下半期の中距離戦線を占う金沢競馬伝統の一戦
金沢競馬場で行われる唯一のダートグレード競走。ここをステップに約1カ月後に行われるJBCクラシックへ向かう馬も多く、秋の大一番を占う上でも重要な一戦。過去の優勝馬には、スマートファルコン、ニホンピロアワーズなど多くの活躍馬が名を連ねている。ここでは2012年~21年まで過去10年のデータをもとに傾向を探る。
かつては内ラチ沿いが断然有利な時期もあったが、2019年の開幕前に馬場の全面改修が行われて以降、傾向ががらりと変わって内を空けて走る馬が目立つようになった。3着内馬を内か外かで分けると30頭中15頭が馬番1~6番、残る15頭が7~12番とフラットな傾向だが、10回中8回で二桁馬番が連対しているように外枠の馬の好走が目立つ。[表1]
年 | 12年 | 13年 | 14年 | 15年 | 16年 | 17年 | 18年 | 19年 | 20年 | 21年 |
頭数 | 12頭 | 12頭 | 10頭 | 12頭 | 12頭 | 10頭 | 11頭 | 9頭 | 12頭 | 12頭 |
1着 | 12 | 4 | 2 | 1 | 12 | 10 | 11 | 10 | 11 | 7 |
2着 | 1 | 11 | 10 | 3 | 5 | 3 | 8 | 4 | 5 | 8 |
3着 | 10 | 8 | 5 | 6 | 8 | 8 | 5 | 6 | 3 | 4 |
※19年7番は出走取消
1番人気馬の勝率は50%とまずまずで、1~3番人気馬が揃って3着内を外したことは一度もない。3連単が万馬券となったのは18年、21年の2回のみで、最も高配当だった昨年でも5→2→3番人気で3連単は1万4,150円だった。6番人気以下は1頭も馬券の対象になっていないので、無理な穴狙いは禁物。[表2]
単勝人気 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
1番人気 | 5 | 0 | 1 | 4 | 50.0% | 50.0% | 60.0% |
2番人気 | 1 | 7 | 1 | 1 | 10.0% | 80.0% | 90.0% |
3番人気 | 0 | 1 | 4 | 5 | 0.0% | 10.0% | 50.0% |
4番人気 | 3 | 1 | 2 | 4 | 30.0% | 40.0% | 60.0% |
5番人気 | 1 | 1 | 2 | 6 | 10.0% | 20.0% | 40.0% |
6番人気以下 | 0 | 0 | 0 | 62 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
3、4歳馬が勝率、連対率、3着内率いずれも高い確率を示している。ただし5歳~8歳以上の各世代からも優勝馬が出ており、3、4歳馬だけで馬券圏内を占めたのは19年の一度だけ。3、4歳馬を中心に幅広い世代に注意を払いたい。[表3]
年齢 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
3歳 | 2 | 1 | 1 | 5 | 22.2% | 33.3% | 44.4% |
4歳 | 3 | 3 | 0 | 11 | 17.6% | 35.3% | 35.3% |
5歳 | 1 | 3 | 3 | 18 | 4.0% | 16.0% | 28.0% |
6歳 | 1 | 2 | 3 | 15 | 4.8% | 14.3% | 28.6% |
7歳 | 2 | 0 | 1 | 19 | 9.1% | 9.1% | 13.6% |
8歳以上 | 1 | 1 | 2 | 14 | 5.6% | 11.1% | 22.2% |
過去10回の優勝馬は全てJRA所属でしかも関西馬。中央との交流になった97年以降で見ても、馬インフルエンザの影響で金沢所属馬のみでレースが行われた07年以外はJRA馬が制している。地方馬は5頭が2~3着に入っているが、中でも14年2着サミットストーン、21年2着ミューチャリーと船橋所属馬は過去10回で出走した2頭とも2着に健闘している。その2頭にはいずれも金沢競馬所属の吉原寛人騎手が騎乗していた。[表4]
所属 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
JRA | 10 | 6 | 9 | 24 | 20.4% | 32.7% | 51.0% |
船橋 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0.0% | 100.0% | 100.0% |
愛知 | 0 | 1 | 1 | 7 | 0.0% | 11.1% | 22.2% |
金沢 | 0 | 1 | 0 | 28 | 0.0% | 3.4% | 3.4% |
その他地方 | 0 | 0 | 0 | 23 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
エーシンモアオバー(JRA)が12年3着、13・14年1着、15年2着と4年続けて好走したのをはじめ、18・19年と連覇したグリム(JRA)や、17年2着、18年3着のカツゲキキトキト(愛知)など、リピーターが多く活躍している。
馬券の中心となるのは4番人気以内のJRA関西馬で3、4歳の若い馬。地元所属吉原寛人騎手は地方馬だけでなくJRA馬への騎乗でも2着(19年デルマルーヴル)があるだけに軽視できない。また、リピーターには特に注意を払いたい。
(栗田 勇人)
1着
2着
3着
【注記】馬インフルエンザ流行の影響により、金沢所属馬限定の地方重賞となった2007年を除いたデータとなります。
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。