2010年12月8日(水) 船橋競馬場 1800m
好位につけ余裕の差し切り
ダート牝馬戦線の主役に名乗り
「430キロくらいの馬(この日は429キロ)ですが、中身、エンジンがすごいんです。小さいけど頑張ってくれて一生懸命な仔ですよ」とミラクルレジェンドの岩田康誠騎手。
3歳牝馬ミラクルレジェンドは芝からダートに転向して快進撃が続いている。3連勝で挑んだジャパンダートダービーJpnIは優勝馬マグニフィカから0秒1差の4着。前走のレパードステークスでは念願の重賞タイトルを手にしている。ここまでは3歳牡馬と互角の勝負を繰り広げてきたが、今回のクイーン賞JpnIIIは古馬牝馬に初挑戦だった。
逃げると思われていた武豊騎手騎乗の1番人気ブラボーデイジーがゲート内で暴れてタイミングが合わず出遅れたため、的場文男騎手が騎乗したザッハーマインがハナを切る展開になった。
ミラクルレジェンドは、この中間はゲート練習をしてきたことも功を奏して、スタートを決めると好位内めをキープした。「ある程度は前に行こうと思っていましたが、いつも以上に前へつけられたので楽な競馬ができました。前を見ながらレースができたので理想的な競馬ができましたね。3コーナー過ぎからハミを取ってくれたので楽に上がっていけました」(岩田騎手)。
4コーナーで外に持ち出すと、逃げるザッハーマインに猛追。的場騎手は「(ザッハーマインも)全然バテていないんですよ。4コーナーでは勝ったと思ったんですが……」と相手の強さに驚嘆。
ミラクルレジェンドが55キロでザッハーマインは54キロ。レース前は、3歳牝馬に厳しいハンデが課せられたのではとも思ったが、ふたを開けてみれば、ミラクルレジェンドの強さを際立たせることにしかならなかった。最後の直線で抜け出したときには、遊ぶ余裕があったほどだったそうだ。
「芝は3歳の春頃に試したんですが、やはりダートの方がより力を発揮してくれますね」(藤原英昭調教師)とのことで、次走はTCK女王盃JpnIII(2月2日)を予定。今後もダート路線を狙っていくそうだ。一躍ダート牝馬戦線の主役を担う存在に名乗り出た小さな女王ミラクルレジェンドは、無限の可能性を秘めている。
なお、来年11月3日に大井競馬場で行われるJBCデーに、JBCレディスクラシックが新設されるというビッグニュースが伝えられた。国内牝馬ダート競走の最高峰レースが誕生することになる。ダートを主戦場にしている多くの牝馬たちが、その画期的なレースを目標にするだろう。今後の牝馬戦線の動向から目が離せない。
岩田康誠騎手
ゲートも決まって道中はリラックスしていい感じで走ってくれました。相手は前の馬(ザッハーマイン)と思っていましたが、直線では交わすことができました。頑固な面はありますが賢いのですごくレースがしやすいです。まだまだ上を目指せる馬ですよ。
藤原英昭調教師
まだ3歳なのに本当によく頑張ってくれていますね。来年に向けてもいいパフォーマンスをして欲しいと思っていたので、今日の勝利は本当にうれしいです。これからもっと成長させて、4歳、5歳になってもいい結果が出せるように頑張ります。
取材・文:高橋華代子
写真:いちかんぽ(国分智、森澤志津雄)
写真:いちかんぽ(国分智、森澤志津雄)