豪華なメンバーが顔を揃える、船橋のマイル決戦
近25年ではJRA18勝、地方7勝。昨年はカジノフォンテン(船橋)が好位から抜け出して優勝。10年ぶりの地方所属馬の勝利となった。ここでは、過去10年の結果から傾向を探っていこう。
昨年は6番(2番人気)→11番(6番人気)→10番(4番人気)の決着。19年に10番ゴールドドリームが1着(2番人気)、18年には11番インカンテーションが3着(1番人気)と、二桁頭数で行われた直近3回は、いずれも二桁馬番が馬券に絡んでいる。ただ、18年、19年は上位人気馬の好走であり、昨年はカジノフォンテンが早めに動く競馬で、外枠勢に展開が向いた面も。コーナー4回の1600m戦だけに、過去10年まで対象を広げると、基本的には内目の馬の好走が目立っている。[表1]
年 | 12年 | 13年 | 14年 | 15年 | 16年 | 17年 | 18年 | 19年 | 20年 | 21年 |
頭数 | 13頭 | 11頭 | 8頭 | 10頭 | 12頭 | 10頭 | 12頭 | 11頭 | 7頭 | 12頭 |
1着 | 7 | 7 | 5 | 7 | 1 | 1 | 7 | 10 | 1 | 6 |
2着 | 6 | 1 | 2 | 3 | 6 | 2 | 3 | 6 | 4 | 11 |
3着 | 4 | 9 | 7 | 6 | 4 | 3 | 11 | 7 | 6 | 10 |
1番人気は過去10年で未勝利。2010年のエスポワールシチーが単勝1.1倍の支持に応えたのを最後に、連敗が続いている。実力が反映されやすいダートグレード競走において、異例ともいえる傾向だ。6番人気以下の馬券絡みは5頭。18年オールブラッシュ(6番人気2着)、19年アポロケンタッキー(7番人気3着)、20年ワイドファラオ(6番人気1着)、21年ソリストサンダー(6番人気2着)と、目下4年連続で6番人気以下の馬が3着以内に食い込んでいる。[表2]
単勝人気 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
1番人気 | 0 | 3 | 3 | 4 | 0.0% | 30.0% | 60.0% |
2番人気 | 6 | 0 | 1 | 3 | 60.0% | 60.0% | 70.0% |
3番人気 | 2 | 1 | 2 | 5 | 20.0% | 30.0% | 50.0% |
4番人気 | 1 | 1 | 1 | 7 | 10.0% | 20.0% | 30.0% |
5番人気 | 0 | 2 | 2 | 6 | 0.0% | 20.0% | 40.0% |
6番人気以下 | 1 | 3 | 1 | 51 | 1.8% | 7.1% | 8.9% |
勝ち星でみると、4歳が3勝、5歳〜7歳が2勝ずつ。3着内率では、4歳〜8歳が25.0%〜34.8%の範囲に収まっており、年齢的な好走率の偏りはなさそうだ。9歳以上で唯一3着内の好走を果たしていたのは、15年4番人気1着のワンダーアキュート。前年の帝王賞の覇者で、走られて納得の実力馬だった。なお、牝馬は年齢にかかわらず苦戦傾向で、15年サンビスタの2番人気5着が最高。[表3]
年齢 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
4歳 | 3 | 0 | 1 | 8 | 25.0% | 25.0% | 33.3% |
5歳 | 2 | 2 | 2 | 12 | 11.1% | 22.2% | 33.3% |
6歳 | 2 | 3 | 3 | 15 | 8.7% | 21.7% | 34.8% |
7歳 | 2 | 2 | 2 | 18 | 8.3% | 16.7% | 25.0% |
8歳 | 0 | 3 | 2 | 11 | 0.0% | 18.8% | 31.3% |
9歳以上 | 1 | 0 | 0 | 12 | 7.7% | 7.7% | 7.7% |
JRAが9勝、2着8回、3着9回と圧倒的。地方所属馬による3着内好走は、船橋が1勝、2着1回、大井が2着1回、3着1回だけ。その他の地区からは、のべ19頭が出走して全て着外に終わっている。昨年、船橋所属のカジノフォンテンが優勝しているが、これは16年6番人気2着だったソルテ(大井)以来の、地方所属馬による馬券絡みだった。近年はJRA勢が圧倒していたが、カジノフォンテンの激走が地方勢反撃の狼煙となるか。[表4]
所属 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
JRA | 9 | 8 | 9 | 29 | 16.4% | 30.9% | 47.3% |
船橋 | 1 | 1 | 0 | 16 | 5.6% | 11.1% | 11.1% |
大井 | 0 | 1 | 1 | 12 | 0.0% | 7.1% | 14.3% |
川崎 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
浦和 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
その他地方 | 0 | 0 | 0 | 15 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
3着以内だったのべ30頭中、21頭が前走フェブラリーS組であった。うち9頭はフェブラリーS6着以下からの巻き返しで、同距離のダート戦とはいえ、東京ダート1600mとは異なる適性を求められていることが推測できる。実際、直近10年で、同年のフェブラリーS勝ち馬がかしわ記念に出走したケースは7回あるが、1-1-1-4という成績に終わっている。
勝ち馬のべ10頭中8頭が前走フェブラリーS組。その着順は、12着、2着、2着、14着、7着、9着、1着、5着だった。エスポワールシチー、ワンダーアキュート、コパノリッキーなど、地方交流重賞での実績を十分に持つ古豪が船橋コースで一変するパターンに注意したい。前走がフェブラリーS以外だった2頭は、21年のカジノフォンテンが京成盃グランドマイラーズ(1着)、13年のホッコータルマエがアンタレスS(1着)だった。フェブラリーS以外からの臨戦ならば、前走で勝っているのが望ましいだろう。
(松山 崇)
1着
2着
3着
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。