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第76回全日本2歳優駿JpnI

無敗馬3頭ゴール前の混戦を制す
  人気のベストグリーンは悔しい3着

国内のダート2歳王者決定戦であり、ケンタッキーダービー出走馬選定ポイントシリーズの一戦として、その地位を確固たるものとしている全日本2歳優駿JpnI。今年は南関東からの出走が少なく9頭立てとなったが、それぞれの路線から興味深いメンバーが集結した。

注目を集めたのは北海道のベストグリーン。重賞3勝を含めて、デビューから無傷の4連勝。特に前走の鎌倉記念では長距離輸送と初の川崎コースを克服しただけでなく、出入りの激しい競馬に対応して4馬身差の完勝を飾った。その内容と実績が評価され、単勝1.9倍の1番人気に支持された。

人気を分け合う形になったのがJRAのパイロマンサー。デビューからの2戦は、ともに1800メートルで1分51秒台をマークして勝利。今回は初物尽くしだったが、ダートで多くの活躍馬を輩出しているパイロの産駒ということもあり、2.3倍の2番人気となった。

この日の川崎競馬場はやや遅めの時計で推移し、差しも適度に決まっていた。それもあってか他馬の出方をうかがいながらの先行争いとなり、外枠のイダテンシャチョウ(JRA)が逃げる形。外にパイロマンサーがつけ、ベストグリーンはさらにその外を追走。直後にフルールドール、タマモフリージア、ライフオブラクーンのJRA3頭が続いた。前半3ハロンは37秒6のスローペース。これによりベストグリーンは行きたがるそぶりを見せ、鞍上の小野楓馬騎手が必死になだめる場面もあった。

勝負どころの3コーナーからパイロマンサーとベストグリーンがペースアップ。2頭が馬体を併せて4コーナーを回り、一騎打ちの様相を呈した。直線の半ばではベストグリーンが前に出る勢いだったが、パイロマンサーもしぶとく粘る。その激しい叩き合いに外を強襲したタマモフリージアが加わり、ゴール前では3頭が入り乱れる形になった。結果、軍配はパイロマンサーに上がり、クビ差2着にタマモフリージア。ベストグリーンはゴール手前で脚いろが鈍り、1馬身差の3着に終わった。

パイロマンサーは3戦無敗でJpnIタイトルを獲得。4コーナーでの手応えは今ひとつだったが、ゴール前で抜群の勝負根性を発揮した。手綱をとった岩田望来騎手は「ナイターも左回りも初めてだったので戸惑っていましたね。最後に抜け出してからも気を抜いたのでヒヤッとしました」と話したが、その戸惑いながらの追走が最後の粘りにつながった形。次走について吉村圭司調教師はオーナーサイドとの相談次第としたが、「UAEダービーには行きたいなと思っています」と青写真を描く。ゴドルフィンの所有馬となれば、中東遠征が視野に入るのは当然。その結果次第では米国挑戦も十分に考えられ、今回の勝利がそれを後押しすることにもなるだろう。

牝馬のタマモフリージアが2着。4コーナーで外に持ち出すと、メンバー最速となる後半3ハロン39秒3の末脚を繰り出した。田口貫太騎手は「人気馬の後ろを取れて、最後もよく伸びてくれました。牡馬を相手にいい走りをしてくれたと思います」と評価した。前走のJBC2歳優駿JpnIIIは6番人気での勝利だったが、それがフロックでないことを証明。スローペースを追い上げた内容を見れば、今後も展開ひとつで勝機が巡ってくる。

ベストグリーンは悔しい3着。4コーナーでの手応えからも直線で突き抜けるように思われたが、小野騎手は「前半で少しハミを噛んだぶん、最後に止まってしまいました。差はないし、力負けではないと思います」と話し、田中淳司調教師も「具合が良すぎて掛かった、という面もあるかな」と唇をかんだ。結果的には様々な要素がかみ合わなかったが、ポテンシャルの高さは示した形。今後については北海道に戻ってから決めるとのことで、来年の活躍を楽しみに待ちたい。

取材・文大貫師男

写真築田純(いちかんぽ)

Comment

岩田望来騎手

能力は秘めていると思っていたので、勝てて良かったです。思った以上に隊列がすぐに決まって、スローではないかと感じていました。戸惑いながらもよく走ってくれました。ゴール寸前に外の馬が見えて、ヒヤッとはしましたけど、先にゴール板を通過していたので良かったです。

吉村圭司調教師

1番人気の馬が持ったまま並んできたので、強い馬だなと思って見ていたのですが、勝負根性を出してくれました。オーナーともUAEダービーは行きたいという話をしています。ケンタッキーダービーも憧れのレースなので、一戦一戦しっかり調整して結果を出し、そこに繋がれば、とは思っています。