2010年5月3日(祝月) 名古屋競馬場 1400m
休養明けも変わらぬスピード、JpnI馬を寄せつけず逃げ切る
「強いスマートファルコンが、帰ってきました!」検量室前に戻ってきた岩田康誠騎手はひときわ大きな声でそうアピールし、小崎憲調教師とがっちり握手。
昨年11月の浦和記念JpnII。スマートファルコンはダートでは初めて連対を外し、7着と惨敗。しかしそれは実力で負けたわけではなく、アクシデントがあってのもの。スタート後、他馬にぶつけられて馬が暴走気味に掛かってしまった。このとき両トモが落鉄し、レース後はツメもボロボロになっていたという。肉体的なダメージに加え、精神的なダメージも決して小さいものではなく、立て直してくるまでの苦労は相当なものだったようだ。
「今日、近所の神社にお参りに行ったんですけど、そんなことしたのは初めてですよ」と小崎調教師。ここまで6連勝を含め、ダートグレード8勝。常に崩れることなく、次々とタイトルをモノにしてきたスマートファルコンの復帰戦には、かなりのプレッシャーを感じていた様子がうかがえた。
単勝ではスーニが1.6倍で1番人気。スマートファルコンにはないJpnIのタイトルが2つあり、黒船賞JpnIII、東京スプリントJpnIIIと連勝でここに臨んできただけに、そうしたファンの評価も当然だろう。しかしスマートファルコンも約5カ月の休み明けにもかかわらず、2.3倍の2番人気。2頭の馬連複は1.7倍だった。
まずまずのスタートでハナに立ったのはスマートファルコン。1〜2コーナーを回って向正面に入ると、差なくミリオンディスク、スーニ、やや離れてダイワディライトが4番手に続いた。地方馬はこのあたりですでに圏外。
3コーナーでスーニの川田将雅騎手が一気に勝負をかけた。ミリオンディスクを交わし、スマートファルコンに迫る。これを見て岩田騎手が追い出しにかかったスマートファルコンのスピードは直線でもまったく衰えず、スーニには一度も並びかけられることなく、1馬身半差をつけて逃げ切った。
岩田康誠騎手
スタートはまずまずでしたが、スピードがあるので展開は関係なく、どこからでもレースができます。少し太いのはわかっていたけど、1400メートルの距離で、スピードで押し切れなかったら、このあとはないと思って乗りました。
小崎憲調教師
コンスタントに使っている馬が長く休むと、馬体がゆるんでしまうので、立て直すのに苦労しました。プラス9キロは、ブリーダーズゴールドカップのときに戻っただけなので気になりませんでした。次走は、さきたま杯だと間隔が詰まるので、それ以降になると思います。
まさに、以前のままの強いスマートファルコンが帰ってきた。再びダートグレード路線を勝ちまくっていく姿を見せてくれそうだ。
取材・文:斎藤修
写真:三戸森弘康(いちかんぽ)
写真:三戸森弘康(いちかんぽ)