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2010年5月5日(祝水) 船橋競馬場 1600m
ゴール前確実にとらえる底力、あたらめてダート最強をアピール
エスポワールシチーのGI(JpnI)連勝がここからスタートした昨年は雨の重馬場だったが、今年はゴールデンウィークの間じゅう好天に恵まれ、この日も夏を思わせる汗ばむほどの陽気となった。GI(JpnI)馬5頭を含め、ダートグレード勝ち馬が8頭というJpnIらしいメンバー構成となった今年のかしわ記念JpnI。とはいえ、やはり断然の注目はエスポワールシチーで単勝1.1倍。そのGI連勝に待ったをかけられるかという存在がサクセスブロッケンで、単勝は5.7倍だった。ポートジェネラルがハナを切り、フリオーソが2番手を追走。そのうしろにエスポワールシチー、サクセスブロッケンと続く展開は、ほぼ予想されたとおり。4コーナーでフリオーソが先頭に立ち、直後にエスポワールシチーが迫ったものの、意外にもその差はなかなか詰まらず。昨年のダイオライト記念JpnII以来、1年以上勝ち星から遠ざかっているフリオーソがそのまま粘り込むかという直線での攻防に、ファンの声援がひときわ大きくなった。
エスポワールシチーがフリオーソをようやくとらえたのは、残り100メートルを切ってから。それでも最後は1馬身半の差をつけた。
「1600メートルがどうかと思いましたが、よく走ってくれました。勝った馬が強かったです」とフリオーソの戸崎圭太騎手。断然人気馬を相手に金星とはいかなかったものの、3着のアドマイヤスバルに4馬身差をつけての2着は大健闘と言っていいだろう。
サクセスブロッケンは、アドマイヤスバルからさらにクビ差遅れて4着。「いい形で直線外に出せたけど、そこから伸びなかった。休み明けを使って、次でしょう」と内田博幸騎手。今回は本来の調子にはなかったようだ。
そして期待にこたえGI(JpnI)5連勝を果たしたエスポワールシチーだが、アッという間に突き放した前走フェブラリーステークスGIのときの状態にはほど遠かったようで、「道中の走りもいつもの感じじゃなくて、手ごたえはよさそうに見えたと思いますが、もたれていたので心配でした」と佐藤哲三騎手。それでも勝ってしまうのは、やはりこの馬の底力だろう。あらためてダートでは現役ナンバーワンの力を示した。
気になるのはエスポワールシチーの今後。今年の春はドバイ遠征を見送ったが、「海外はあきらめてないんで、連戦連勝で海外に行きたいと思います」と佐藤騎手。オーナーサイドによると、今年チャーチルダウンズ競馬場で開催されるブリーダーズカップが視野にあるとのこと。「その場合は早めに輸送して前哨戦も使うことになるので、帝王賞は回避することなるかもしれません。ただ、今はまったく白紙の状態です」とは、優駿ホースクラブ愛馬会代表の塩入氏のコメント。
海外遠征でさらに大きなタイトルを目指すのか、国内でGI(JpnI)連勝を伸ばすのか、エスポワールシチーの今後の動向には、これまで以上に注目が集まることになる。
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佐藤哲三騎手
正直今日はデキがもうひとつだったんで、どうなるかと思ったんですけど、勝ててよかったです。直線での反応はよかったんで、本気を出せばもっと走れるんだろうけど、そのあたりのオンとオフのスイッチの切り替えがうまくできてなかったかなと思います。実績と経験とがこの馬の強さだと思います。
取材・文:斎藤修
写真:いちかんぽ(森澤志津雄、国分智)、NAR
写真:いちかんぽ(森澤志津雄、国分智)、NAR
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