馬場を味方に逃げ切る
3連勝で重賞初制覇
かつては東京シティ盃として1400メートルで行われていたこの一戦。現在の条件に変更されて18回目となる今年は、非常に見どころの多いレースとなった。
前年のJBCスプリントJpnIを制した大井のファーンヒル、同2着のママコチャ、サウジアラビアからの帰国初戦となるヤマニンチェルキなどが参戦。これらの実績馬に対し、連勝の勢いを駆るドラゴンウェルズを筆頭とした新勢力がどこまで通用するか、注目が集まった。
もともと先行馬の活躍が目立っていたこの開催だが、レース当日は第9レースから雨となり、良馬場のままではあったが勝ちタイムは速くなり、逃げ馬の好走が目立つようになっていた。これがレースにも大きな影響を及ぼすことになる。
マックス(大井)が競走除外となり、14頭立て。前残りの馬場傾向もあって、激しい先行争いが繰り広げられた。エンテレケイア(浦和)、ファーンヒルが昨年のJBCスプリントJpnIと同様の逃げ争い。ティントレット(大井)、ヤマニンチェルキは好ダッシュを見せながらも無理することなく控えた。しかし、そこへ内から主張してきたのがドラゴンウェルズ。さらに押して、残り800メートル標識付近で先頭に立つと、降りしきる雨を浴びながら気分よく3コーナーを迎えた。
こうなればドラゴンウェルズのレース。直線に向いてからも1馬身、2馬身とリードを広げた。ゴール手前でティントレットが差を詰めてきたものの、1馬身1/4の差を保ってゴールを駆け抜けた。
前半3ハロンは34秒2と決して楽ではないペースだったが、ドラゴンウェルズ鞍上の戸崎圭太騎手は馬の気分を優先。「以前はもろさを出してしまったこともあったので」と、逃げることを至上命題としていた。その戦略と先行有利の馬場が合致して、初タイトルという結果に結びついた。今後のローテーションについては続報を待ちたいところだが、1400メートルでも勝利経験があるだけに、さきたま杯JpnIに駒を進めてきても面白い。
内でうまく立ち回ったティントレットが2着。3カ月ぶりの実戦での好走に「休み明けだったので、レースで気持ちを入れるように乗った。集中力が鍵なので、自分の形になれば」と石川倭騎手。以前よりもスタートに安定感が出て、道中での走りに精神面の成長も見て取れる。今後も短距離路線の台風の目となるか注目だ。
1番人気のヤマニンチェルキは4着。好位4番手を進み、後半3ハロン36秒6の脚を使ったが、逃げた馬に36秒5で上がられてしまっては追いつけない。岩田望来騎手も「サウジ帰りでよく走ってくれたと思います」とパートナーをねぎらった。サウジアラビアで12着に敗れたダメージは大きくなさそうで、ここから本来の走りを取り戻していくに違いない。
地方勢期待のファーンヒルは7着に終わった。直線で伸びきれなかった内容を見ても、やはりこのメンバーでの別定58キロは厳しかった印象。笹川翼騎手も「58キロで、スタートでダッシュをつけたぶん、少しバランスを崩してしまった」と肩を落とした。今後も負担重量との戦いにはなるが、昨年の転入から3連勝を飾った内容を見ても、国内屈指の実力がある。巻き返しに期待したい。
取材・文大貫師男
写真宮原政典(いちかんぽ)






戸崎圭太騎手
過去に砂を被ったりもまれたりして、もろさを出してしまったことがあったし、今回は1番枠ということもあったので、逃げることだけを考えていました。それに馬がしっかり応えてくれましたね。馬自身、初めて重賞を勝つことができましたが、今後も短距離路線を盛り上げてくれると思います。