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ヤングジョッキーズシリーズFR 中京

塩津騎手が地方女性騎手初の快挙
  優勝は堅実に上位入着の佐藤騎手

9年目を迎えたヤングジョッキーズシリーズ(YJS)。これまでJRA騎手の優勝は2名だが、そのうちのひとりが23年の横山琉人騎手だ。史上初の2回目の優勝を目指し、暫定1位で中京競馬場にやってきた。

地方騎手で優勝に最も近い位置にいるのは暫定3位の佐野遥久騎手(川崎)。第1戦は印の集まる馬に対し、第2戦はほぼ無印とあって「1戦目でしっかり勝って優勝を決めたいです」と自身にプレッシャーをかけた。

同じく「1戦目が大切。たぶん1番人気ですよね?」と緊張気味に話したのは暫定7位の土方颯太騎手(兵庫、実際には2番人気)。ファイナル初出場の昨年は芝の感触が想像と異なり、戸惑った部分があり、今年はリベンジを誓った。

第1戦は芝2000メートル。内から好スタートを決めたのは佐野騎手だったが、外から古川奈穂騎手(JRA)が行く気だと察するとすぐに好位に控えた。さらに2コーナーを回って神尾香澄騎手(川崎)が掛かり気味に先頭に並びかける。1000メートル通過は60秒5と平均ペースではあったが、競りかけられた古川騎手にとってはキツい展開に見えた。ところが、直線を向いて佐野騎手が捉えようとするもなかなか差は詰まらず、モアリジットと古川騎手が勝利。普段のレースでも、楽には見えない展開だとしても、逃げ・先行からひと粘りさせるなど、彼女特有の技術がある。

「レース前、西村真幸調教師から『スタートが決まれば思い切って逃げてもいい』と言われていました。競りかけられた時に馬が力んだ分、どうかと思いましたが、馬が最後まで頑張ってくれました」

そう話した古川騎手。YJSファイナルラウンドにおける女性騎手初勝利で、一般戦と異なり女性騎手の2キロ減がない中での勝ち星となった。

一方で悔しさを消化しきれずにいたのは2着の佐野騎手。一旦、第2戦の装鞍に向かい気持ちを整理したのち、「後ろに差されないように、直線では引きつけて追い出したんですけど、逆にそれが仇になりました」と振り返った。

そこにもうひとり、悔しさで顔を歪めたのは土方騎手。「出遅れが全てです」と、チャンスを感じていた馬だっただけに、「悔しい」と繰り返した。

3着に佐藤翔馬騎手(JRA)が脚を伸ばし、4着に石田拓郎騎手(JRA)、5着は離れた最後方から松本一心騎手(笠松)が差し脚を伸ばし、「直線でしっかり伸びてくれました。もう少し前につけられていたらよかったです」と話した。

ダート1400メートルの第2戦は、塩津璃菜騎手(兵庫)が興奮のレースを見せた。好ダッシュをつけて好位から運んだトルーマンテソーロが、直線で一歩ずつ着実に伸びて4頭横一戦のゴールをハナ差で制した。これが地方所属女性騎手としてJRA初勝利となった。過去には、山本泉騎手(新潟)、佐々木明美騎手(北海道)による2着(ともに1999年)はあったが、NAR設立後、60名を超える女性騎手がデビューした中で初の快挙。

塩津騎手は今年7月から門別競馬場で期間限定騎乗を行い、その地で4キロ減を生かしてもっと積極的な競馬をした方がいい、とアドバイスを受けたことや、坂路調教で前進気勢旺盛な馬を抑えながら乗ることで二の腕や肩などが一気に逞しくなった。秋に兵庫に帰ってくると、喋り方や雰囲気がこれまでより頼もしく変化していた。

「最後の直線は応援が聞こえて、諦めずに追いました」と塩津騎手。その中には地元・兵庫から駆け付けた記者や実況アナウンサー、そしてファンも数多くいて、表彰式後は彼らとハイタッチ。さらに単勝が3390円ついたことを知ると、「応援に来てくれた人たち、いい思いできたかな?」と思いを馳せた。

2~5着はJRA騎手で佐藤騎手、横山騎手、高杉吏麒騎手、石田騎手。さらに6着に暫定1位の佐野騎手が13番人気ながら食い込んだ。

しかし、佐野騎手は総合優勝には届かず。優勝は、2・4・3・2着で67ポイントを獲得した佐藤騎手。勝利こそなかったが、4戦すべて掲示板という安定感に加え、中京ラウンドではともに2桁人気の馬で上位入着を果たした。デビュー時の師匠・小檜山悟元調教師は結果を残せていない現状に歯がゆさを感じながらも「馬乗りが上手」と称していた。その根底には、父が元騎手の佐藤博紀調教師(川崎)で、幼い頃から馬に乗っていた環境があるだろう。

5ポイント差で2位の佐野騎手は「(第2戦は)気合で勝つつもりでした」と人気以上の好走を見せたが、やはり第1戦で勝利を逃したことが相当悔しいようで、「逃げた方がよかったかな?いや、でもそうすると……」と頭を抱えながら何度も振り返っていた。

3位は4・1・9・3着で59ポイントの横山騎手。史上初の2回目の優勝は逃したが、表彰台に上がった。4位・西塚洸二騎手(JRA)、5位・古川騎手で、上位5名のうち佐藤騎手を除く4名はこのまま順調に勝ち星を積み重ねれば今年が最後のYJSとなる見込み。来年はまた新たな戦いが見られそうだ。


取材・文大恵陽子

写真いちかんぽ(桂伸也、早川範雄)、NAR

Comment

総合優勝 佐藤翔馬騎手(JRA)

園田を終えて、優勝圏内だと思っていました。優勝は嬉しいですが、1つも勝てなかったことが心残りです。最終戦はハナ差2着。勝ちたかった気持ちが大きいです。デビューして3年、思うような結果が全く残せていないので、これを機に来年、飛躍の年にできればと思います。

総合2位 佐野遥久騎手(川崎)

第1戦2着がめちゃくちゃ悔しいです。同じ川崎所属の野畑凌騎手はYJS(23年中山)で勝っていて、「レースで勝てよ」と言われて来ました。中央で勝ちたかったですし、ガッツポーズもしてみたかったです。勝ち鞍は昨年の方が勢いよく伸ばせていたので、来年はもっと勝てるよう頑張ります。

総合3位 横山琉人騎手(JRA)

2戦目で勝てたらいいなと思っていましたが、残念です。道中のリズムは悪くなかったですが、もう一列後ろから壁を作ることができればよかったです。表彰台の位置が(優勝した23年より)低いですね(苦笑)。今年は後半に勝ち星を増やすことができませんでしたが、怪我なく乗れたことがよかったです。