上半期ダートの総決算
芝の上半期総決算が宝塚記念GIなら、ダートでは帝王賞JpnI。上半期の国内ダート古馬中距離路線において、大きなレースは川崎記念JpnIと当レースのみで、ここを目標にしてくる陣営も多い。2008、10年にJRA勢を撃破したフリオーソ(船橋)を最後に地方馬の勝利はなく、毎年JRA勢が強力な布陣で参戦。現役時代だけではなく種牡馬としても存在感を示す歴戦のダート馬が勝ち馬として名を刻んでいる。ここでは13~22年の過去10回の結果から傾向を探っていく。
JRAが10勝、19連対と地方馬を圧倒しており、15、19、21年以外の7回は馬券圏内を独占。劣勢を強いられている地方馬の中で、3着以内に健闘したのは大井所属の3回(2頭)のみ。ハッピースプリントは全日本2歳優駿JpnI、ノンコノユメはJRA在籍時にジャパンダートダービーJpnIとフェブラリーステークスGIを勝っていた。船橋からもカジノフォンテンやサウンドトゥルー、ヒガシウィルウィンといった実績馬が参戦しているものの、馬券圏内には食い込めていない。[表1]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
JRA | 10 | 9 | 8 | 38 | 15.4% | 29.2% | 41.5% |
大井 | 0 | 1 | 2 | 23 | 0.0% | 3.8% | 11.5% | 川崎 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 船橋 | 0 | 0 | 0 | 10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 浦和 | 0 | 0 | 0 | 7 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 地方他地区 | 0 | 0 | 0 | 16 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
2018年までの1番人気は勝ちきれないながらも安定して連対圏に顔を出していたが、ここ4年は馬券圏外が3回。以前までは比較的堅い傾向にあったが、1番人気の成績下降とともに波乱傾向になりつつあり、21年と22年は馬連単でも万馬券が飛び出した。6番人気以下の伏兵で3着以内に入ったのは4回(3頭)。21年3着のクリンチャーこそ該当しないが、17年の勝ち馬ケイティブレイブ、19年3着、21年2着のノンコノユメにはジャパンダートダービーJpnIで連対歴があった。大井2000mに実績がある馬は人気に関係なく警戒が必要。[表2]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 1 | 5 | 1 | 3 | 10.0% | 60.0% | 70.0% |
2番人気 | 2 | 1 | 2 | 5 | 20.0% | 30.0% | 50.0% | 3番人気 | 3 | 1 | 1 | 5 | 30.0% | 40.0% | 50.0% | 4番人気 | 1 | 1 | 2 | 6 | 10.0% | 20.0% | 40.0% | 5番人気 | 2 | 1 | 2 | 5 | 20.0% | 30.0% | 50.0% | 6番人気以下 | 1 | 1 | 2 | 74 | 1.3% | 2.6% | 5.1% |
[表3]を見てみると、4歳から6歳が好成績を残していることは一目瞭然で、特に5勝を含む8連対の4歳馬には注目。このレースでGI/JpnI初制覇を果たした17年ケイティブレイブや21年テーオーケインズを筆頭に、4歳で勝ったのは一時代を築いた馬ばかり。今後のダート路線を背負うようなスケールを感じさせる馬が出てくればV有力と考えて良さそうだ。対して7歳以上の高齢馬で馬券圏内に好走した延べ11頭を調べてみると、過去の帝王賞JpnIやジャパンダートダービーJpnI、東京大賞典GIで連対歴があったのが9頭。残り2頭は芝・ダートを問わずGI/JpnIで3着以内の成績があった。7歳以上の馬は大舞台での好走歴が必須になる。
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
4歳 | 5 | 3 | 1 | 11 | 25.0% | 40.0% | 45.0% |
5歳 | 2 | 3 | 1 | 20 | 7.7% | 19.2% | 23.1% | 6歳 | 2 | 1 | 1 | 20 | 8.3% | 12.5% | 16.7% | 7歳 | 0 | 2 | 6 | 24 | 0.0% | 6.3% | 25.0% | 8歳 | 1 | 0 | 1 | 15 | 5.9% | 5.9% | 11.8% | 9歳以上 | 0 | 1 | 0 | 8 | 0.0% | 11.1% | 11.1% |
過去10回の結果から前走は平安ステークス、アンタレスステークスなどの国内GIIIか、かしわ記念JpnI、海外がV候補と言える。ただし、2016年までの4回と17年からの6回ではまるっきり傾向が違う点が大きなポイント。かしわ記念JpnI組は16年までが3勝、2着3回、3着2回で、17年以降は18年Vのゴールドドリーム以外は馬券圏外。逆に国内GIII組は17年から4勝、2着3回、3着2回と勢いが目立っており、こちらを中心と考えるのが得策かもしれない。悩ましいのが海外遠征組で【2-1-2-5】と割合は半々。連覇に挑んだホッコータルマエや、ドバイワールドカップGIで2着に好走したチュウワウィザードも帰国初戦のここは4着以下に敗れた。直前の調教過程などを参考に仕上がり具合を踏まえて取捨選択したい。[表4]
1着 | 2着 | 3着 | |
国内GⅢ | 4 | 4 | 1 |
かしわ記念 | 4 | 3 | 2 |
海外 | 2 | 1 | 2 |
ダイオライト記念 | 0 | 1 | 0 |
金盃 | 0 | 1 | 0 |
フェブラリーS | 0 | 0 | 2 |
名古屋大賞典 | 0 | 0 | 2 |
川崎記念 | 0 | 0 | 1 |
JRA所属馬を馬券の中心に据えるのが鉄則。なかでも大井2000mに良績があったり、将来有望な4歳馬が出てくれば期待できる。前走は近年の活躍が目立つ国内GIII組が狙い目。海外遠征帰りは実績馬でも馬券圏外になるケースがあり、直前の情報をしっかりチェックして見極める必要がある。
(文・前田 恒)
1着
2着
3着
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。