春から本格化する短距離戦線に向けてスピード自慢が集う。例年ハイレベルな注目の一戦だ。
古馬による短距離の1200m戦。基本的にはJRAの人気馬で決まりやすいが、ラブミーチャン(笠松)、キタサンミカヅキ(船橋)といった地方馬による優勝のほか、昨年は地方馬が2、3着に入った。また、コアレスピューマ(船橋)が12番人気の低評価を覆して3着に入ったこともあり、地方馬の活躍も期待できる。データを基に分析していく。
ダートグレード競走はやはりJRAが力の違いを見せることが多く、東京スプリントも過去10年でJRAが8勝を挙げる。しかし、「地方馬は短距離戦の方が健闘しやすい」と言われるように、2013年ラブミーチャン(笠松)、2019年キタサンミカヅキ(船橋)と地方馬が優勝。3着以内に入ったのはこれまで計9回。特に船橋所属馬や地元・大井所属馬の成績が比較的いい。[表1]
所属 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
JRA | 8 | 7 | 6 | 28 | 16.3% | 30.6% | 42.9% |
大井 | 0 | 2 | 1 | 38 | 0.0% | 4.9% | 7.3% |
船橋 | 1 | 1 | 3 | 19 | 4.2% | 8.3% | 20.8% |
川崎 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
浦和 | 0 | 0 | 0 | 15 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
その他地方 | 1 | 0 | 0 | 15 | 6.3% | 6.3% | 6.3% |
過去10年で1番人気は4勝。中長距離のように何度もコーナーを回るレースでは展開の妙で人気薄が台頭するケースも見られるが、ワンターンの1200m戦とあって紛れは少ない。馬番別で見ると、内枠(1~3番)が3勝、外枠(12~16番 ※フルゲートに満たない年が4回あり)も3勝と、枠による大きな差は見られず、人気を素直に信用していいだろう。[表2]
人気 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
1番人気 | 4 | 2 | 2 | 2 | 40.0% | 60.0% | 80.0% |
2番人気 | 0 | 2 | 0 | 8 | 0.0% | 20.0% | 20.0% |
3番人気 | 3 | 1 | 2 | 4 | 30.0% | 40.0% | 60.0% |
4番人気 | 1 | 3 | 1 | 5 | 10.0% | 40.0% | 50.0% |
5番人気以下 | 0 | 2 | 1 | 7 | 0.0% | 20.0% | 30.0% |
わずか1分10秒ほどで決着するスプリント戦。見た目の印象のまま、データとしても「スピード命」ということが分かる。過去10年で逃げ馬による勝利は6回。差し・追い込みでは2、3着はあっても勝つまでは難しい。
過去10年で3着以内に入った30頭を見てみると、うち13頭が前走で4コーナーを3番手以内で回っている。前走のレースぶりから、この舞台でもスピードが生かせそうかの判断ができそうだ。[表3]
脚質 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
逃げ | 6 | 1 | 3 | 9 | 31.6% | 36.8% | 52.6% |
先行 | 4 | 3 | 2 | 29 | 10.5% | 18.4% | 23.6% |
差し | 0 | 6 | 4 | 47 | 0.0% | 10.5% | 17.5% |
追い込み | 0 | 0 | 1 | 33 | 0.0% | 0.0% | 2.9% |
「人類史上最速のスプリンター」と称される元陸上選手のウサイン・ボルトさんのように、競走馬も短距離馬はマッチョ体形の方がいいという声もある。馬体重で見てみると、490kg以上の馬が過去10年で7勝。母数が大きいため勝率などに大きな差は出ていないが、2018年2着、19年優勝のキタサンミカヅキ(船橋)も2年とも520kg台での出走だった。[表4]
馬体重 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
470kg未満 | 1 | 0 | 1 | 13 | 6.7% | 6.7% | 13.3% |
470~489kg | 2 | 2 | 6 | 29 | 5.1% | 10.3% | 25.6% |
490~509kg | 3 | 0 | 2 | 37 | 7.1% | 7.1% | 11.9% |
510~529kg | 3 | 6 | 1 | 26 | 8.3% | 25.0% | 27.8% |
530kg以上 | 1 | 2 | 0 | 12 | 6.7% | 20.0% | 20.0% |
『JRAの逃げ・先行馬で、490kg以上の馬格のある馬』が有望。『JRAの差し・追い込み馬』となると、勝つ確率はやや下がるが、3着以内の確率は高い。地方馬なら、キタサンミカヅキやサブノジュニアのように500kg超えの雄大な馬格のある馬がいいだろう。前走を逃げ・先行で結果を残している馬も侮れない。
(大恵 陽子)
1着
2着
3着
【注記】ダートグレード競走に格付けされた2009年からのデータとなります。
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。