ウエブハロン2017 スーパー ジョッキーズ トライアル タイトル

 本年8月26日および27日にJRA札幌競馬場で実施される「2017ワールドオールスタージョッキーズ」への出場をかけて地方競馬のトップジョッキーが争う「ワールドオールスタージョッキーズ地方競馬代表騎手選定競走」がSJTです。SJT本戦(第1ステージ、第2ステージ)の計4レースにおける着順に応じた得点の合計により、地方競馬代表騎手が選ばれます。
 また、SJT本戦に先がけて、各地方競馬場リーディング次位の騎手等による、本戦への出場をかけた『SJTワイルドカード』が実施されます。
 ※2017ワールドオールスタージョッキーズの地方競馬代表騎手は、地方競馬全国協会が代表騎手1名、補欠騎手1名を日本中央競馬会に推薦し、同会が決定します。
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名手同士の駆け引きで2戦とも波乱 岩手・兵庫のベテランが本戦出場へ

 世界の名手たちの競演・ワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)の舞台を目指し、地方競馬のトップジョッキーが争うスーパージョッキーズトライアル(SJT)。そのSJT本戦への2枚の切符を賭けた戦いSJTワイルドカードが、今年は金沢競馬場で行われた。
 WASJの開催が8月であることから、SJTの出場騎手は2016年4月1日から2017年3月31日までという年度の勝利数で決定される。ワイルドカードの出場騎手は、各地区のリーディング2位(南関東は5位)と委員会選定騎手3名の計12名だが、その中で岡部誠騎手(愛知)は2016年の名古屋リーディングは9位という成績だった。現在全国リーディングトップに立ち絶好調の岡部騎手。年度成績で名古屋2位ということは、今年の1月から3月で、もの凄いスピードで勝ち鞍を重ねたことが分かる。また田中学騎手(兵庫)は、2016年の兵庫リーディングでは3位だった。このシリーズに出場するためには、年明けからの勢いや順調さも重要になるようだ。
 第1戦は1500メートルのブロンズサドル賞。スタート直後、鮫島克也騎手(佐賀)が落馬し、残念ながら競走中止となった。先手を取ったのは、金沢の馬や馬場を知り尽くしている地元の名手、吉原寛人騎手(金沢)。「気難しい馬なので」と、後続を少し離してペースを握った。人気を集めていた赤岡修次騎手(高知)、村上忍騎手(岩手)が2、3番手につけた。
 レース前に地元の騎手が「前開催の極端な前残りの馬場が続いている」と話していたこともあり、『このままの決着か』と頭を過ったが、4コーナーあたりで吉原騎手の手応えがあやしくなった。好位で追走していた向山牧騎手(笠松)が前へと進出し、五十嵐冬樹騎手(北海道)や、村上騎手も追い比べに参戦した。しかしその外から一気に伸びたのが田中騎手だ。あっという間にライバルたちを交わし突き抜けた。混戦の2着争いは五十嵐騎手が制し、3着に向山騎手が入った。
 「かなり気の悪い馬だと聞いていました。なんとか入着までと思っていましたが良い結果になって良かったです」と田中騎手は冷静な表情で振り返った。そのトゥルースカイに騎乗したことのある金沢のトップジョッキー藤田弘治騎手は「本当に難しい馬なんですが、こんなレースができるんですね」と、そのレースぶりに驚いた様子だった。
 第1戦で、Bグループの馬を勝利に導いた田中騎手。多くの人が優勝は田中騎手だろうと思ったに違いない。というのも、第2戦の田中騎手の騎乗馬はクラシカルノヴァというダートグレードでの好走経験を持つ実績馬だからだ。金沢に移籍してからも連対を外したことがなく、競馬新聞を見てもほとんどの記者が本命を打つほどだった。他の騎手たちは悩ましげな雰囲気。誰かが田中騎手を阻みにいくのか、それともあとひとつの出場枠を狙うのか。ジョッキーたちの心理も絡み合い、どんな展開になるのか非常に興味深い一戦となった。
 第2戦のブロンズホイップ賞は未経験の馬も多い1900メートル戦。1番枠を利して逃げたのは村上騎手。レース前「攻めていきたい」と話していた赤岡騎手が大外枠から押して2番手につけた。田中騎手は好位の外目でレースを進めていた。向正面半ばでペースが上がり、先行勢の数名は苦しい様子。その中で、田中騎手は2番手まで上がり前を追った。しかし村上騎手はそれを引き離し、直線では大きく差を広げて逃げ切り快勝。田中騎手は伸びあぐね、馬群にのみ込まれ8着に終わった。2着は吉原騎手、3着に岡部騎手と、道中後方でレース進めていた騎手が上位に入った。
 やはり騎手対抗戦は、予想通り、人気通りに決まらない。田中騎手が着外に敗れたことから、レースを終えた騎手たちはソワソワしながら一様にポイントを確認していた。その結果は、4着・1着で31ポイントの村上騎手が断トツの1位。そして2位は、1着・8着で24ポイントの田中騎手となった。3位の吉原騎手は、1戦目のゴール直前で交わされて6着だったのだが、これがもし5着であれば2位だっただけに、「悔しい!!」と叫んだ。ひとつでも上の着順でゴールすることの重要性を今年も目の当たりにした。
 見事本戦への出場を決めたベテランの2人。「もう若くないので、チャンスがあるうちに頑張ります」と口をそろえ謙遜気味だったが、その実績や実力が全国トップクラスということは言うまでもない。また、SJT第1ステージの舞台は、村上騎手の地元盛岡競馬場。第2ステージは、田中騎手の地元園田競馬場で開催される。この大きなアドバンテージを味方に、本戦ではどんな戦いを見せてくれるだろう。
ワイルドカード
優勝

村上忍騎手
(岩手)
本戦の第1ステージは盛岡なので今回はそれを意識して挑みました。1戦目は人気に応えられなかったけど2戦目で挽回できて良かったです。1番人気の馬は気になっていたけど自分も良いリズムだったので頑張れるんじゃないかと。初めての距離が不安でしたが大丈夫でしたね。良い形で地元に行けますね。
ワイルドカード
準優勝
田中学騎手
(兵庫)
1戦目を勝って、2戦目は有力馬だったので、有利に立ったと思ったのですが。2戦目はいい位置をとれたのですが、3コーナーから反応が良くありませんでした。こうやってトップジョッキーたちの中にいれるだけで励みになりますし楽しんで乗ろうと思っています。本戦では札幌を目指してがんばります。


取材・文:秋田奈津子
写真:国分智(いちかんぽ)

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(YouTube地方競馬チャンネル内)