データ分析 Data Analysis

3歳馬と古馬が初めて対峙する夏の牝馬ダートグレード競走

グランダム・ジャパン古馬シーズンの第2戦。川崎競馬場で多大な功績を残した“砂の女王”ホクトベガの偉業を称え、「ホクトベガメモリアル」と銘打って行われる。秋の大一番に向けて3歳牝馬と古馬牝馬が激突する川崎マイルの傾向を、過去10年の結果から探っていく。

JRAが圧倒

JRAが10勝、2、3着各7回と断然の成績。勝った馬はダートグレード競走か、JRA3勝クラス以上でV歴があり、3歳馬であれば関東オークスJpnIIで連対できる力が必要。馬券に絡んだ地方馬の内訳としては大井4頭、船橋と浦和が1頭ずつの計6頭となっており、その内の4頭は4番人気以内に推されていた。あとの2頭は南関東B1を勝ってここに挑戦してきた上がり馬。基本的にはJRA馬を中心に組み立てたいが、地方馬なら人気上位馬、もしくは勢いのある馬で、それ以外の台頭は難しいといえる。[表1]

[表1]所属別成績(過去10年)

所属 1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
JRA 10 7 7 15 25.6% 43.6% 61.5%
大井 0 2 2 12 0.0% 12.5% 25.0%
船橋 0 1 0 18 0.0% 5.3% 5.3%
浦和 0 0 1 11 0.0% 0.0% 8.3%
川崎 0 0 0 14 0.0% 0.0% 0.0%
その他地方 0 0 0 18 0.0% 0.0% 0.0%

5歳が6勝も3歳と6歳が3着内率では上回る

5歳が6勝、2着4回と好成績で勝率、連対率ともにトップ。ただし、のべ118頭の出走馬のうち5歳は46頭と最多で、3着内率別に見ると3歳と6歳が33.3%で最も良く、続いて4歳、5歳の順となっている。出走頭数は12頭と少ないものの、3歳は4頭が馬券圏に好走。その4頭には関東オークスJpnIIか、ユニコーンステークスGIIIから参戦していたという共通点があった。[表2]

[表2]年齢別成績(過去10年)

年齢 1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
3歳 1 1 2 8 8.3% 16.7% 33.3%
4歳 2 2 3 18 8.0% 16.0% 28.0%
5歳 6 4 2 34 13.0% 21.7% 26.1%
6歳 1 3 3 14 4.8% 19.0% 33.3%
7歳 0 0 0 12 0.0% 0.0% 0.0%
8歳以上 0 0 0 2 0.0% 0.0% 0.0%

外枠の先行馬が好走

馬番を見てみると内から外まで満遍なく、勝ち馬が出ていることが分かる。ただし2、3着に入ったのべ20頭に目を向けてみると、6~12番の15頭が該当しており、中~外が好走している。また10頭と少頭数だった11、16、20年はいずれも前でレースを運んだ10番が連対、8番が3着以内に入っていた。大外は2勝、2着2回と上々の成績で、長く先行争いができるコース形態のぶん、もまれずに好位を取りに行ける外枠の先行馬が力を発揮していると考えられる。逆に1番が馬券に絡んだのは2番手をロスなく立ち回った20年のファッショニスタ(JRA)のみ。最内枠は割り引く必要がありそうだ。[表3]

[表3]3着内馬の馬番(過去10年)

11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年
頭数 10頭 11頭 14頭 12頭 12頭 10頭 12頭 13頭 14頭 10頭
1着 9 3 5 12 2 10 7 3 4 1
2着 10 9 6 5 3 8 10 12 2 10
3着 8 2 9 8 7 6 4 9 9 8

注記:12年は6番が出走取消

1~4番人気が堅実

上位人気ほど勝率が高く、連対率、3着内率ともにハイアベレージ。4番人気までに推された馬は信頼できると言って良さそうだ。過去10年で1~3番人気の決着が4回、1~4番人気まで幅を広げると、実に7回が該当しているように順当な決着が多い。6番人気以下で好走した3頭を見てみると、19年の2着サルサディオーネ(JRA)は前走の大敗で人気を落としていたが、ダートグレード競走で2着の実績があった。他2頭の地方馬はともに前走で南関東B1を勝って参戦していた。重賞で結果を残した馬でなければ、近走の勢いもポイントになりそうだ。[表4]

[表4]単勝人気別成績(過去10年)

単勝人気 1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 4 1 3 2 40.0% 50.0% 80.0%
2番人気 3 3 1 3 30.0% 60.0% 70.0%
3番人気 2 3 2 3 20.0% 50.0% 70.0%
4番人気 1 2 1 6 10.0% 30.0% 40.0%
5番人気 0 0 1 9 0.0% 0.0% 10.0%
6番人気以下 0 1 2 65 0.0% 1.5% 4.4%

大半が3コーナー3番手以内の馬が勝利

グレード勝ちの実績によって負担重量が決まる別定戦。出走馬の中で最も重い重量を背負った馬が勝利したのは11、13、16、20年の4回(同重量が複数頭いた場合も含む)。大井1800mで行われるTCK女王盃JpnIIIを制しているか、JBCレディスクラシックJpnIで3着以上という共通項があった。また過去10年の勝ち馬は3コーナーを5番手で通過した12年のスティールパスを除いたすべての馬が3コーナーで3番手以内につけていた。

勝つのはこういう馬!

圧倒的な数字を残していることからも『JRA馬』の中心は揺るがない。出走頭数は多いものの、『充実期を迎えた5歳が優勢で、外枠に入った先行馬』なら信頼度は増す。ダートグレード競走やJRA3勝クラス以上で勝った経験があればV条件は満たされており、上位人気馬を素直に信頼したい。

(前田 恒)

過去20年の所属別成績

  • 1着

  • 2着

  • 3着

注記

当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。