川崎2100mを舞台に若き牝馬が激突
南関東3歳牝馬路線の三冠目に位置づけられており、4年連続で二冠馬が参戦するも、いずれもJRAの高い壁に阻まれている。地方馬の勝利は12年アスカリーブルまで遡り、今年こそJRAの勢いを止める地方馬が現れるのか。なお全日本的なダート競走の体系整備により、24年度からは秋のマリーンカップJpnIII(船橋1800m)に対し、こちらは春のダート3歳女王決定戦となる。ここでは、13~22年の過去10回の結果から傾向を探る。
数字だけを見ると、JRAが10勝を含む15連対と地方馬が苦戦しているように思えるが、JRAによる馬券圏独占は意外にも2013年の1回のみ。勝利こそ掴めていないが、地方馬も健闘していると言える。そのなかでも小久保智厩舎(浦和)は4頭が出走して【0-1-2-1】。15年3着のトーセンマリオンは8番人気の低評価を覆す力走で、波乱を演出した。同厩舎から参戦してくる馬は人気に関係なく脈ありと判断しても良さそうだ。他地区からは26頭が参戦しているが、馬券圏内に食い込んだのは14年のトーコーニーケ(兵庫)のみとなっている。【表1】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
JRA | 10 | 5 | 5 | 20 | 25.0% | 37.5% | 50.0% |
船橋 | 0 | 2 | 0 | 20 | 0.0% | 9.1% | 9.1% |
浦和 | 0 | 1 | 3 | 3 | 0.0% | 14.3% | 57.1% |
川崎 | 0 | 1 | 0 | 22 | 0.0% | 4.3% | 4.3% |
大井 | 0 | 0 | 2 | 12 | 0.0% | 0.0% | 14.3% |
地方他地区 | 0 | 1 | 0 | 25 | 0.0% | 3.8% | 3.8% |
1番人気と2番人気が拮抗しており、その次に続くのが2勝を挙げている4番人気。3番人気と5番人気に勝利はないが、3着内率はともに40.0%と悪くなく、馬券圏内に好走した5番人気以内馬は26頭を数える。馬連複の配当を調べてみると3桁配当が5回で、1000円台が3回。そのことからも上位人気馬を中心に考えるのが無難だろう。6番人気以下で好走した4頭は、重賞で3着以内があった地方馬が3頭。18年の勝ち馬ハービンマオは1800mで未勝利を勝ち上がっており、中長距離の適性を示していた。【表2】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 3 | 2 | 2 | 3 | 30.0% | 50.0% | 70.0% |
2番人気 | 4 | 1 | 2 | 3 | 40.0% | 50.0% | 70.0% |
3番人気 | 0 | 1 | 3 | 6 | 0.0% | 10.0% | 40.0% |
4番人気 | 2 | 2 | 0 | 6 | 20.0% | 40.0% | 40.0% |
5番人気 | 0 | 3 | 1 | 6 | 0.0% | 30.0% | 40.0% |
6番人気以下 | 1 | 1 | 2 | 78 | 1.2% | 2.4% | 4.9% |
枠順別成績を見てみると、成長途上の3歳牝馬ということもあり、いかに気分良く走れるかが勝敗の行方を左右していることが表れている。5~8枠が8勝を含む17連対で、好成績を収めていることは一目瞭然。力を発揮できない可能性がある内枠の馬は評価を下げてみてもいいかもしれない。ちなみに地方馬で2着に健闘した5頭の枠順に関しても、すべて5~7枠だったことは覚えておきたい。【表3】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1枠 | 0 | 0 | 3 | 7 | 0.0% | 0.0% | 30.0% |
2枠 | 1 | 0 | 0 | 9 | 10.0% | 10.0% | 10.0% |
3枠 | 0 | 1 | 1 | 12 | 0.0% | 7.1% | 14.3% |
4枠 | 1 | 0 | 3 | 14 | 5.6% | 5.6% | 22.2% |
5枠 | 4 | 4 | 0 | 12 | 20.0% | 40.0% | 40.0% |
6枠 | 0 | 2 | 2 | 16 | 0.0% | 10.0% | 20.0% |
7枠 | 1 | 2 | 1 | 16 | 5.0% | 15.0% | 20.0% |
8枠 | 3 | 1 | 0 | 16 | 15.0% | 20.0% | 20.0% |
ほとんどの馬にとって2100mは未知の距離になるだけに、長距離の適性が問われる。馬券圏内に入ったJRA所属20頭のうち18頭には1800m以上での勝利歴か、兵庫チャンピオンシップJpnII(園田1870m)で3着以内の実績を残していた。2019年の覇者ラインカリーナにしても1700mで2勝目を挙げており、マイル以下までの経験しかなかったのは17年2着のアンジュデジールのみ。地方馬も1800m以上の距離で勝っていることが望ましいが、重賞レベルの力を見せていれば、JRA勢ほど距離経験は気にしなくてもいい。
勝ち馬はJRAから出ると考えるのが無難。5枠から8枠に入った上位人気馬、1800m以上での勝利実績や兵庫チャンピオンシップJpnIIで馬券圏内に加わった馬であれば、信頼度は一気にアップする。地方馬は勝ち切れていないものの、JRAの上位独占は阻止しており、買い目から外すことは危険。
(文・前田 恒)
1着
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3着
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。