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2011年3月28日(月) 福山競馬場 1800m
惜敗続きにピリオド
遠征競馬で重賞2勝目
浦和競馬場の桜花賞が中止になり、福山競馬場で実施される若草賞が『グランダム・ジャパン2011』の3歳シーズンの第1戦となった。昨年のこのレースは北陸、東海、近畿、中国地区の交流戦として行われたが、今年から全国交流にスケールアップし、新たにグランダム・ジャパンのシリーズに加わったことで、メンバーがいっそう多彩になった。佐賀と高知、大井から各1頭、兵庫、笠松から各2頭が参戦しているのに対し、地元である福山所属馬は2頭だけ。まさに全国交流の名にふさわしい顔ぶれに、若草賞を連覇している山中輝久調教師(笠松)は、「今年は以前と違うねえ」と、苦笑いをしていた。
しかしそうなると難しくなるのが力量比較。一応の指標としては、笠松のミラノボヴィッチと兵庫のマンボビーン、リジョウクラウンが、昨年11月の笠松・プリンセス特別と今年1月の園田クイーンカップで上位を独占している実績がある。だが今回はその3頭に、佐賀のヒシダイアナが加わった。重賞連勝中の充実度と、先行も差しもできる脚質は、福山適性という面でファンに魅力的に映ったのかもしれない。最終的にはヒシダイアナとマンボビーンが人気を分け合う形になって、ファンファーレを迎えることになった。
今年の若草賞のもうひとつの焦点は、展開面。3走前までに逃げ切り勝ちをおさめた馬が9頭中6頭もいるのだ。福山は基本的に先行有利の競馬場だが、中距離戦になると後方一気が決まるケースがある。主導権を取るのはどの馬なのか。それによっては乱ペースになる可能性も心配された。しかしゲートが開いてすぐにレースを引っ張ったのは、福山をよく知る永森大智騎手(高知)のタケショウマンボと、地元所属の2頭。これなら極端な展開にはならなさそうだ。
そのとおり、9頭の隊列はすぐに固まり、流れとしては平均ペースに。となるとじっくり仕掛けられる差し馬勢にチャンスがうまれてくる。1コーナーあたりでマンボビーンがほぼ最後方から進出を開始し、続いてリジョウクラウンも後を追う。一気に差を詰めていった両馬が2周目の3コーナーで先頭を射程圏内におさめ、4コーナーで一騎打ちの態勢に持ち込んだ。粘り込みを図るマンボビーンと、差を詰めるリジョウクラウン。兵庫2頭によるマッチレースの結果、ゴールではリジョウクラウン鞍上、竹村達也騎手のガッツポーズが大きくはじけた。
続く3着は、人気の一角だったヒシダイアナ。山口勲騎手が勝負どころで懸命に動いても行き脚がなかなかつかないという走りは、マイナス10キロの馬体重が影響したのかもしれない。3番人気に推されたミラノボヴィッチは、2戦連続の最下位という結果になってしまった。両馬とも実力はあるだけに、今後の巻き返しに期待したいところだ。
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竹村達也騎手
前残りの競馬になるかもと心配していましたが、この馬向きのいい展開になりましたね。(3月12日の)JRA遠征に向けてピークに仕上げていて、それが中止になったことでちょっと調子を崩してしまいましたが、それでも厩務員さんがうまく調整してくれました。この馬は急かすとよくないタイプ。最後は届かないかなと一瞬思ったのですが、馬がよくがんばってくれました。
溝橋一秀調教師
惜敗続きのうっぷんを晴らせましたね。阪神競馬に遠征する予定がなくなってこちらに向かったということで状態面が心配でしたが、パドックも2人引きでうまく回れましたし、展開もはまってくれました。今後は佐賀(ル・プランタン賞)も考えていますが、そこまで間隔があまりないこともありますし、馬の様子を見ながら決めていきたいと思います。
さらには4着に入った大井のクイーンオブシーも、宗形竹見調教師が「今後も出走馬として選ばれれば、このシリーズに参戦しようと思います」とコメントを残した。大震災の影響で対象レースは減ってしまったが、まだ第1戦が終わったばかり。これから各馬がポイントをどのように積み重ねていくのか、2年目のグランダム・ジャパンも大いに注目できるだろう。
取材・文:浅野靖典
写真:宮原政典(いちかんぽ)
写真:宮原政典(いちかんぽ)
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