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レースハイライト
 
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2010年11月24日(水) 浦和競馬場 2000m

競走成績Movie

マイペースの逃げで6馬身差圧勝
格の違いでダートグレード12勝目

 JBCクラシックJpnIを制して頂点を極めたスマートファルコンが、ジャパンカップダートGIには向かわずに浦和記念JpnIIへ矛先を向けてきたことに驚いた人も多かっただろう。
 「これほどの馬にはなかなか出会えないし、長い目で活躍をして欲しいと思っているので、今のこのいいリズムを崩すことだけはしたくありませんでした。浦和コースはアウェイですが、ファルコンにはホームみたいなものですから(過去4回参戦)」と小崎憲調教師。
 直前まで1.0倍の断然の人気を集め(最終的には1.1倍)、コンビを組んだ武豊騎手は「負けたときの言い訳をいくら考えても出てこないので、今日は絶対に勝たなくてはいけないと思っていました」とレース後に胸をなでおろしていたが、落とせないレースでしっかり結果を出すことも競馬の世界では大変なことだ。
 JpnI馬スマートファルコンの格の違いをまざまざと痛感させられた一戦となった。
 「状態はいいと聞いていたので心配はしていませんでしたが、前回よりもずいぶん落ち着いていました」(武騎手)ということだったが、ゲートから出るとスーッと先手を取り、この馬のペースで流れていった。
 昨年の浦和記念JpnII(7着)は最初のコーナーでアクシデントがあり、そこで完全に競馬が終わってしまう不本意な内容だったことから、今年はその点には注意を払ったということだったが、心配は無用だった。
 「道中はいいペースで走れましたし、今日も強かったですねぇ」(武騎手)。最後の直線に入るとリードをさらに広げ、2着のボランタスに6馬身もの差をつける圧勝劇。最初から最後までスマートファルコンの独壇場だった。
武豊騎手
メンバー的にもいいスタートを切れたら先手を切った方が確実かなと思っていたし、僕はほとんど乗っているだけでした(苦笑)。コンビを組んでこれで3回目になりますが、初めて乗ったときとは馬も全然違っているし、状態の良さが伝わってくるので自信を持って乗りました。ホッとしました。
小崎憲調教師
前走後はそんなにダメージがなかったので調整はしやすかったです。本当に丈夫で厩舎でもおとなしくて扱いやすい馬ですよ。オン・オフの切り替えがしっかりできるので、その辺りはより強くなっているひとつの要因だと思います。とにかく無事にいって欲しいと思うので、大事にいきたいですね。

 「こっちが思っていた以上に楽だったし強かったです。以前は返し馬で引っ掛かっていくところはあったんですが、今日は物見をするくらいで、精神的な面は大きいですね」(小崎調教師)
 これでダートグレードレース12勝目で、勢いはとどまることを知らない。「まだ5歳だし、あと5年は頑張ってもらわないと(笑)」と小崎調教師からジョークが飛び出るほどだったが、上記にも書いたように長いスパンで走らせたいという並々ならぬ思いは伝わってくる。
 レース直後の段階では年内は休養の予定とのことだったが、ゆくゆくはドバイなどの世界にも挑戦をさせたいという大きな夢を抱いているという。
 父はゴールドアリュールで半兄にはワールドクリークがいることはあまりにも有名だが、母は90年代前半に川崎所属として2勝を挙げたケイシュウハーブ。そんな地方ゆかりの血も流れているスマートファルコンが、今後どんな道を歩んでいくのか。若き司令塔小崎調教師の手腕も興味深い。
取材・文:高橋華代子
写真:森澤志津雄(いちかんぽ)

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