雄(いちかんぽ)