内枠から逃げ後続寄せつけず
初遠征も人気に応え重賞初制覇
東海クイーンカップは、グランダム・ジャパン(GDJ)3歳シーズン全7戦のうちの3戦目。前走浦和・桜花賞で5着、早くも本シリーズ2戦目に挑むティーズセラフ(浦和)が、その実績から注目を集めたが、当レース過去10年で8勝している地元・名古屋勢も、近2走準重賞・重賞で続けて奮戦したカトレアノクターンを筆頭に迎撃の構え。地元勢と遠征勢で全く対戦比較がない組み合わせだけに、レースへの興味は自ずと高まった。
エントリー12頭のうち、ミュークニュウ(川崎)が出走を取消し、最終的には11頭立て。3コーナー奥の引き込み線からスタートし程なく4コーナーを迎える名古屋1700メートルのコースで、1番人気のティーズセラフが難しさもある1番枠を引いていただけに、これが“好枠”となるのか、はたまた波乱を呼ぶのか。序盤の位置取りと展開が注目された。
果たして、そのティーズセラフは好発を決め、「自然な流れで」(吉原寛人騎手)最初の4コーナーを回りつつ先頭に立った。管理する水野貴史調教師が自ら発走ゲート裏に赴き尾持ち(枠内で馬を落ち着かせるため発馬時に尻尾を持つこと)を行ったことも功を奏した。一方、それを見た2番人気カトレアノクターンの今井貴大騎手は、当面のライバルへの勝負権を確保するため「外を回りたくはなかったが3番手を取りに行った」
しかし、ちょうどそのタイミングでアクシデントが発生する。逃げ馬の直後にいたゴーゴークロアが故障を発症して外によれ、1コーナーで競走を中止。カトレアノクターンは、更に外にいたイルフロッタントとともに煽りを受けて、外に大きく膨れながらこれを回避せざるを得なかった。その間、逃げたティーズセラフはマイペースを保ちながらもリードをキープ。鞍上の仕草からは最後まで余裕を感じさせる走りで、後続を寄せ付けず2馬身半差の快勝。嬉しい重賞タイトル獲得となった。
2着には、道中後方2番手追走から追い上げたゴーゴーツヨシ(兵庫)が食い込んだ。主戦の小牧太騎手が負傷療養中で、騎乗予定の大畑雅章騎手も前日の落馬で負傷し、この日急遽白羽の矢が立ったのが名古屋の若手・細川智史騎手だった。「当日騎乗が決まり、過去のレース映像も見ることができなかった」そうだが、「発走までの間、調教師、助手、厩務員、皆さんがこの馬の全てのことを教えてくれた。おかげで何の不安もなく騎乗することが出来た」と振り返る。
ゴーゴーツヨシを管理する小牧毅調教師がレース後に出した「思い通り乗ってくれて、次(園田・のじぎく賞)に繋がるレースになった」との談話を細川騎手に伝えると、ホッとしたように表情をほころばせた。
カトレアノクターンは、更に2馬身半差の3着。今井騎手は「(アクシデントがなければ)もう少し勝ち馬にプレッシャーをかけられたかも」と振り返りながらも「着差を考えれば、今日は勝ち馬が強かった」とも話し、致し方なしといった表情。「前走減っていた馬体が戻り、力があることはわかった。今後タイトルを狙いに行きたい」と話し、馬の奮闘に胸を張った。
勝ったティーズセラフは、この勝利でGDJのポイントを16に伸ばし、トップに立った。しかしながら水野調教師は、先の浦和・桜花賞を勝ち、東京プリンセス賞と関東オークスJpnIIを目指すとされるアンジュルナの存在も挙げつつ、今後の進路については明言を避け「状態面を見ながら相談」とコメント。この路線における関係者間の戦力評価の一端が窺われた。
取材・文坂田博昭
写真早川範雄(いちかんぽ)
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水野貴史調教師
勝ててホッとしています。こちらに来て(輸送で)ピリピリとしたところはありましたが、許容範囲内という感じです。右回りは特に不安はないとは思っていたので、あとは名古屋の競馬場がどうかでしたが、よく頑張って勝ってくれました。長距離輸送のレースをしたので、今後は状態面を見ながら考えます。








吉原寛人騎手
初めてづくしの競馬でしたが、馬もしっかり応えてくれて、タイトルを獲ることが出来て嬉しいです。自分のリズムでしっかり走れたのが大きな勝因と思います。南関東の一線級の3歳牝馬と戦っていて、力があるところを見せてくれており、どんな競馬も出来る精神的なタフさがこの馬の強みだと思います。