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レースハイライト
 
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2010年10月11日(祝・月) 盛岡競馬場 ダート1600m

競走成績Movie

オーロの舞台で見せた実力
絶対王者をしりぞけ完勝

 昨年のこの舞台で圧勝し、GI・JpnIを5連勝中のエスポワールシチーがまさか負けようとは……。そうした場面を想像できた人がどれほどいただろうか。それは当然オッズにも表れていて、単勝は元返しの1.0倍。しかし勝ったのは、これが重賞初制覇となるオーロマイスターだった。
 セレスハントが先頭に立ってペースを握り、オーロマイスターが半馬身ほどの差で外の2番手、エスポワールシチーも差なく内に続いた。
 そして最初の驚きは、まず4コーナー手前。中団を追走していた高知のグランシュヴァリエが絶好の手ごたえで外から一気に先頭をとらえる位置まで進出してきた。手綱をとったのは、地元岩手の阿部英俊騎手。「外には出したくなかったんだけど、手ごたえがよかったのでそのまま行きました。4コーナーでは一瞬夢を見ました」というほどの勢いだった。
 しかし直線を向くと、オーロマイスターが先頭へ。一旦は内からエスポワールシチーが並びかけたが、直線半ばでオーロマイスターが再び突き放した場面にも驚かされた。エスポワールシチーに3馬身差をつける完勝で、吉田豊騎手はガッツポーズ。
 大健闘はブービー人気のグランシュヴァリエで、2着のエスポワールシチーから2馬身差の3着。3連単は100万円を超える大波乱となった。
 結果論にはなるが、エスポワールシチーにも敗因として考えられる要素はあった。なんといっても最大の目標は、アメリカに遠征してのブリーダーズCクラシック。この日の馬体重はプラス15キロと、次を考えた仕上げで、余裕残しであったことは安達昭夫調教師も認めていた。残念な敗戦ではあったものの、しかし陣営には落胆という表情はあまりなく、むしろ次への期待のほうが大きいように思われた。このあとは美浦トレセンでの検疫に直接入り、予定通り11月6日にチャーチルダウンズ競馬場で行われるブリーダーズCクラシックに挑戦する予定となっている。
 それにしても重賞初制覇をJpnIのマイルチャンピオンシップ南部杯の舞台で果たした馬の名がオーロマイスターとは、単なる偶然にしてはあまりにもドラマチック。「黄金」を意味する馬名の「オーロ」は、父馬名ゴールド(アリュール)からの連想だろう。96年にオープンした現在の盛岡競馬場は、かつての盛岡競馬場が黄金競馬場と呼ばれていたことから「オーロパーク」の愛称がつけられた。
 「門別の2000メートル(ブリーダーズゴールドカップJpnII・4着)はさすがに距離が長かった。1400から1800メートルくらいが守備範囲で、左回りが得意」と大久保洋吉調教師。そうしてみると、この南部杯はぴったりその条件にハマる舞台。メイセイオペラが98年のこのレースで出したコースレコードをコンマ3秒更新する1分34秒8という勝ちタイムも、まさに「オーロ」の「マイスター(=名人)」と呼ぶにふさわしい結果だった。
 目標はジャパンカップダートGIだが、状態次第では、優先出走権を得たJBCクラシックJpnIも選択肢にあるとのこと。これから本格化する秋のダートGI・JpnI戦線の主役候補となる馬がまた1頭現れた。
吉田豊騎手
外枠だったので、うしろのほうからにはならないようにとは思っていました。2番手につけて、前に馬の壁がないので折り合いがどうかなと思ったんですけど、うまく折り合えました。(直線では)内からエスポワールシチーが来てるのはわかったので、一緒に伸びるぞっていう感じではいたんですけど、1頭になってもソラを使わずに一生懸命走ってくれました。今まででいちばんいい競馬をしたと思います。
大久保洋吉
調教師
距離だとかいろいろ手探りでやってきて、やっとマイル前後のダートがいちばんいいということがわかってきて、馬の調子も上がってきていました。左回りも得意ですから、それがハマったんだと思います。ここのところ先行して、競馬が上手になって、安定して成績が出せるようになってきたので、馬の状態を見ながらですが、ジャパンカップダートも期待しています。

取材・文:斎藤修
写真:いちかんぽ(森澤志津雄、国分智)

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