2009年6月4日(木) 姫路競馬場 1,800m


 

出遅れも好位から抜け出し完勝、目指すは全国区のタイトル

 
兵庫ダービーが10回目にして初めて姫路での開催となり、10年ぶりくらいに姫路競馬場を訪れた。兵庫での競馬は日程のほとんどが園田競馬場で、ダートグレードも園田でしか行われないため、なかなか姫路を訪れる機会がなかった。久々に来てみると、コースは1周1200メートルで広々としているし、まわりの景色も開放的で、なかなかにいい競馬場であることを再認識させられた。
 パドックを見て、素人目にもパッと目に付いたのがカラテチョップだ。出走馬中、唯一500キロ台ということもあるが、何より馬体がピカピカと輝いていて筋骨隆々だった。
 そしてオッズを見てさらに驚いた。カラテチョップの単勝が1.2倍(最終的には1.4倍)。たしかに一冠目の菊水賞を勝って、兵庫チャンピオンシップJpnIIでも地方馬最先着だから、1番人気になるだろうとは思っていたが、2歳10月の兵庫若駒賞を勝ってから菊水賞までは歯がゆいレースが続いていただけに、これほど一本かぶりになるとは。
 しかし、カラテチョップは、その人気どおりの強さを見せてくれた。
 検量室前に戻ってきたカラテチョップの馬上で下原理騎手は、「もう、出遅れたときはどうしようか思うた〜」と一言。それは迎えに来た厩務員に向かって発せられたのだが、まわりにも聞こえてくるほどの大きな声だった。
 スタートした瞬間、カラテチョップは一瞬最後方に置かれた。断然人気で絶対に負けられないという立場だったこともあったのだろう、下原騎手は相当に焦ったようだ。それでも全体がバラバラとした感じのスタートだったこともあり、すぐに先頭からはそれほど差のない5番手あたりにつけた。
 全体の位置取りが決まるとレースは淡々と流れたが、向正面から3コーナーで徐々にペースアップ。カラテチョップは逃げていたミナミノヒリュウの直後につけ、直線を向くとあっという間に抜け出した。最後はキヨミラクルに半馬身差まで詰められたが、まずは完勝という内容。
 寺嶋正勝調教師によると、「名古屋(3月5日、スプリングカップ)は4着に負けましたが、あのあたりから思ったような調教ができるようになって馬が変わってきた」とのこと。菊水賞を勝ったあとも、さらに馬が充実してきていたようだ。出遅れたことが、結果的にカラテチョップの強さをさらに際立たせるものとなった。
 このあとはジャパンダートダービーJpnI、そして地方全国交流の黒潮盃(8月12日、大井)にも出走予定。昨年の佐賀記念JpnIIIを制したチャンストウライと同じ馬主、調教師、騎手のチームが、今度はこの馬で全国区のタイトルを狙う。

取材・文:斎藤修
写真:桂伸也(いちかんぽ)

 
下原理騎手
  ゲート内でガタガタして、ようやく落ち着いて集中力が切れたときにスタートを切られたので出遅れました。直線では思ったより早く先頭に立ってしまったので、差されるかと思ったけど、馬がかなり強くなっていました。  
 
寺嶋正勝調教師
  2番手くらいに楽に行けるかと思っていたのですが、出遅れましたね。それでも向正面では折り合いがついて、3コーナーでは息を入れられたので、だいじょうぶかなと思いました。前回はキヨミラクルが前にいて差し切って勝っているので、今回も大丈夫だろうと見ていました。