2011年2月11日(祝金) 佐賀競馬場 2000m
マイペースで見事な逃げ切り
ユタカマジックで同重賞5勝
武豊騎手が昨年に続いての連覇、そして同重賞5勝目という記録打ち立てたパートナーは、これが重賞初挑戦となるメテオロロジストだった。
「タイミングは悪くなかったんですけど、僕自身が少しあおってしまって」と武騎手が言うように、あまりいいスタートではなかったが、1周目の3コーナーまでの直線でじわじわと先頭へ。1番人気のアドマイヤスバルが2番手でぴたりとマークし、グランシュヴァリエ、セレスハントらが続いた。
中団に位置していたマカニビスティーが1〜2コーナーで2番手まで進出。直線の短い佐賀競馬場では、向正面から3コーナー手前が仕掛けどころのひとつのポイントとなる。2番手で併走するアドマイヤスバル、マカニビスティーが前をとらえにかかろうと追い出すが、メテオロロジストは並びかけることを許さず、後続との差を計りながらペースアップ。マカニビスティーは直線で脱落、アドマイヤスバルが最後まで食い下がったが、メテオロロジストはその差を最後まで1馬身より詰めさせることはなく、そのまま逃げ切った。
馬は違えど、武騎手のレース運びは、まるで昨年のリプレイを見ているかのよう。そして前走中央ダートの準オープンを勝っての重賞初挑戦ということも、昨年のラッシュストリートと同じだった。
そうしてみると、武騎手の佐賀記念5勝は共通点が多い。03年のエアピエールこそ先行勢数頭が競り合ったところからの抜け出しだったが、それ以外はスタート後から逃げるか、2コーナーまでには先頭に立っての逃げ切り勝ち。コースレコードも、スノーエンデバー、サイレントディールに続いて、これで3度目となった。
武豊騎手
先行力のある馬なので、できれば先手をとりたいと思っていたので、いい形になりました。かかっていくこともなく、初めての地方コースで用心しながら走ったこともあって、息が入っていいペースで行けました。距離は短いよりこれくらいあったほうがいいですね。まだキャリア浅くて、今回が9戦目ですか。僕はここ3回乗せてもらっていますが、1走ずつ強くなってるように感じるので、今後も楽しみですね。
特徴的なのは、武騎手が勝った時の人気だ。最初のスノーエンデバー(99年)こそ1番人気だったが、その後はエアピエール(03年)とサイレントディール(07年)が4番人気。昨年が3番人気で、今年は2番人気だった。武騎手が乗って1番人気にならないというのは、実績的に上位ではないということにほかならない。昨年、今年だけでなくエアピエールもこの佐賀記念が重賞初制覇、サイレントディールはピークが過ぎたと思われた馬だった。
マイペースに持ち込んでの逃げ切り。それは、1周1100メートル、ゴールまでの直線200メートルという、中央とはまったく異なる小回りコースを完全に手の内に入れ、馬の能力以上ものを引き出すという、まさにユタカマジック。それが同重賞5勝という記録をもたらしたのだろう。
マイペースに持ち込んでの逃げ切り。それは、1周1100メートル、ゴールまでの直線200メートルという、中央とはまったく異なる小回りコースを完全に手の内に入れ、馬の能力以上ものを引き出すという、まさにユタカマジック。それが同重賞5勝という記録をもたらしたのだろう。
取材・文:斎藤修
写真:桂伸也(いちかんぽ)
写真:桂伸也(いちかんぽ)