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2010年12月15日(水) 川崎競馬場 1600m
好位から直線力強く抜け出す
笠松の女傑の血がダートで開花
船橋のセルサスが中央&他地区の強豪を相手にどんな強さを見せるのだろう。ハイセイコー記念を圧倒的な強さで制したセルサスが参戦を表明していたために、多くの関心がそこに寄せられていた。しかし、直前の回避。「左肩跛行を発症」と管理する佐藤賢二調教師は言っているが、今は早い回復を祈る。
笠松のラブミーチャンの勝利に沸いてから1年が経った。今年も、エーデルワイス賞JpnIIIと兵庫ジュニアグランプリJpnIIを連勝中の牝馬リアライズノユメや、北海道2歳優駿JpnIIIの勝ち馬カネマサコンコルドなど、将来が嘱望される若駒たちが参戦した。
優勝したのは、田中勝春騎手が騎乗した中央のビッグロマンス。新馬戦は芝のレースに参戦したが、それ以降はダート路線へ転向。北海道2歳優駿はカネマサコンコルドの2着になるなど、大崩れのない安定した成績が光る。走ってきた競馬場はすべて違うのだが、どんな環境でも力を出し切るというのもこの馬の強みだろう。
「最初の頃はスタートの出が甘かったんですが、馬がしっかりしてきてだんだんに出るようになってきたので、前よりスタートのことは気にならなかったです。この馬場(不良)なのでうまく前の方につけたいなとは思っていました」と田中騎手。
兵庫のエルウェーオージャと船橋のリョウウンが前を行くゆったりしたペースの中で、ビッグロマンスは好位外めから進めていった。3〜4コーナーの勝負どころでは13頭中11頭がだんご状態。
直線に入るところでビッグロマンスが先頭に並びかけると、同じく好位から上がってきたリアライズノユメを競り落とし力強く抜け出した。「終始余裕を持って乗れました。終いに伸びるのはわかっていたので、これで差されたら仕方がないと思っていました」(田中騎手)
一方、リアライズノユメに騎乗した福永祐一騎手は「初めての左回りだしコーナーもキツくて走りづらそうでした。あっちは引っ張りきれないくらいで手応えが違いました」と振り返っていた。
ビッグロマンスの祖母は笠松所属で重賞10勝を挙げたマツクスフリート。地方競馬が生んだ女傑の孫が砂上のビッグレースを制した。そんな血のロマンに心を踊らされたファンもいただろう。
地方所属馬で最も人気を集めていた北海道のカネマサコンコルドは、スタートで外にふくれてしまい、最後は伸びてきたものの8着に終わった。「初めての左回りで大外枠だったので、両隣に馬がいる形だったら違ったと思います。スタートしてしばらくは、フワッとして行く気がありませんでした」と五十嵐冬樹騎手。
今回は非常に残念な結果に終わってしまったが、2歳王国・北海道のチャンピオンとして、今後の活躍を期待したい。
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田中勝春騎手
このレースは相性がいいので、勝つことができて本当にうれしいです(過去にアドマイヤマンボとグレイスティアラで優勝)。以前に比べると中身が入ってきて筋肉もついてきました。素直な馬で言うことを聞いて走ってくれるので、その辺りがいい方に向いていると思います。
河野通文調教師
デビュー戦はダートが短距離しかなかったので芝を使ったんですが、ダートに戻ればすぐに勝てるだろうと思える力はありました。以前に比べると芯は入ってきたようですが、まだまだ成長途上なので楽しみにしています。今後についてはまったくの白紙です。
取材・文:高橋華代子
写真:いちかんぽ(宮原政典、森澤志津雄)、NAR
写真:いちかんぽ(宮原政典、森澤志津雄)、NAR
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