JOCKEYS HEART

どんなきっかけで騎手の道を選んだのか。
騎手になってから、どのように競馬と向き合い、どんな夢をもって走っているのか。
女性騎手として第一線で活躍する彼女たちの想いをお伝えします。

#02 関本玲花(岩手競馬)

  • 関本玲花騎手
  • 岩手競馬
INTERVIEW
INTERVIEW

どんなきっかけで騎手の道を選んだのか。騎手になってから、どのように競馬と向き合い、どんな夢をもって走っているのか。女性騎手として第一線で活躍する彼女たちの想いをお伝えします。

物心ついた時から、騎手志望。

物心ついた時から、騎手志望。

 うちは父がもともと騎手で、引退してから調教師になったんです。だから、小さい時からよく水沢競馬場に見に行っていたのと、岩手は他の競馬場に比べて女性騎手が多かったので、その活躍を見ていて、しぜんと騎手になりたいと思うようになりました。物心ついた時からですね。それで中学校を卒業してからはバイトをしながら教養センターの試験を受けました。でも、特に何も準備をしていなかったので1回では受からず、3回目で受かりました。落ちた時に他の人に比べて筋力が足りないと思ったので、ジムに行ったり、走ったり、体力トレーニングをしましたね。実は父は私には言わなかったけど、周りの人には反対だと言っていたみたいです。多分、危険がともなう仕事というのがあったんですかね。

ずっと辞めたいと思っていた。

 教養センターには未経験で入ったので、周りに全然ついていけなくて。ついていけるようになるまでが結構苦労しました。最初は、飛び乗りさえできなくて、昼間の訓練が終わってからも、体育館に木馬があったので、夜練習したりとか、そういうのを繰り返していましたね。こんな状態だったので、教養センターにいる時はずっと辞めたいと思っていました。でも辞めずに卒業できたのは、先生たちのおかげです。いつも私のことを励ましてくれて。そうすると私も、もう少し頑張ってみようかなという気持ちになって。そうやっているうちに、卒業してました(笑)。

初勝利も、喜び半分。

初勝利も、喜び半分。

 初騎乗の時は、すごく緊張しました。実際の競走馬と教養センターの馬では全然違うので、レースになったら先輩たちに絶対に迷惑かけるだろうな、という不安もあって。走る前から心臓がバクバクしてました。初勝利はデビューの二日後で、馬主さんが勝てる馬を用意してくれて、「つかまっているだけで大丈夫だから」と言ってくれたんですけど、1番人気でプレッシャーはありました。ゲートを出るのが早い馬だったんですけど、出た瞬間にガツンと引っかかっちゃって。「やっちゃったな」と思ったけど、馬の力が強くて、私も筋力がないので抑えられなくて。これで負けたら申し訳ないという気持ちになりましたね。ゴールした時は自分の力で勝ったというより、ただ馬に持って行かれただけで、ちゃんとレースができた訳でもないので、素直には喜べなかったですね。

見ていて気持ちいい、追い方をしたい。

 馬と接する時は、牝馬は気の悪い子が多かったりするので、気が悪くならないように乗るように心がけています。気が悪いというのは、言うことを聞かなかったり、いきなり跳ねたりとか。馬によっても違うんですけど、やるだけやって落ち着く馬は、好きなだけやらせたり、おさまらない馬はちょっと声に出して怒ったり。逆に怒るとひどくなる馬もいるので、そういう馬の時は、とりあえず我慢する。あとレースでは、ファンの方が見ていて気持ちがいい追い方ができるように心がけているというか、できたらいいなと。理想は、途中までは脚を溜めて最後に脚を使わせる感じの山本聡哉騎手とか、最後までがむしゃらに追っている感じの高松亮騎手とか。正反対なんですけど、どちらもカッコよく見えるので、二人みたいになりたいなと思っています。

私を知ることで、地方競馬を知ってもらえたら。

私を知ることで、地方競馬を知ってもらえたら。

 今年(2020年)、『炎の体育会TV』に出させてもらって、それからネットとかでも私のことを知ってもらえるようになって。それで、今まで見たことのない人が岩手競馬を見るようになったりして、すごく嬉しかったんですね。そういう意味で、多くの方が見るテレビに出演できたことは、騎手になってよかった事のひとつです。地方競馬を知らない人でも、私を知ったことで興味をもってもらえるみたいな。地方競馬は競馬場が多いため、近い競馬場にすぐ行けたりするので、気軽に来てもらえたら嬉しいですね。騎手としての夢ですか?それは、ファンの方が買いたいなって思ってくれるようなレースができる騎手になることです。馬ではなく、騎手で選んで馬券を買ってもらえるような。そうなれるように、これからも技術を磨いていきたいと思います。