大型連休の名古屋の風物詩
かきつばた記念は、名古屋競馬場に3つ設定されているダートグレード競走のひとつ。例年大型連休の時期に行われ、同競馬場が最も賑わう季節であり、レースでもある。
1999年の創設以降一昨年までは、旧競馬場の1400mで実施されてきたが、弥富への移転に伴い昨年から距離が1500mに改められた。また負担重量についても、2017年以降ハンデキャップとなっており、これらの変遷に留意しながら本レースの過去10年を振り返りつつ、傾向を紐解いていく。
年齢別で見れば、出走数が少ないとは言え4歳馬が断然優勢。出走馬がいるならまずここに注目すべきで、更にそれが実力馬・実績馬であれば素直に買いと見ていいだろう。一方、7歳も2勝、2着3回と健闘。やや高齢だからと言って、狙いを下げる必要はなさそうだ。【表1-1】
また性別で見ると、出走数が断然多い牡馬が比率の上でも優勢と見えるが、セン馬や牝馬の勝ち馬も2頭ずつ出ており、あくまでも実力重視で狙いを立てたい。【表1-2】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
4歳 | 6 | 2 | 1 | 7 | 37.5% | 50.0% | 56.3% |
5歳 | 1 | 2 | 2 | 16 | 4.8% | 14.3% | 23.8% |
6歳 | 1 | 2 | 2 | 21 | 3.8% | 11.5% | 19.2% |
7歳 | 2 | 3 | 1 | 16 | 9.1% | 22.7% | 27.3% |
8歳以上 | 0 | 1 | 4 | 26 | 0.0% | 3.2% | 16.1% |
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
牡 | 6 | 8 | 9 | 66 | 6.7% | 15.7% | 25.8% |
セン | 2 | 1 | 1 | 6 | 20.0% | 30.0% | 40.0% |
牝 | 2 | 1 | 0 | 14 | 11.8% | 17.6% | 17.6% |
力量があるJRA勢が人気上位を占めるダートグレード競走だけに、1~2番人気馬が順当に活躍している。ただし、勝利となると2番人気の方が多いというのは、興味深い数字だ。人気上位に推される馬の力量が拮抗していることが多いのだろう。実際、6番人気のタガノジンガロが勝ち3連単2万馬券となった2014年を除いても、3連単の平均配当は5,406円。その年毎の組み合わせにもよるが、数字的には「配当が安すぎて手が出せぬ」と諦めるようなレースではない。【表2】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 3 | 5 | 1 | 1 | 30.0% | 80.0% | 90.0% |
2番人気 | 6 | 1 | 2 | 1 | 60.0% | 70.0% | 90.0% |
3番人気 | 0 | 3 | 1 | 6 | 0.0% | 30.0% | 40.0% |
4番人気 | 0 | 1 | 2 | 7 | 0.0% | 10.0% | 30.0% |
5番人気 | 0 | 0 | 3 | 7 | 0.0% | 0.0% | 30.0% |
6番人気以下 | 1 | 0 | 1 | 64 | 1.5% | 1.5% | 3.0% |
数の上でJRA勢が優勢なのは言うまでもないこと。考えるべきは、数が少ないとはいえ時折奮闘もある地方所属馬の狙い方だ。3着内に入った5頭は、それぞれレースタイプも戦歴も異なるだけに傾向が探りづらいが、いずれもJRAオープンかそれに準ずる成績があり、前走は重賞・特別で1着。人気的にも、前述のタガノジンガロ以外の勝ち馬2頭はいずれも2番人気。名古屋と南関東所属で3着した2頭もいずれも5番人気と、一定の支持を集めていた。実力や戦歴次第で狙いが立つケースもある一方、そこに疑問符がつく地方所属馬での無理な穴狙いは、慎んだ方が良さそうだ。【表3】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
JRA | 7 | 10 | 8 | 20 | 15.6% | 37.8% | 55.6% |
兵庫 | 3 | 0 | 0 | 9 | 25.0% | 25.0% | 25.0% |
名古屋 | 0 | 0 | 1 | 41 | 0.0% | 0.0% | 2.4% |
南関東 | 0 | 0 | 1 | 4 | 0.0% | 0.0% | 20.0% |
その他 | 0 | 0 | 0 | 12 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
活躍馬の前走を見ると、最も成績がいいのは意外なことにJRA特別組。とりわけ、そこで1着を獲った馬7頭全てが当レースでも3着以内に好走しているのは注目に値する。一方、JRAの重賞からの転戦馬ははっきり不振。芝のレースを使ってきた馬を含め着が良くない馬が多いが、フェブラリーSで6着とそこそこ走ったタガノトネール(16年1番人気4着)のように人気を裏切る馬もいて、やはり買い被りはできない。JRA勢は、格よりも近歴好走の流れを重視したい。【表4-1】
興味深いのは、地方のダートグレード競走からの転戦。直近の大井・東京スプリントより、3月の高知・黒船賞の方が、相性がよさそうだ。東京スプリント組に関しては、当レース3着内の活躍馬が最低でも18日(中2週弱)レース間隔が空いていたのに対し、4着以下の馬は総じてレース間隔が短い。17年6着のレーザーバレット(東京スプリント3着から中13日)や18年5着のブルドッグボス(東京スプリント5着から中11日)のように、強行軍で当レースに臨み、一定の人気に推されながら好走できなかった馬もいる。今年の当レースは、東京スプリントから中12日。人気になる馬がいれば疑ってかかってもいいだろう。【表4-2】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
JRA特別 | 5 | 1 | 2 | 4 | 41.7% | 50.0% | 66.7% |
地方ダートグレード競走 | 3 | 7 | 5 | 17 | 9.4% | 31.3% | 46.9% |
地方重賞 | 1 | 0 | 2 | 29 | 3.1% | 3.1% | 9.4% |
地方重賞以外 | 1 | 0 | 0 | 29 | 3.3% | 3.3% | 3.3% |
JRA重賞 | 0 | 2 | 1 | 7 | 0.0% | 20.0% | 30.0% |
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
黒船賞 | 2 | 4 | 1 | 5 | 16.7% | 50.0% | 58.3% |
東京スプリント | 1 | 3 | 2 | 7 | 7.7% | 30.8% | 46.2% |
名古屋大賞典 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0.0% | 0.0% | 66.7% |
その他 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
JRA所属で人気上位馬のうち、4歳馬。または前走特別戦勝ち馬か黒船賞好走馬。地方所属馬は、JRA勢に匹敵する高実績・戦歴の馬なら、一考の余地あり。
(文・坂田 博昭)
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2着
3着
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。