JOCKEYS HEART

どんなきっかけで騎手の道を選んだのか。
騎手になってから、どのように競馬と向き合い、どんな夢をもって走っているのか。
女性騎手として第一線で活躍する彼女たちの想いをお伝えします。

#10 今井千尋(ばんえい帯広競馬)

  • 今井千尋騎手
  • ばんえい帯広競馬
INTERVIEW
INTERVIEW

どんなきっかけで騎手の道を選んだのか。騎手になってから、どのように競馬と向き合い、どんな夢をもって走っているのか。女性騎手として第一線で活躍する彼女たちの想いをお伝えします。

ばん馬のそばで生まれ、ばん馬の元に帰ってきた。

ばん馬のそばで生まれ、ばん馬の元に帰ってきた。

 父が調教師で、歩けるようになった時から周りに馬がいました。夜中に抜け出して、馬を見に行ってた。小学生の時には『ポニーばん馬』で騎手をやったこともあります。一体感が楽しかった。小学4年生の時に、家にポニーの『ポニョ』が来てからは毎日乗っていました。馬術部に入ろうと、馬の生産を行っている静内農業高校に進学しましたが、ホームシックになってしまって。退学して、帯広に戻ってきました。
それからばんえいの厩務員になり、ばん馬一筋。厩務員でいいかな、と思いましたが騎手が乗っている姿を見ていると『かっこいいな』『やりたい』と思うようになり、受験を決めました。

18年ぶりの女性騎手。まだ緊張の日々

 騎手試験は昨年、6回目で受かりました。勉強が大変で、落ちるたびに『もーいやだー』って言ってました。学科の1次試験に受かった時は信じられなかった。手応えがあったとはいえ、合格発表の前の日はドキドキして寝れなかったです。
勝負服は父の現役騎手時代と、デアリングタクトの勝負服を参考にしました。12月のデビュー戦は、頭が真っ白になって震えて、緊張がすごかった。それからも『こうなったらどうしよう』と思うと、手が震えていました。ゲートに入ると、どっくんどっくん心臓の音が聞こえます。最近になってようやく震えなくなりましたが、緊張はしています。

3戦目で初勝利。筋力強化が課題

3戦目で初勝利。筋力強化が課題

 初勝利は、ラコちゃん(ホクセイサクラコ)が頑張ってくれました。(女性と新人減量特典の)20キロはてきめんです。昨年度は砂の影響でペースが速かったので、ハナ(スタート)のいい馬に乗せてもらうことが多かったのが結果を出せた理由です。
乗馬をやっていたけれどハミ使いはばん馬を扱うには筋肉が足りない。障害の手前で馬に持って行かれたし、ゴール際で詰まった時、下げれなかった(手綱を下げて馬を前進させられなかった)。べん打も想像以上にできない。デビューしてしばらくは上半身、肩周りや胸前の筋肉痛がすごかった。特に(利き手の)右。最近、痛くならなくなってきました。

4ヶ月で50勝。達成感が騎手の魅力

 最近は、馬を真っすぐ、ふらふらせずに進ませるよう気を付けています。4月に50勝して新人減量が取れましたが、10キロと20キロの壁は感じます。
1着取ったときや、こうしたい、と思ったことができた時の達成感が騎手の魅力です。ほとんど馬に助けてもらっての1着が多いですが。2着が一番悔しい。最近多いですよね。足りないところが多すぎて。
自分の担当馬が勝ったらうれしいのは変わらないですし、普段の生活は厩務員時代とそんなに変化はないです。

ばん馬の魅力は迫力とムキムキの馬体

ばん馬の魅力は迫力とムキムキの馬体

 大きな馬たちがソリを引く、迫力があるところがばん馬の魅力です。ゴール際の接戦や第2障害、登坂もですが、大きな馬が一斉に出る、スタートも迫力があると思うんです。
いかにもばん馬、っていう体つきの馬がいるじゃないですか。かっこいい、って思います。コマサンブラック(牡7)はまじでかっこいい! フォルムもきれいだけどムキムキしている。セナカ(牡12)もですし、この2頭は青毛ですが、実は栗毛が好きなんです。筋肉質な人間の男性も…ですか? それは…あります!(笑) 筋肉がある人はかっこいいですね。