2010年11月4日(木) 門別競馬場 1800m
北海道勢にとって譲れないタイトル
騎手の駆け引きに明暗が分かれた
JRAとの交流になり過去13回、JRA6勝に対し、北海道7勝とほぼ互角の勝負を演じてきた。ダートの番組が少ないJRAは2勝馬が参戦することがごく稀で、過去には未勝利馬が参戦してレコード勝ちしたこともあった。JRAのダート馬にとっては、長距離輸送が伴ったとしても、願ってもない番組であり、キャリアの浅い馬たちでも十分チャンスのあるレースと言える。
今回はダートに切り替えてから2戦2勝、プラタナス賞でも豪快に差し切ったビッグロマンスが参戦し、注目を集めた。その他、リアライズノユメと同じパターンで美浦で調整してから門別に早めに入厩したセトノシャンクス、新馬を快勝したシヴァルリーなど、JRA勢は豪華メンバーが揃った。
しかし、この時期の2歳戦では経験馬の少ない1800メートル。ダブルオーセブンがハナへ行く予想外の展開となり、前半3ハロン38秒6のスローペース。その次のラップも14秒1と、ガクンとペースダウンした中、2コーナーまで最後方にいたエバーオンワードの山口竜一騎手が一気に動いた。これが他の騎手たちを惑わし、エルヘイローは「中途半端に動いてしまった」(武豊騎手)とレース後に反省していたほど。ビッグロマンスも「ペースが落ち着きすぎたから、動くタイミングが難しかったし、人気を背負っているだけに早めに動かざるを得なかった」(蛯名正義騎手)と話していた。
馬群の外では様々な動きがあった中、カネマサコンコルドは好位の内でじっと我慢。内にモタれる馬の癖を掴み、ラチ沿いを走らせたいという思いと、3番枠が当たったことで、ペースはともかく、自分の描いていた競馬ができた宮崎光行騎手が勝利に導いたと言っても過言ではない。
宮崎光行騎手
ペースが遅くなり、出入りの激しい競馬になりましたが、内にモタれる面のある馬だけに、ラチ沿いをなるべく走ろうと決めていました。直線で内が開くかは賭けでしたが、前が開いてからは一瞬に伸びてくれ、ホッとしています。すべてが上手くいきました。
堂山芳則調教師
かなり遅い流れになりましたが、初距離でも折り合いはついていたし、内でよく辛抱していました。上手く進路が開いて、そこからの瞬発力は素晴らしいものがありました。自分が探し出してオーナーに購入頂いた馬で重賞を獲れたことも、素直に嬉しいですね。
「エルヘイローが人気になっていましたが、カネマサも3連勝した内容が良かっただけに、力は遜色ないものを感じていました」と堂山芳則調教師。今後は兵庫ジュニアグランプリJpnIIか全日本2歳優駿JpnIに挑戦する意向も示した。2歳戦に強いホッカイドウ競馬から、今年も全国にその名を轟かせる。
取材・文:古谷剛彦
写真:中地広大(いちかんぽ)
写真:中地広大(いちかんぽ)