2023年ダート競馬の総決算
2011年からは地方競馬初の国際GIに格付け。今年で69回目を迎え、暮れの大一番として長い歴史を積み重ねてきた。04、05年は船橋の生え抜きアジュディミツオーが連覇。18~21年はオメガパフューム(JRA)が史上初の4連覇。昨年はその後ドバイワールドカップGIを制し世界の頂点に立つウシュバテソーロ(JRA)のGI/JpnI初優勝の舞台となった。ここでは13~22年の過去10回の結果から傾向を探っていく。
JRA栗東が8勝、2着7回と圧倒的な連対数をマーク。他の2勝はJRA美浦で、JRA勢を軸に考えるのがベター。栗東、美浦の勝率・連対率・3着内率に遜色はないが、美浦の馬券絡み4回は2015年の覇者で17年まで続けて馬券圏内に好走したサウンドトゥルー、昨年Vのウシュバテソーロとすべて高木登厩舎だった。また、南関東所属馬の馬券絡みは4回。大井、船橋ともに2、3着各1回となっている。地方他地区・外国は14年に米国から遠征してきたソイフェットを含む15頭すべてが掲示板圏外に終わっている。[表1]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
JRA栗東 | 8 | 7 | 7 | 32 | 14.8% | 27.8% | 40.7% |
JRA美浦 | 2 | 1 | 1 | 7 | 18.2% | 27.3% | 36.4% |
南関東 | 0 | 2 | 2 | 59 | 0.0% | 3.2% | 6.3% |
地方他地区・外国 | 0 | 0 | 0 | 15 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
2016年アポロケンタッキー(5番人気)を除けばすべての勝ち馬が3番人気以内の支持を受けており、馬券の頭として考えるのなら人気馬が中心になる。単勝平均配当は421円。馬連複は同1172円で、10倍以下が6回、10倍台は2回。1~3番人気でのワンツー決着も6回を数える。6番人気以下で3着以内に好走した4頭を見てみると、翌年にJpnI・2勝と大ブレイクを果たした20年2着カジノフォンテン(船橋)こそ該当しなかったが、残り3頭のうち2頭は同年にダートグレードで勝利歴。1頭は前年の東京大賞典GIで0秒1差と勝利に手が届きかけた実績を持っていた。[表2]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 4 | 3 | 2 | 1 | 40.0% | 70.0% | 90.0% |
2番人気 | 2 | 3 | 2 | 3 | 20.0% | 50.0% | 70.0% |
3番人気 | 3 | 1 | 2 | 4 | 30.0% | 40.0% | 60.0% |
4番人気 | 0 | 1 | 1 | 8 | 0.0% | 10.0% | 20.0% |
5番人気 | 1 | 1 | 0 | 8 | 10.0% | 20.0% | 20.0% |
6番人気以下 | 0 | 1 | 3 | 89 | 0.0% | 1.1% | 4.3% |
好成績を残すJRA馬の年齢に注目したのが[表3]。勝利は3~7歳、馬券絡みは9歳までと幅広い年齢から活躍馬が出ているものの、基本は2世代で7勝を挙げる4・5歳が軸になってくるだろう。とはいえ9歳のベテラン(2015年ワンダーアキュート、21年ウェスタールンド)がともに3着と気を吐いている点にも要注意。2頭ともに過去の東京大賞典GIで馬券絡みがあり、舞台適性の高さを証明している馬に関しては、年齢を問わずに警戒しておきたい。
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
3歳 | 1 | 1 | 0 | 4 | 16.7% | 33.3% | 33.3% |
4歳 | 3 | 1 | 1 | 7 | 25.0% | 33.3% | 41.7% |
5歳 | 4 | 1 | 2 | 10 | 23.5% | 29.4% | 41.2% |
6歳 | 1 | 2 | 2 | 10 | 6.7% | 20.0% | 33.3% |
7歳 | 1 | 3 | 0 | 5 | 11.1% | 44.4% | 44.4% |
8歳 | 0 | 0 | 1 | 3 | 0.0% | 0.0% | 25.0% |
9歳 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0.0% | 0.0% | 100.0% |
過去10回の勝ち馬は、同年にGI/JpnIで1着があった馬と、同年1800m以上のダートグレードを制していた馬が4頭ずつ。上記に該当しなかったのは4連覇を達成した2021年のオメガパフュームと、GI/JpnI初挑戦で勝利を飾った22年のウシュバテソーロだけだった。また連対馬の前走を調べてみると、延べ14頭がチャンピオンズカップGI(前身のジャパンカップダートGIを含む)からの参戦で、次に連対数が多かったのがJBCクラシックJpnIと南関重賞の勝島王冠で各2回。明らかな数字差が浮かび上がってきた。同年にダートグレード優勝があり、チャンピオンズカップGIを経てきた馬がいれば有力候補になってくる。
その年のダートの締めくくりに相応しく、上位人気に推された実力馬が期待に応えるケースが多い。中でもJRA栗東所属やJRAの4・5歳が確実に勝利を重ねている。また同年のGI/JpnI勝ち馬や、1800m以上のダートグレード1着の実績を残した馬にも頂点に上り詰める資格がある。好相性を誇るチャンピオンズカップGIからの参戦馬にも要注目だ。
(文・前田 恒)
1着
2着
3着
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。