データ分析 Data Analysis

マイルが舞台の古馬牝馬戦

2023年に地方競馬で組まれている古馬牝馬のダートグレード競走は8レースで、その中で川崎・スパーキングレディーカップJpnIIIと並び最も短い1600mで行われる。年によってはフルゲート14頭に満たないことも多く、2019年と21年は7頭立てだった。ここでは13年~22年の過去10回から傾向を見ていく。

大井など南関東馬に注目

過去10回中8回をJRA馬が勝利し優勢。しかしながら、大井と川崎もそれぞれ1勝を挙げ、大井は2着3回、3着2回と高い確率で上位争いに加わっている。その実績に大きく貢献しているのはサルサディオーネ。当レースでは2020年に1着、21年3着、22年2着と逃げて粘り強さを発揮してきたが、今年3月のエンプレス杯JpnIIで引退。その後を継ぐ馬が登場するか否かでこの傾向にも変化が起きるだろう。[表1]

[表1]所属別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
JRA栗東 6 5 5 9 24.0% 44.0% 64.0%
JRA美浦 2 2 1 7 16.7% 33.3% 41.7%
大井 1 3 2 8 7.1% 28.6% 42.9%
川崎 1 0 0 7 12.5% 12.5% 12.5%
船橋 0 0 1 14 0.0% 0.0% 6.7%
浦和 0 0 0 6 0.0% 0.0% 0.0%
地方他地区 0 0 1 30 0.0% 0.0% 3.2%

近年は人気決着が加速

3番人気以内での勝利が過去10回中9回を占めるように、人気通りの結果となりやすい一戦。最も人気薄で勝ったのは2020年サルサディオーネ(大井)だが、JRA馬4頭に次ぐ5番人気の単勝6.7倍に支持されており、人気の一角という扱いだった。過去10回の3連単平均配当は1万5490円だが、近年はダートで活躍する牝馬が増えたこともあり直近5年で万馬券はわずか1回のみ。人気決着の傾向がより加速していると言えるだろう。[表2]

[表2]単勝人気別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 4 3 1 2 40.0% 70.0% 80.0%
2番人気 4 2 2 2 40.0% 60.0% 80.0%
3番人気 1 3 2 4 10.0% 40.0% 60.0%
4番人気 0 1 3 6 0.0% 10.0% 40.0%
5番人気 1 0 1 8 10.0% 10.0% 20.0%
6番人気以下 0 1 1 59 0.0% 1.6% 3.3%

5歳が圧倒的な強さを見せる

5歳が7勝を挙げ、顕著な傾向が見られる。牝馬の場合は繁殖入りを見据えて6歳で引退する場合も多く、実績馬であっても7歳以上の現役馬が少ないという点も関係しているだろう。また、JRA所属馬がダートグレード競走に出走するには相応の賞金が必要で、古馬になってからも勝利を積み重ねた充実期の馬が5歳に多いということも一因と考えられる。[表3]

[表3]年齢別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
3歳 0 0 0 1 0.0% 0.0% 0.0%
4歳 1 2 4 28 2.9% 8.6% 20.0%
5歳 7 5 2 20 20.6% 35.3% 41.2%
6歳 2 1 2 16 9.5% 14.3% 23.8%
7歳以上 0 2 2 16 0.0% 10.0% 20.0%

エンプレス杯組が有力

同年のエンプレス杯JpnII・3着以内から出走した14頭中、ここでも3着以内だったのは10頭。同レースでの成績は信じていいだろう。なおエンプレス杯JpnIIで1着だった4頭中3頭は当レースも勝利。2014年ワイルドフラッパー、22年ショウナンナデシコは、2走前のTCK女王盃JpnIIIでも連対していた。

勝つのはこういう馬!

JRAや地方の有力牝馬にはTCK女王盃JpnIIIからエンプレス杯JpnIIを経てマリーンカップというダートグレード競走のローテーションを組む馬も多い。そこでの実績をそのまま信用できる。また南関東所属馬は2019、20年と2勝しているが、19年はエンプレス杯JpnIIの1~3着馬が不出走で、20年は同1着馬が不在。JRA勢の動向によっては台頭が期待できる。

(文・大恵陽子)

過去20年の所属別成績

  • 1着

  • 2着

  • 3着

【注記】2006年は2着同着、11年は施行なし。

注記

当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。