2010年7月14日(水) 大井競馬場 2000m
人気を覆しての逃げ切り、南関最強コンビが強力中央勢を一蹴
南関東の最強コンビ、戸崎圭太騎手、川島正行調教師が、2週前の帝王賞の再現とばかり、強力な中央勢をしりぞけて見せた。「こんなにうまくいくのかなと、つくづく思いました」と、インタビューの第一声で破顔一笑は川島調教師。まさに思い描いたとおりのレースだったのだろう。好スタートを切ったマグニフィカは、内にバトードール、外にバーディバーディを見ながら、1〜2コーナーで単独先頭に立った。向正面、戸崎騎手はやや行きたがる感じのマグニフィカをなだめ、がっちりと抑えながら、後続との差を測っていた。3〜4コーナーではバーディバーディ、コスモファントムが半馬身くらいまで迫ってきたが並びかけることまでは許さず、直線を向くとそれら後続を離しにかかった。直線半ばを過ぎると、中央勢6頭のうちの5頭が一団となって再び襲いかかってきたが、マグニフィカはその集団からわずかに抜けたコスモファントムに3/4馬身の差をつけ逃げ切って見せた。
「(ゴール前では)馬が来るたびにぐんとハミをとって反応もよく、手ごたえは残っていました」という戸崎騎手。道中では他の有力馬が無理には競りかけて来ることもなく、後続を引きつけての逃げが最後の粘りにつながった。
単勝20.8倍、6番人気での大金星。東京ダービーでは、その後中央に戻ったマカニビスティーに完敗の3着で、断然人気となったバーディバーディをはじめとする中央勢とのこれまでの力関係を考えれば、伏兵視されたのも自然なことだろう。しかしそうした人気を覆しての勝利は、ここに向けて調子を上げ、力をつけてきた結果だともいえる。
マグニフィカは2歳6月のデビューから4連勝。父が、この世代が初年度産駒となるゼンノロブロイということも合わせて注目の存在となった。しかしその後、ハイセイコー記念は3着、全日本2歳優駿JpnIは11着。以前、川島調教師に話をうかがったとき、「連勝していたので少し無理に使いすぎてしまった」と話されていた。5カ月近くの休養で立て直し、成長をじっくり待った。一冠目の羽田盃は使わず、相手関係が軽くなる東京湾カップを復帰戦に選んで圧勝。東京ダービーでは馬の行く気に任せて逃げてしまったため最後に失速したが、そうしたことすべてが経験となり、JpnIのビッグタイトル獲得となった。
3歳ダートチャンピオンとなったマグニフィカの秋は、地元船橋で行われるJBCクラシックJpnIや東京大賞典JpnIで古馬との対戦となるのだろう。そこにはもちろん、同厩舎のフリオーソもいる。鞍上がどうなるのかも含め、関係者にとっても、我々ファンにとっても、悩ましくもあり、楽しみなダートGI・JpnI戦線となりそうだ。
戸崎圭太騎手
デビューから乗せてもらっていた馬なので、素質はあると思って信じて乗りました。具合は抜群にいいと先生から言われていて、スタートも抜群によかったので、そのあとは馬のリズムを崩さないように心がけました。まだまだ若いし、いい成長をしてくれると思います。
川島正行調教師
戸崎君には、位置取りは2番手、あんまり掛かって行くようで、バーディバーディも来ないようであれば行っちゃってもいいよと、そのとおりの流れになったのが勝因だと思います。前走のデキも良かったですけど、今回もそれ以上のデキだったと思います。フリオーソもこのレースを勝って、帝王賞も勝ったので、ぜひマグニフィカもそういう道を走らせてあげたいと思います。
取材・文:斎藤修
写真:いちかんぽ(宮原政典、森澤志津雄)、NAR
写真:いちかんぽ(宮原政典、森澤志津雄)、NAR